[このページのポイント]
■ある数の増加分に合わせて、もう一方の数は同じだけ減少する関係を「反比例」という。
■数の増加分を示す定数を「比例定数」という。
前回の学習内容では比例関係についての基本的な考え方やグラフの学習を進めてきましたが、比例関係の学習内容でもう1つ重要な関係性に「反比例」というものがあります。
第2回として、2つの数の間にある関係性として、ある数の増加分(減少分)に合わせて、もう一方の数は同じだけ減少(増加)する関係を表す「反比例」という関係について学習をしていきます。
反比例の考え方は、比例の関係と比較しながら学習を進めていくと、内容の理解が深まりやすいので、丁寧に学習を進めていきましょう。
反比例とは?
早速ですが、「反比例」について簡単に説明からしていきます。
比例とは上記でも示したように、ある数の増加分(減少分)に合わせて、もう一方の数は同じだけ減少(増加)する関係のことを言います。
ここで、関数について少し振り返りますが、関数の定義は「ある数$x$が決まった時、それに伴ってある数$y$が決まる時、$y$は$x$の関数」ということでした。
つまり、$x$と$y$の間には、それぞれの値を決める何らかの関係があることになります。
関数の定義と反比例の定義を結びつけて考えると、「ある数$x$が一定分増加(減少)すると、それに伴って、$y$は一定分減少(増加)する」ということになります。
そして、ここでいう減少分(増加分)を関数の学習では「比例定数」と言っていました。
このように見ていくと、関数の考え方のベースに比例の考え方があるということが分かります。
そのため、反比例の考え方をしっかりと理解していくのが、関数の理解を早めるポイントにもなります。
反比例の一般形
関数と反比例の考え方の結び付けができたところ、反比例の関係の一般形を説明していきます。
反比例は、「ある数$x$が一定分増加(減少)すると、それに伴って、$y$は一定分減少(増加)する」という定義だったため、これを数式で表すと下記のようになります。
$y=\frac{a}{x}(a:比例定数)$
反比例の一般形についてはこれからの学習でも頻繁に出てくるものになるので、忘れないようにしておきましょう。
比例定数について
上述した比例定数について、関数のページでも解説しましたが比例定数はどんな数でも問題ありません。
この時点で1点注意しなければいけない点は、反比例でも「比例定数」と呼ぶということです。
反比例だからといって、反比例定数とは言わないので、間違えないようにしましょう。
そして、反比例の学習でももう少し比例定数について身につけておくべき知識があります。
それについては後述します。
反比例のグラフ
反比例の学習では、グラフでどういった数の関係性になっているかを視覚的に認識していくことも大事になります。
数学では、グラフで2つの数の関係性を理解していくということを頻繁に行っていきます。
その第一歩として反比例の関係のグラフについて理解を深めていきましょう。
反比例のグラフは双極線
反比例の関係のグラフの形は下の図のように、双極線の関係になります。
このグラフは$y=\frac{2}{x}$のグラフになります。
このグラフを見て分かるように、$x$の増加に合わせて、半分の量$y$は減少しています。
ここで、なぜ半分の量減少しているのかというと、このグラフは$y=\frac{2}{x}$のグラフであり、比例定数が2であるため、$y$は$x$の半分の量で減少します。
つまり、$y$の減少分については、比例定数によって変化するということになります。
グラフの形
反比例のグラフは、形自体が特徴的なので、その特徴もしっかりと押さえておきましょう。
これは先ほどと同じく$y=\frac{2}{x}$のグラフになります。
反比例のグラフの特徴として、下記の特徴があることをグラフを見ながら確認していきましょう。
- グラフの形は双極線
- $x=0$の時、$y$の値は「定義されない」
- $x$の値が大きくなっても、$y$の値は0にならない
- $x=a$の時、$y=1$
- 反比例のグラフは、原点に対して対象のグラフになる
まず特徴的なのが、反比例のグラフは「双極線」と呼ばれる形をしています。
比例のグラフだとあまり意識してなかったと思いますが、反比例のグラフでも負の数の値をグラフで描いていく必要があります。
比例のグラフだと直線だったので、定規を置いて線を伸ばすだけでしたが、反比例のグラフは1個ずつ点を確認しながら書いていく必要があります。
そのようにして描くと、上記のような2つの曲線が出来上がります。
さらに特徴的な部分であり、よく間違えてしまう人がいる点としては、$x=0$の時、$y$の値は「定義されない」と$x$の値が大きくなっても、$y$の値は0にならないという点です。
まず、$x=0$の時に「定義されない」という理由は、反比例の一般形に注目すると分かります。
反比例の一般形は、分数の形になっています。そして、$x=0$は分母が0という形になり、数学において分母が0というのは定義できないものとなっていました。
そのため、反比例のグラフを書くときも、$x=0$は任意の値を通過せずに、y軸にギリギリ触れるかどうかのところで書いていく必要があります。
同様に、$x$の値が大きくなっても、$y$の値は0にはなりません。
そのため、$x$の値が大きい値をとっても、x軸にギリギリ触れるかどうかでグラフを書いていきましょう。
グラフの通過点から比例定数を求める
反比例の問題でも、比例の問題同様にグラフだけ与えられていて、比例定数が分からない問題もあります。
その場合は、グラフの通過点から比例定数を求めることができます。
グラフから比例定数を求める方法は下記の通りです。
$a=(yの整数点)×(xの整数点)
これで本当に求めるのか、いまいちピンと来ていない人のために実例で求めていきたいと思います。
このグラフは先ほどお見せした$y=\frac{2}{x}$のグラフになります。
仮にこのグラフの比例定数が分からなかった場合は、下記のように考えていきます。
$x$の値が2のとき、$y$は1となっています。
なので、$a=1×2=2$となり、比例定数は2と求まります。
比例定数の符号で形は変わる
そして、最後に比例定数の符号によって、グラフの形は変化します。
ここまで説明してきた比例定数が正の場合は、「右上」と「左下」のグラフになりますが、比例定数が負の場合、「左上」と「右下」のグラフになります。
実際に確認すると下のグラフのようになります。
緑のグラフが比例定数が正(2)のグラフで、赤のグラフが比例定数が負(-2)のグラフです。
これらの違いや特性を理解して学習の理解を深めていきましょう。
まとめ
このページでは、比例の関係に続いて反比例の関係について解説をしていきました。
反比例の問題はグラフも特徴的な上、注意しなければならないことも多く、ケアレスミスが出やすい分野になっています。
そして、ケアレスミスが増えると、点数が伸び悩んだり続く問題で考え方は合っているのに、解答が違うということも出てきます。
そうなるととてももったいないので、ケアレスミスがないように注意して学習を進めていきましょう。
ですが、丁寧に学習を進めていき、確かな知識を身につけていくようにしましょう。
コメント