前回の学習内容では比例関係についての基本的な考え方やグラフの学習を進めてきましたが、比例関係の学習内容でもう1つ重要な関係性に「反比例」というものがあります。
第2回として、2つの数の間にある関係性として、ある数の増加分(減少分)に合わせて、もう一方の数は同じだけ減少(増加)する関係を表す「反比例」という関係について学習をしていきます。
反比例の考え方は、比例の関係と比較しながら学習を進めていくと、内容の理解が深まりやすいので、丁寧に学習を進めていきましょう。
反比例とは
まず反比例は比例と一緒に学習する単元の1つであり、反比例は中学数学において学習する重要な概念の1つです。これは、二つの変数の関係を表す特別な種類の関数で、一方の変数が増加すると、もう一方の変数が同じ割合で減少するという特徴を持っています。
反比例の基本的な定義は以下の通りです。
$x$と$y$という二つの変数があり、それらの積が常に一定の値(これを比例定数と呼びます)になるとき、$x$と$y$は反比例の関係にあると言います。
反比例の一般形は下記のように表されます。
$y=\frac{a}{x}$
ここで、$a$は比例定数と呼ばれる定数です。反比例の分野でも「比例定数」と呼ぶ点には注意しましょう。
この基本的な概念を押さえた上で、反比例の具体例を挙げてみましょう。
例えば、一定の長さの長方形があり、その面積が常に同じであるとします。この場合、長方形の幅を増やせば高さは減少し、幅を減らせば高さは増加します。つまり、幅と高さは反比例の関係にあります。
別の例として、一定の仕事量があり、それを完了するのにかかる時間と作業する人数の関係も反比例になります。人数が増えれば作業時間は短くなり、人数が減れば作業時間は長くなります。
反比例のグラフの特徴
次に反比例のグラフの特徴を見ていきます。
反比例のグラフは、非常に特徴的な形状を持っています。それは双曲線と呼ばれる曲線で、次のような特徴があります。
- グラフは原点(0,0)を通らない
- $x$軸と$y$軸に漸近(だんだん近づくこと)する。つまり、グラフは軸に限りなく近づきますが、決して交わらない
- グラフは、原点を対象に2つ
反比例のグラフを描く際は、まず比例定数$a$の値を決め、いくつかの$x$の値に対応する$y$の値を計算します。そして、それらの点をプロットし、滑らかな曲線で結びます。
例えば、$y=\frac{2}{x}$という反比例の場合、以下のような値の組み合わせが得られます。
- $x=1$のとき、$y=2$
- $x=2$のとき、$y=1$
- $x=\frac{1}{2}$のとき、$y=4$
- $x=4$のとき、$y=\frac{1}{2}$
これらの点をプロットし、滑らかな曲線で結ぶと、反比例のグラフが完成します。
実際にグラフを描くと下記のようになります。
このグラフを見てみると、上記で説明したような3つの特徴があることが確認できます。
比例定数が負の数になる場合、下記のようなグラフになります。


比例定数の求め方と意味
ここまで反比例の一般形やグラフについて説明してきました。
ここで反比例の比例定数の$a$について改めて考えていきます。上記で説明少し触れましたが、$a$はグラフの形状を決める重要な値になります。
なので、比例定数を求めることができるようになると、反比例の式やグラフも求めるめることできます。
比例定数$a$の求め方は以下の通りです。
1. 反比例の関係にある二つの変数$x$と$y$の値の組み合わせを1つ知っている場合
この時は下記の簡単な計算をすることで求めることができます。
$a=x×y$
2. 2つの点($x_1,y_1$)と($x_2,y_2$)が分かっている場合
この時は、それぞれの座標の値同士で計算して求めることができます。
$a=x_1×y_1$もしくは$a=x_2×y_2$
比例定数$a$の値は、反比例のグラフが$x$軸と$y$軸からどれだけ離れているかを示します。$a$の絶対値が大きいほど、グラフは軸から遠ざかります。逆に、$a$の絶対値が小さいほど、グラフは軸に近づきます。
また、$a$の符号(正か負か)によって、グラフが描かれる場所が決まります。
- $a$が正の場合:グラフは右上と左下に描かれます。
- $a$が負の場合:グラフは左上と右下に描かれます。
ここまでの知識をしっかりと定着させてから、比例定数$a$を変えることで反比例のグラフの形状が変化することを改めて考えてみることはより反比例の知識を理解する上で効果的です。
例えば、$a=1$、$a=2$、$a=5$のそれぞれの場合でグラフを描いてみると、$a$の値が大きくなるにつれてグラフが軸から遠ざかっていくことが視覚的に確認できます。
ここまで説明したことが反比例とそのグラフに関する基本的な知識の説明です。この内容を踏まえて、現在学習を進めている学生さんは反比例の概念とグラフの特徴、そして比例定数の重要性についてしっかりと理解を深めて下さい。
次からは、反比例の知識が実際にどのように活用されているのかを簡単に説明していきます。
反比例の応用と日常生活での例
比例の分野ではかなり身近に知識が活用されていましたが、反比例ではどうなのか見ていきます。
結論から言うと、日常生活においてはピンと来る活用例は少ないものではあります。ですが、それを参考にしながら、こういったことにも使われているなと気づくことも重要な学習になるので、参考になるような活用例を紹介していきます。
1. 物理学における応用
ボイル・シャルルの法則として知られる気体の法則は、反比例の良い例です。一定温度下では、気体の体積と圧力は反比例の関係にあります。圧力が2倍になると、体積は1/2になります。
2. 経済学における応用
需要と価格の関係も、多くの場合反比例に近い関係を示します。商品の価格が上がると需要は減少し、価格が下がると需要は増加する傾向があります。
3. 工学における応用
電気回路において、電圧と電流の関係は、抵抗が一定の場合、反比例の関係になります。(オームの法則)
ここまでの例は中学生には少し難しい例になりますが、反比例の知識はこれから高校生、大学生になってもしっかりと活用される知識であるということは覚えておいて下さい。
4. 日常生活での例
- 一定量の仕事を完了するのにかかる時間と、その仕事に従事する人数の関係
- 自動車の速度と、目的地に到着するまでの時間の関係
- 一定の予算で購入できる商品の単価と数量の関係
これらの例は少し身近に感じられるものもあるでしょうか?これらの例を通じて、反比例が単なる数学の学習単元ではなく、実生活の様々な場面で応用されていることが少しでも伝わったもらえたら何よりです。


反比例の問題解決のアプローチ
では、最後に反比例の問題を実際に解くときの考え方を紹介していきます。
反比例に関する問題を解く際には、以下のようなアプローチが有効です。
1. 問題文から反比例の関係を見出す
与えられた問題文の中の情報から、2つの変数が反比例の関係にあることを確認します。
2. 比例定数$a$を求める
既知の値のペアを用いて、$a=x×y$の式から比例定数を計算します。
3. 一般式を立てる
求めた比例定数を用いて、$y=\frac{a}{x}$の形の一般式を立てます。
4. 求めたい値を計算する
一般式に必要な値を代入して、求めたい値を計算します。
このような解き方で進めると、間違いを少なくしながら解き進めることができます。
この方法をもとに具体例を挙げて説明していきます。
解答:
人数($x$)と作業時間($y$)が反比例の関係にあることを確認します。
比例定数$a$を求めます。
$a=8×12=96
一般式を立てます。
$y=\frac{96}{x}$求めたい値を計算します。
$6=\frac{96}{x}$
$x=\frac{96}{6}$
$x=16$
したがって、6時間で仕事を完了するには16人の作業員が必要となります。
このようなアプローチを身につけることで、反比例に関する様々な問題に対処することが可能となります。
まとめ
このページでは、比例の関係に続いて反比例の関係について解説をしていきました。
反比例の問題はグラフも特徴的な上、注意しなければならないことも多く、ケアレスミスが出やすい分野になっています。
そして、ケアレスミスが増えると、点数が伸び悩んだり続く問題で考え方は合っているのに、解答が違うということも出てきます。
そうなるととてももったいないので、ケアレスミスがないように注意して学習を進めていきましょう。
ですが、丁寧に学習を進めていき、確かな知識を身につけていくようにしましょう。
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