前回のページでは、整式の加法・減法について解説していきました。
文字式と同様に、整式の計算では乗法・除法もあります。
整式の乗法・除法も中学数学で勉強していきますが、文字式の計算と違い計算処理の過程が複雑な部分もあるため、中学2年の段階では、単項式についての乗法と除法の勉強を行っていきます。
また、このページでは、中学数学で登場した「指数」の法則についてもしっかりと解説していきます。
今後の数学の学習につながる足がかりとして、または指数の復習としてもこのページの学習内容は重要な意味があるので、丁寧に理解を深めていくようにしましょう。
単項式の乗法
早速、単項式の乗法について学習していきましょう。
単項式とは、「数や文字がかけ算でつながっている式」のことでした。
たとえば、
$3x, -2a^2b, \frac{1}{2}xy^3$
などが単項式です。
数同士、文字同士をそれぞれ計算
単項式とはどういうものだったか振り返ったところで、単項式の乗法について説明していきます。
単項式の乗法の処理は、数同士または文字同士をそれぞれ計算するだけです。
実際に例題を見ながら確認していきましょう。
例題1
$(3x)×(2x^2) $
解法
$(3x)×(2x^2)=(3×2)・(x×x^2)=6x^3$
文字のかけ算では、同じ文字が出てきたら指数を足し算します。
文字の処理の方法は後ほど詳しく解説するので、今の段階では例題の解法のように処理をするんだと思っておくだけで問題ありません。
異なる文字もかけることができる
続いて、次の問題の場合はどうでしょうか?
例題2
$(-4ab^2)×(3a^2b) $
解法
$(-4ab^2)×(3a^2b)=(-4×3)・(a×a^2×b^2×b)=-12a^3b^3$
複数の文字が含まれている場合は、同じ文字同士を計算するだけになります。
下記の問題の場合も今のルールにのっとって計算します。
$(2x)(3y)=6xy$
$x$と$y$は別の文字なので、指数は足さず、そのまま横につなげます。
単項式の除法
次は単項式の除法について解説していきます。
数はわり算、文字は指数を引き算
基本的なルールは乗法の計算方法に近いものになります。
例題を使って、確認していきます。
例題1
$\frac{6x^5}{2x^2}$
解法
$\frac{6x^5}{2x^2}=\frac{6}{2}・\frac{x^5}{x^2}=3x^3$
除法での指数の処理の方法も後述するので、ここでは上記のように処理することを理解しておくだけで大丈夫です。
異なる文字のときは、それぞれについて計算する
では、次の例題の場合はどのように計算するでしょう。
例題2
$\frac{8a^3b^2}{4ab}$
解法
$\frac{8a^3b^2}{4ab}=\frac{8}{4}・\frac{a^3}{a}・\frac{b^2}{b}=2a^2b$
割り切れないときは分数で表す
除法の場合、問題によっては数が割り切れないときがあります。
そういった場合は、分数を使って表現していくことにしています。
例題3
$\frac{x^2}{3x^3}$
解法
$\frac{x^2}{3x^3}=\frac{1}{3}・\frac{x^2}{x^3}=\frac{1}{3x}$
指数法則を確認
ここまで、単項式の乗法と除法について解説してきました。
その中で指数の処理について触れる部分がありましたが、ここで具体的な指数の処理の方法を解説していきます。
指数の基本
まず、指数とは「同じ数や文字を何回かけたか」を表すものでした。
例えば、$x^3$ は、「$x$を3回かけたもの」という意味で、
$x×x×x$
のことです。
文字のかけ算は指数の足し算
では、指数法則の1つ目から紹介していきます。
まず、同じ文字どうしのかけ算では、指数のたし算になるという法則です。
例
$x^2×x^3=x^{2+3}= x^5$
なぜこのようになるかというと、
$x^2=x×x$
$x^3=x×x×x$
なので、全部で$x$が5回かけているということが分かります。
なので、$x^5$となるわけです。
文字のわり算は指数の引き算になる
続いては、同じ文字どうしのわり算では、指数はひき算になるという法則です。
例
$x^5÷x^2= x^{5-2}= x^3$
これも詳しく見ていくと
$\frac{x×x×x×x×x}{x×x}$
のように、上下の$x$が2つずつ約分されて消えて、残りは3つになるからです。
異なる文字には指数法則は適用されない
そして、指数法則で注意しておかなければならないのは、指数の足し算・引き算が使えるのは同じ文字のときだけです。
例
- $x^2×y^3=x^2y^3$:別の文字なので、そのまま並べるだけ。
- $x^4÷y=\frac{x^4}{y}$:文字が違うから指数のルールは使えない。
よくあるミスとその対策
単項式の乗法と除法では、指数法則で間違えてしまうことがとても多いです。
なので、指数部分について計算ミスがないかをしっかりと確認することが重要になります。
上記で解説した指数法則は、文字式の計算の時にも触れている部分ではありますが、今一度理解を深めておくことで、単項式の計算の時にもミスは減らせますし、落ち着いて計算を進めることができるようになります。
指数法則は覚えておくだけでミスを回避できる問題でありますし、ルール自体も多くないので、確実に頭に入れるようにしておきましょう。
練習問題
ここまで単項式の乗法と除法と指数法則について解説をしてきました。
この分野の問題は、知識だけ入れても不十分であるので、実際に計算問題を行ってみて、知識が確実に自分のものになったかを確認しましょう。
以下の問題に挑戦して、知識の確認をしてみましょう。
- $(4x)×(-2x^3)$
- $\frac{-9a^4b^2}{3a^2b}$
- $(3x^2y)(-5xy^2)$
- $\frac{6x^5}{2x^2}$
- $(-2a^3)(-3a)(a^2)$
- $-8x^4$
- $-3a^2b$
- $-15x^3y^3$
- $3x^3$
- $6a^6$
まとめ
このページでは、単項式の乗法と除法、指数法則について解説していきました。
単項式の乗法・除法は、数と文字を使って式を整理するとても基本的な力です。
これがしっかりできるようになると、冒頭でも述べた通りその先に学ぶ整式の乗法と除法などの計算にも活かせたり、それ以外でも複雑な数式の計算の時にスムーズに解けるようになります。
「数と文字をわけて考える」「指数のルールを使いこなす」この2つを意識するだけで、計算が一気に楽になります。
ここで説明したことは、基本的な計算や知識ばかりなので、わからなかったところは、何度も解き直して、「どうしてそうなるのか」を理解できるようにしましょう。
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