前回のページまでで、度数分布表を使ったデータの整理と分析の方法について解説していきました。
データを表にまとめていくことで、無機質なデータも意味を持つようになっていきますが、データを表にまとめた後によりそのデータから分かることはないか、検討するために利用できるのが「グラフ」にすることです。
そして、前回学習した度数分布表と最も相性のいいグラフは「ヒストグラム」になります。
ヒストグラムは算数の学習では出てきたこともなく、これまで作成してきたことも少ないかと思います。
なので、このコラムでは、「ヒストグラムってなに？」「どうやって作るの？」「気をつけることはあるの？」という疑問を、1つずつ丁寧に説明していきます。
グラフを使ってデータを読み取れるようになると、テストの成績だけでなく、スポーツの記録やアンケート結果など、身のまわりのさまざまなことがもっとよくわかるようになります。
ヒストグラムの学習に入る前に、度数分布表についてまだ理解が十分でないと感じる人は下記のページで改めて復習した後にこのページに戻ってきてみましょう。
ヒストグラムってどんなグラフ？
早速ですが、ヒストグラムはどのようなグラフなのかから解説していきます。
ヒストグラムは、「柱のような形をしたグラフ」で、データがどのように分かれているのかを表すのに使います。
たとえば、クラスの国語のテストの点数を集めたとしましょう。
点数は0点から100点までありますが、1点ごとに人数を表すと、細かすぎて見にくくなってしまいます。
そこで、点数をいくつかのグループ（これを「階級（かいきゅう）」と言いました）に分けて、グループごとに何人いたかを数えます。
その結果を、棒の高さで表したグラフがヒストグラムです。
似ているグラフに「棒グラフ」がありますが、棒グラフは種類ごとの比べあいをするときに使い、ヒストグラムは「数の広がり方」や「かたより」を見るときに使うというちがいがあります。
ヒストグラムは度数分布表を作ってから
ヒストグラムを作るためには、まず度数分布表を作る必要があります。
たとえば、30人の数学のテストの点数が以下のようだったとしましょう。
【点数一覧】
58, 62, 75, 80, 45, 66, 72, 85, 91, 55, 60, 65, 78, 49, 83, 88, 50, 77, 64, 70, 53, 59, 61, 90, 68, 76, 82, 73, 67, 79
この点数を、10点ごとのグループに分けてみましょう。今回は、次のような階級を使います。
- 40点以上50点未満
- 50点以上60点未満
- 60点以上70点未満
- 70点以上80点未満
- 80点以上90点未満
- 90点以上100点以下
それぞれの階級に入る人数を数えて、表にまとめます。
| 階級（点数の範囲） | 度数（人数） |
|---|---|
| 40～50 | 3人 |
| 50～60 | 5人 |
| 60～70 | 7人 |
| 70～80 | 8人 |
| 80～90 | 5人 |
| 90～100 | 2人 |
この表を見ると、70点以上80点未満の人が一番多いことがわかりますね。
この表をもとにして、ヒストグラムを作っていきましょう。
ヒストグラムを描いてみよう
度数分布表ができたら、次はいよいよヒストグラムの作成です。
ヒストグラムを描くには、次の手順で進めます。
①横軸に階級を書いていく
始めに、横の軸（横軸）には、階級を書きます。
例：40～50、50～60、60～70、…というように、10点ごとのグループです。
②縦軸に度数を入れていく
続いて、縦の軸（縦軸）には、その階級に入っている人数（＝度数）を書きます。
③各階級ごとに棒グラフを描く
最後に、各階級ごとに棒を描きます。
棒の高さは、その階級に入っている人数です。
たとえば、50点以上60点未満のグループには5人いるので、「50～60」のところに高さが5のグラフを立てます。
70～80のところには8人いるので、高さが8のグラフを立てます。
こうして、すべての階級のグラフを描けば、ヒストグラムのできあがりです。
ここで注意したいのは、「グラフとグラフのあいだをあけないこと」です。
棒グラフとちがって、ヒストグラムはグラフとグラフがつながっているように描くのがポイントです。
これは、データが連続していること（たとえば点数は0点から100点までずっとつながっている）を表すためです。
ヒストグラムを読むときのコツ
ヒストグラムができあがったら、そのグラフを見て、どんなことが分かるのかグラフから考察していきます。
ですが、ヒストグラムは通常のグラフとは違って、様々な情報を含んでいるので、ヒストグラムを読んでいく際のコツをお伝えしていきます。
ヒストグラムからは、つぎのようなことが読み取れます。
- どの階級（点数の範囲）に一番多くの人がいるか（＝一番高いグラフ）
- 点数がどのように広がっているか（バラバラか、かたまっているか）
- 点数が上にかたよっているか、下にかたよっているか（＝かたより）
たとえば、70～80点に人が多く、他は少なめだと、「多くの人が70～80点にかたまっているな」ということがわかります。
また、90点以上の人がとても少ないなら、「高得点をとった人は少なかった」とわかります。
こうした「全体のようす」を見ることができるのが、ヒストグラムの大きな強みです。
前半部分でもお話したように、ヒストグラムは、数の広がり方やかたよりを見ることができるグラフであるということを意識してグラフを見ていくことで、ヒストグラムから見えてくることは増えてくるので、この点は意識できるようにするといいでしょう。
ヒストグラムを描くときの注意点
では最後に、ヒストグラムを描く時の注意点をお伝えしておきます。
ヒストグラムとはいってもグラフだからそんな注意点なんて・・・と思うかもしれませんが、ヒストグラムだからこその注意点があります。
その注意点は複数あるので、下記でしっかりと押さえておきましょう。
① 階級の幅をそろえること
まず第一に、階級の幅をそろえるということです。
階級（点数のグループ）の幅がバラバラだと、グラフの形が正しく表せません。
10点ずつ、20点ずつ、など、等しい間かくでわけましょう。
② グラフとグラフのあいだをあけないこと
第二に、ヒストグラムはデータがつながっていることを表すグラフなので、グラフのあいだはすきまをつくらず、くっつけて描きます。
この注意点は先ほども述べたとおりです。
③ 点数がちょうど区切りの数のときは上の階級に入れる
第三に、階級の区切りの点数は上の階級に入れるということです。
たとえば、60点ちょうどの人がいたら、「50～60」ではなく「60～70」のグループに入れます。
これは、階級の決まり方として、「以上」「未満」で分けるのがルールだからです。
④ 正しい縦軸のメモリをつけること
最後のポイントとして、縦軸のメモリを正しくつけるということです。
縦軸には、度数を正しく読み取れるように、1目もりごとの高さをしっかり決めて書きましょう。
これらのポイントを守れば、だれが見てもわかりやすいヒストグラムが作れます。
まとめ
このぺーじでは、ヒストグラムとはどういったグラフなのか、ヒストグラムの書き方や注意点などを解説していきました。
改めてになりますが、ヒストグラムは、データの広がりやかたまり、かたよりを見つけるのにとても便利なグラフです。
最初はこれまで学習してきたグラフと違う部分も多く、少しむずかしく感じるかもしれませんが、度数分布表を作って、グラフを描く手順を何回か練習すれば、きっとすぐに慣れてくるはずです。
またヒストグラムは数学だけでなく、理科や社会、総合学習などでもデータをまとめる場面でも活用することができます。
そんなとき、すらすらとヒストグラムをデータをまとめれば、みんながすぐに情報を読み取れる、わかりやすい資料を作ることができます。
ぜひ、自分でもいろいろなデータを使ってヒストグラムを作ってみる経験をまずはしてみましょう。
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