中学数学では様々な図形の学習をしていきますが、以前に空間図形の紹介をしました。
空間図形の学習はその特徴や構成要素を覚える以外に、算数でも学習したような面積や体積の計算ももちろん学習内容に入ってきます。
図形の問題で躓く学生さんの多くは、これらの計量が苦手で解けないというケースがありますが、それぞれどんな計算をしているのか?この計算の意味は何なのか?を考えながら数式を理解していけば、あまり難しいことを計算しているものではないということが分かります。
このページでは空間図形の表面積、体積の計算方法について学習していくので、まだ空間図形の特徴などの理解が深まっていない人は下記のページを見て理解したうえでこのページを読んでいきましょう。

角柱の基本構造と定義
計算に入る前にまずは角柱の構造などから振り返っていきます。
角柱とは、2つの同じ形の多角形(三角形や四角形など)を底面とし、それらを平行で等しい間隔で結ぶ直方体状の立体図形です。底面の形状により三角柱・四角柱・六角柱などに分類されます。側面は全て長方形で構成され、底面の辺の数と等しい数の側面を持ちます。
角柱の表面積の計算
角柱の特徴を振り返ったところで、まずは角柱の表面積の求め方について解説していきます。
角柱の表面積は
底面積・2+側面積
で求められます。
この計算式は三角柱でも四角柱でもどんな角柱でも同じように当てはまります。
計算手順
- 底面の多角形の面積を計算(三角形なら$\frac{1}{2}$・底辺・高さ)
- 側面の長方形の面積をすべて合算(各長方形の面積=側面の縦の長さ・横の長さ)
- 底面積2つ分と側面積を加算
具体例(正四角柱)
底面が1辺5cmの正方形で、四角柱の高さが10cmの場合
底面積=$5・5=25cm^2$
側面積=$5・10=50cm^2$
四角柱の場合、側面は4つあるので、$50・4=200cm^2$
表面積=$25・2+200=250cm^2$
特に底面積は上と下の2つがあるので、しっかりともれなく計算することに注意しましょう。
角柱の体積の計算
続いて角柱の体積の計算方法について解説していきます。
角柱の体積は
底面積・高さ
で算出します。
この公式も表面積と同じく、三角柱でも四角柱でも同じように計算できます。
公式
体積の計算については公式があります。
この公式はしっかりと理解したうえで、覚えるようにしましょう。
$V=S・h$($S$:底面積、$h$:角柱の高さ)
計算例(三角柱)
底面が3cm、4cm、5cmの直角三角形で、高さが12cmの正六角柱の場合
底面積$S=\frac{1}{2}・3・4=6cm^2$
体積$V=6・12=72cm^3$
角柱の表面積と体積の計算方法は上記のようになります。
これらの計算については、算数の知識があれば問題なく計算できるはずです。
もし計算がうまくいかないときは、どこかで計算ミスをしているか、算数の知識で間違って覚えてしまっている部分があるので、焦らずに一度ゆっくりと振り返ってみましょう。


角錐の基本構造と定義
続いて角錐の計算に移ります。
ここでもいきなり計算に入らずに、まずは特徴を振り返ることから始めていきます。
角錐とは、1つの多角形を底面とし、底面の各頂点から1点(頂点)へ結んだ直線で形成される立体図形です。側面は全て三角形で構成され、底面の形状により三角錐・四角錐などに分類されます。
角錐の表面積の計算
角錐の特徴を振り返ったところで、まずは表面積の計算方法を解説します。
表面積は
底面積+側面積
で算出します。
計算手順
- 底面の多角形面積を計算
- 各側面三角形の面積を合算(三角形の面積=$\frac{1}{2}$・底辺・高さ)
- 底面積と側面積を加算
具体例(正四角錐)
底面1辺6cmの正方形で、側面の高さが8cmの正四角錐の場合
底面積=$6・6=36cm^2$
側面積=$\frac{1}{2}・6・8=24cm^2$
正四角錐の場合、側面が4つあるので、$24・4=96cm^2$
表面積=$36+96=132cm^2$
角柱の時と違い、底面は1つしかない点には十分注意しましょう。
角錐の体積の計算
続いて角錐の体積の計算方法について解説してきます。
体積は
$\frac{1}{3}$・底面積・高さ
で求めます。
公式
$V=\frac{1}{3}・S・ h$($S$:底面積の大きさ、$h$:角錐の高さ)
公式の中にある、$\frac{1}{3}$ですが、今はなぜこの数字が出てくるのかは分からなくても問題ありません。
この数字が出てくる理由は高校生で学習する「積分」というもので学習するので、今の段階ではこういうものなんだと丸暗記する形でも学習を進めましょう。
計算例(正三角錐)
底面が5cm、12cm、13cmの直角三角形で、高さ9cmの正三角錐の場合
底面積$S=\frac{1}{2}・5・12=30cm^2$
体積$V=\frac{1}{3}・30・9=90cm^3$
角柱と角錐の表面積の計算では、底面の形状に応じて側面の面積を正しく計算することが重要です。体積計算においては、角柱が直方体の延長線上にあるのに対し、角錐では$\frac{1}{3}$が現れる点が特徴的です。
これらの注意点を頭にしっかりと入れたうえで、それぞれの計算を進めていきましょう。


円柱の基本構造と定義
続いて、円柱の表面積と体積の求め方について解説してきます。
まずは角柱の時と同じく、円柱の特徴から簡単に振り返っておきます。
円柱とは、2つの同じ形をした円を底面とし、それらを平行で等しい間隔で結ぶ立体図形です。側面は曲面(円周を高さ方向に延長した形状)で構成されます。
円柱の表面積の計算
円柱の特徴を振り返ったところで、まずは表面積の計算について解説していきます。
円柱の表面積は
底面積・2+側面積
で求められます。
公式
$S=2・\pi r^2 + 2 \pi r h$($r$:底面円の半径、$h$: 円柱の高さ)
後半の$2 \pi r$の部分は、側面の横の長さになります。
底面が円であるため、側面の横の長さは底面の円周になるので、側面の横の長さは底面の円周の長さの公式が当てはまっています。
計算手順
- 底面円の面積を計算($\pi r^2$)
- 側面積を計算($2 \pi r h$)
- 底面積2つ分と側面積を加算
具体例
底面が半径5cmの円、高さ10cmの円柱の場合
底面積$S’=\pi ・5^2=25 \pi cm^2$
側面積$S^”=2 \pi ・5・10=100 \pi cm^2$
表面積$S=2・25 \pi+100 \pi=150 \pi cm^2$
角柱と同様に、円柱でも底面が2つあるので、最後に底面積を2倍にすることは忘れないように注意しましょう。
円柱の体積の計算
続いて体積の求め方についてです。
円柱の体積は
底面積・高さ
で算出します。
公式
$V=\pi r^2 h$
計算手順
- 底面円の面積を計算($\pi r^2$)
- 底面積に高さを掛ける
具体例
底面が半径3cmの円、高さが8cmの円柱の場合
底面積$S=\pi・3^2 =9 \pi cm^2$
体積$V=9 \pi・8=72 \pi cm^3$
円柱の表面積、体積の計算も角柱と同じく、算数の知識があれば十分に解答ができるものになります。
なので、焦らず計算をしていけば、問題なく正答出来る部分なので、しっかりと点数が取れる問題にしていきましょう。


円錐の基本構造と定義
最後に円錐の表面積と体積について解説していきます。
ここでもまずは円錐の特徴から振り返っておきます。
円錐とは、1つの円を底面とし、底面上の全ての点から1つの頂点へ結んだ直線で構成される立体図形です。側面は曲線状に広がる曲面で構成されます。角錐との違いは底面が円形である点です。
円錐の表面積の計算
始めに円錐の表面積の求め方について解説していきます。
円錐の表面積は
底面積+側面積
で求められます。
公式
$S=\pi r^2+\pi r l $($r$:底面円の半径、$l$:母線の長さ)
計算手順
- 底面円の面積を計算($\pi r^2$)
- 側面おうぎ形部分の面積を計算($\pi r l$)
- 底面積と側面積を加算
具体例
底面が半径4cmの円、母線6cmの円錐の場合
底面積$S’=\pi・4^2=16 \pi cm^2$
側面積$S^”=\pi・4・6=24 \pi cm^2$
表面積$S=16 \pi+24 \pi=40 \pi cm^2$
おうぎ形が出てくると、たまにおうぎ形の面積を求めてから計算しようとする学生さんがいますが、母線の長ささえ分かれば、計算を進めることができるので、今求めていきたいのはどういった数字なのかをしっかりと考えながら計算を進めていきましょう。
円錐の体積の計算
最後に円錐の体積の求め方です。
円錐の体積は
$\frac{1}{3}$・底面積・高さ
で求めます。
公式
$V=\frac{1}{3} \pi r^2 h$
ここでも$\frac{1}{3}$が出てきましたが、角錐の体積の求め方のところでも解説した通り、この数字がなぜ出てくるのかを今の段階では理解せずに学習を進めても問題ありません。
計算手順
- 底面円の面積を計算($\pi r^2$)
- 底面積に高さを掛け、その結果をさらに$\frac{1}{3}$倍する
具体例
底面が半径3cmの円、高さが7cmの円錐の場合
底面積$S=\pi・3^2=9 \pi cm^2$
体積$V=\frac{1}{3}・9 \pi=3 \pi cm^3$
まとめ
このページでは空間図形の表面積や体積の計算方法について解説していきました。
中学数学で初めて出てきた図形だからといって、苦手意識を持たずにしっかりと理解することをまずは心がけてみましょう。
解説の中でもお話しましたが、意外にも算数の知識をそのまま流用できる部分もありますし、これまで学習していき知識の組み合わせで問題が解けるようになっています。
なので、新しい分野の学習という認識ではなく、これまでの知識の組み合わせと復習をするという意識でまずはこの分野の学習を行ってみましょう。
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