前回のデータの活用の分野の学習では、データを活用していくうえで、基本的な代表値や値の確認をしていきました。
このページでは、前回の学習内容を踏まえて、実際にデータの分析方法の学習を進めていきます。
学習内容の入り口として学び始めることは、データ分析の場面で頻繁に見かける「度数分布表」の学習をしていきます。
度数分布表では、前回学習した代表値の中から、「平均値」「中央値」「最頻値」の3つの値も絡めて学習を進めていきます。
まだこれらの数について理解が深まっていないという学生さんは、ぜひ前回のテーマの学習を終えた後、このページの学習を進めていきましょう。

度数分布表の作り方と読み取り方
早速、度数分布表の説明から行っていきます。
度数分布表とは
度数分布表とは、集めたデータをいくつかの区間(階級)に分け、それぞれの区間に入るデータの個数(度数)をまとめた表のことです。
大量のデータがある場合、そのままでは全体の傾向をつかみにくいため、度数分布表を作成することで、データの分布や特徴を分かりやすく把握することができます。
例えば、あるクラスの生徒20人の数学のテストの点数が以下のようであったとします。
学生 | 点数 |
---|---|
A | 78 |
B | 65 |
C | 90 |
D | 82 |
E | 74 |
F | 70 |
G | 88 |
H | 60 |
I | 75 |
J | 82 |
K | 68 |
L | 79 |
M | 85 |
N | 73 |
O | 91 |
P | 77 |
Q | 80 |
R | 69 |
S | 76 |
T | 84 |
このデータをそのまま並べても、どの点数帯に生徒が多いのか把握しづらいですが、度数分布表を用いることで、点数の分布の様子を簡単に見ることができます。
度数分布表の作り方
度数分布表を作成する手順は以下の通りです。
- 階級を決める
- 各階級に含まれるデータの個数(度数)を数える
- 度数分布表にまとめる
階級を決める
まず始めに、データの範囲をいくつかの区間(階級)に分けます。
たとえば、60点以上70点未満、70点以上80点未満、80点以上90点未満、90点以上100点未満、のように区切ります。
階級の幅はデータのばらつきや個数に応じて決めます。
各階級に含まれるデータの個数(度数)を数える
次に各階級ごとに、該当するデータの個数を数えます。
度数分布表にまとめる
最後に階級と度数を表にまとめます。
先ほどのテストの点数データを例に、階級幅10点で度数分布表を作成してみます。
階級 | 度数 |
---|---|
60点以上70点未満 | 4 |
70点以上80点未満 | 7 |
80点以上90点未満 | 6 |
90点以上100点未満 | 3 |
この表から、70点以上80点未満の生徒が最も多いことや、90点以上の生徒は少数であることが分かります。
度数分布表の読み取り方
度数分布表の作成方法が分かったところで、次にこの表からデータの分析を行っていくことを目指します。
度数分布表を読み取ることで、データの全体的な傾向や特徴を把握することができます。
たとえば、
- どの階級にデータが多く集まっているか(データ数が多い部分(山)がどこにあるか)
- データがどの範囲に分布しているか(データの広がりや偏り)
- 最も多い階級や、極端に少ない階級はどこか
などを読み取ることができます。
度数分布表をもとに、棒グラフやヒストグラムを作成することもあり、視覚的にデータの分布を理解するのに役立ちます。
棒グラフやヒストグラムの作成については、また別の記事で解説していくので、このページではひとまず度数分布表をもとにして、他の分析に繋げることができるということをしっかりと理解してください。
度数分布表の基本知識
ここまで度数分布表の作成方法と活用方法について解説してきました。
その説明の中で新しく出てきた言葉があったので、ここでしっかりと解説しておきます。
また、上記の説明の中で出てきていないけど、度数分布表の学習をしていくと出てくる言葉もあるので合わせて解説していきます。
階級
まずは「階級」です。
階級とは、データの区間を指す言葉です。
上記の度数分布表の例では、60点以上70点未満や70点以上80点未満としたところです。
度数
次に「度数」です。
度数とは、階級に含まれる値のことです。
上記の度数分布表の例では、60点以上70点未満の人数が4人だったので、4となりました。
度数については、見たいデータによって、人数が度数になったり、回数が度数になったりします。
階級幅(階級の幅)
続いて「階級幅(階級の幅)」です。
階級幅(階級の幅)は階級の大きさを指します。
60点以上70点未満の階級の場合は、最大値が69点、最小値が60点なので、階級幅は10になります。
ここまでが上記の説明の中で出てきた言葉になります。
続いて、説明の中で出てこなかった言葉の解説をしていきます。
階級値
最初は「階級値」です。
階級値とは、階級幅の真ん中の値のことを指します。
上記の度数分布表の階級値は、60点以上70点未満の場合は
$\frac{60+70}{2}=65$
となります。
累積度数
最後に「累積度数」です。
累積度数とは、最小の階級から目的の階級までの度数の合計を指す言葉になります。
例えば、80点以上90点未満までの累積度数は、
$4+7+6=17$
となります。
ここまでが度数分布表の学習を行っていくうえで、覚えておきたい基本事項になります。
データの活用の分野に入ってから覚えなければいけない用語がたくさん出てきて大変であるとは思いますが、時間がかかってもいいので、しっかりと覚えてから先の学習をしていきましょう。


平均値・中央値・最頻値の求め方と意味
では、このページの最後に前回学習した平均値、中央値、最頻値と度数分布表への応用について学習をしていきます。
ここでは、それぞれの値が度数分布表では活かされているのかを説明していきので、それぞれの言葉の意味やイメージは前回のページを踏まえて学習を進めてください。
ここからの説明では、先ほどのデータと度数分布表を使って説明していきます。
階級 | 度数 |
---|---|
60点以上70点未満 | 4 |
70点以上80点未満 | 7 |
80点以上90点未満 | 6 |
90点以上100点未満 | 3 |
度数分布表と平均値
まずは平均値の求め方から説明していきます。
度数分布表を使って平均値を求める場合は、各階級の代表値(階級値)に度数をかけて合計し、その合計を全体の度数で割ります。
上記の度数分布表において、階級が「60点以上70点未満」「70点以上80点未満」「80点以上90点未満」「90点以上100点未満」で、階級値がそれぞれ65, 75, 85, 95なので、
$平均値=\frac{((65×4)+(75×7)+(85×6)+(95×3))}{20}$
$=\frac{(260+525+510+285) }{20}$
$=\frac{1580}{20}=79$
となります。
度数分布表と中央値
次に中央値の説明をしていきます。
度数分布表を使って中央値を求める場合は、累積度数を利用して、全体の人数の中央にあたる階級を探し、その階級値を中央値の近似値とします。
今回の例では、中央値が含まれる階級は70点以上80点未満になるので、75点が中央値として考えていくことになります。
度数分布表と最頻値
最後に最頻値について考えていきます。
度数分布表における最頻値の考え方は、最も度数の多い階級の階級値のことです。
今回の度数分布表に当てはめると、最も度数が多い階級は70点以上80点未満になるので、その階級値は75点になります。
よって、最頻値も75点とします。
まとめ
このページでは、度数分布表について基礎的な内容を解説していきました。
データの活用は、単なる計算だけでなく、データの特徴や傾向を的確に読み取る力を養うことが目的です。
日常生活や社会のさまざまな場面で、データに基づいた判断や意思決定が求められる現代において、これらの基礎知識は非常に重要です。
今後の学習や実生活の中でも、データを正しく整理し、代表値を適切に使い分ける力を身につけていけるように、まずはこのページ学習した度数分布表の基本的なイメージをしっかりと定着できるように学習を進めていきましょう。
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