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不等式とは何か?等式との違いや基本の意味・使い方をわかりやすく解説!

中学数学

中学数学の第一に山場として、一次方程式の計算がありました。

方程式という言葉の理解から、計算問題、文章問題と次々に新しい考え方、計算方法が出てきて多少なりとも数学って難しいと感じている学生さんが出てくる単元ではあります。

ですが、文字式の計算は厄介なことに一次方程式では終わることはありません。

この単元の最後には「不等式」というものの学習があります。

また新しい言葉が出てきて、しかも条件によって途中の計算処理が分岐するという特徴がある分野で、数学がお手上げ状態になる人が出てきてしまう内容です。

確かに難しい内容が含まれている分野ですが、1つ1つ理解をしていけば、実はそんなに難しい内容ではないです。

このページでは、不等式の意味や考え方、将来の仕事への活かし方など、総合的な視点から解説していきます。

 

不等式とは?

早速、不等式ってそもそも何なのか?という疑問から触れていきます。

中学数学で新たに学ぶ概念のひとつが「不等式」です。

小学校からここまでの数学学習では「=」を使った等式(等しい関係)しか習ってこなかったため、「<」「>」「$\leqq$」「$\geqq$」といった不等号を用いる不等式に、最初は戸惑ってしまうことも少なくありません。

でも安心してください。

不等式は、日常生活の中でも自然と使われている考え方です。

たとえば、以下のような会話を聞いたことはありませんか?

  • 「体重は50kg以下に抑えたい」
  • 「テストは80点以上とらなきゃ」
  • 「身長が170cmより高い人が対象です」

これらはすべて、数学的には不等式の形になっています。

  • 体重 $\leqq$ 50
  • テスト点数 $\geqq$ 80
  • 身長 > 170

つまり、不等式というのは、「ある数量が、別の数量より大きいか・小さいか」という大小関係を表現するためのものです。

このイメージをもって、ここからの学習を進めていくようにしましょう。

 

等式と不等式の違いを明確にしよう

不等式とはどういったものかイメージをもったまま、等式との違いを押さえておきましょう。

両者の違いを明確に理解しておくことで、それぞれの理解がより深まるメリットもあります。

等式(=)とは?

まずは等式について見ていきます。

等式とは、左辺と右辺の値が等しいことを表す式です。

たとえば

$3+4=7$
$x+2=10$

これらの式は、左辺と右辺がぴったり一致する関係を示しています。

特に、一次方程式を解くと、「特定の値」が答えになります。

例:$x+2=10$のとき、$x=8$

不等式(<、>、≦、≧)とは?

一方で不等式は、「等しくない関係」を示します。

つまり、左辺と右辺の大小関係を表現する式です。

たとえば

$x > 5$($x$は5より大きい)
$y \leqq 10$($y$は10以下)

不等式の特徴は、答えが1つに決まらないことです。

たとえば $x > 5$ なら、$x$は6、7、100、5.1など無数の値が当てはまります。

このように、等式と不等式は、見た目は似ていても「関係の種類」や「答えの形」が異なる点に注意が必要です。

 

不等号の種類と意味をおさえよう

不等式が等式と違う特徴として、答えが1つに定まらないという特徴がありました。

この特徴をより深く考えるためにも、不等式で登場する不等号の理解が必須になります。

実際に不等式には、次のような不等号が登場します。

それぞれの意味を正しく覚えておきましょう。

記号 読み方 意味
$>$ より大きい 左辺 > 右辺 $x > 3$
$x$は3より大きい
$<$ より小さい 左辺 < 右辺 $x < 7$
$x$は7より小さい
$\geqq$ 以上 左辺 ≧ 右辺(含む) $x \geqq 4$
$x$は4以上
$\leqq$ 以下 左辺 ≦ 右辺(含む) $x \leqq 10$
$x$は10以下

このように、不等号を使うことで、「○○より大きい」や「○○以下」といった関係をコンパクトに表現することができます。

 

不等式はどこで使われているの?

不等式の理解を深めていくために、これまでのような計算問題を解説してから日常生活の例をお話するより、先に日常生活で使われている例を紹介しておきます。

不等式は言われてみれば使っているなぁ、と認識できるぐらいに、日常生活に浸透している数学の考え方なので、紹介するいくつかの例を見て、自分でも使っているかもしれないと思い返してみるといいでしょう。

時間の管理で使う

まずは時間管理における例からです。

「学校まで歩いて30分以内に着かないと遅刻する」
→ 移動時間 $\leqq$ 30分

「8時間以上は寝たい」
→ 睡眠時間 $\geqq$ 8時間

など学生さんだと使っていることが多いと思います。

お金の管理で使う

次はお金に関する例です。

この例は、お小遣いや社会に出た時の普段の生活費を考えるときに使われます。

「1日の支出は1,000円以下に抑える」
→ 支出 $\leqq$ 1000円

「バイト代が5万円以上あれば新しいゲーム機を買える」
→ バイト代 $\geqq$ 50000円

健康や体力の目標に使う

最後の例は、自身の健康管理や目標設定などで使われる例です。

「体重が60kg以下なら健康診断クリア」
→ 体重 $\leqq$ 60kg

* 「握力が40kgより上なら合格」
→ 握力 > 40kg

このように、不等式の考え方は日常のあちこちにあふれています。

実際に使われている場面をイメージすることで、数学的な式にも親しみが湧いてきます。

 

不等式の性質を知っておこう

日常生活の例を紹介したところで、不等式が一次方程式などに比べて日常生活に入り込んでいるかイメージできたと思います。

なので、ここから少し数学の勉強の不等式に触れていきたいと思います。

不等式も導入は不等式を解くところから入っていきます。

ですが、中学生ではまず不等式の性質(ルール)を理解しておく必要があります。

基本的なルールは、等式とよく似ていますが、計算の過程における不要号の向きには注意が必要です。

実際に見ていきましょう。

1. 同じ数を両辺に加える → 不等号はそのまま

まずは計算の過程で両辺に同じ数を加えたときを見てみましょう。

同じ大きさの数を加えているので、不等号の向きは変わらないことは理解できるでしょうか?

例:$x < 5$
→ 両辺に3を加えると$x+3 < 8$

2. 同じ数を両辺から引く → 不等号はそのまま

次は逆の過程、つまり同じ数を引いた時も見てみましょう。

こちらの例も上記の例と同様に、不等号の向きは変わりありません。

例:$x > 10$
→ 両辺から2を引くと$x-2 > 8$

3. 正の数をかける → 不等号はそのまま

3つ目は、正の数を両辺にかけた時を見てみます。

この場合も、正の数は数直線上のイメージだと右に行けば多くなるイメージなので、不等号の向きは変わりありません。

例:$x < 4$
→ 両辺に2をかけると$2x < 8$

4. 負の数をかける → 不等号の向きが変わる

4つ目は負の数をかけた場合です。

この場合、負の数は数直線のイメージだと右に行くと大きい(絶対値が小さいほうが、数としてみたときは大きい)ので、符号の向きが逆になります。

例:$x < 6$
→ 両辺に-3をかけると$-3x > -18$

これは最も重要なポイントです。

負の数をかけたり割ったりする場合は、必ず不等号の向きを逆にしましょう。

5. 正の数で割る → 不等号はそのまま

5つ目の例は、正の数で割ったときです。

これは、正の数をかけた時の逆の操作なので、不等号の向きは変わりありません。

例:$x > 12$
→ 両辺を3で割ると$\frac{x}{3} > 4$

6. 負の数で割る → 不等号の向きが変わる

最後は負の数で割ったときです。

これは、負の数をかけた時の操作と逆の操作になるので、不等号の向きは逆になります。

例:$x > -10$
→ 両辺を-2で割ると$\frac{x}{-2} < 5$

ここで示した6つの性質をしっかりと理解して身につけることが、不等式の計算をマスターするための近道となります。

 

不等式を数直線で表すともっとわかりやすい

上記の不等式の性質を説明する中で、数直線のイメージを出しましたが、不等式の計算をしていくうえで、数直線を用いると計算結果をイメージするうえでとても有効な手段になります。

不等式は、「ある範囲に属する数の集合」を表しているので、数直線で図示するととても分かりやすくなります。

たとえば

  • $x > 3$ の場合、3より右側の数(3を除く)を塗りつぶす
  • $x \leqq 5$ の場合、5以下のすべての数を含むように左側を塗る

点を黒丸(●)にするか白丸(○)にするかで、「その数を含む/含まない」の違いを表すことは今後の数直線でのイメージの時に使う知識になるので、この段階でしっかりと記号の意味を理解しておきましょう。

不等式 数直線での表現方法
$x < a$ $a$より左、○をつけて塗る
($a$を含まない)
$x \leqq a$ $a$より左、●をつけて塗る
($a$を含む)
$x > a$ $a$より右、○をつけて塗る
($a$を含まない)
$x \geqq a$ $a$より右、●をつけて塗る
($a$を含む)

 

等式と不等式の違いを応用的に理解しよう

ここで一度、「等式と不等式の使い方の違い」についても、数学的な視点から整理してみましょう。

項目 等式 不等式
記号 = <, >, $\leqq$, $\geqq$
解の数 通常は1つに決まる
(一次方程式の場合)
無数の値が該当することが多い
意味 等しい関係を示す 大小関係を示す
解の表現 $x=○○$ $x > ○○$、$x \leqq ○○$ など
実生活での例 「合計が100円です」 「100円以下で買い物をする」

ここで押さえておきたいポイントは下記のとおりです。

ポイント

  • 等式は「ぴったり一致する」
  • 不等式は「ある範囲に属する」

この違いを理解すると、高校生で学習する一次不等式の計算問題や関数、図形などへの応用問題にどちらの式を使うべきかが判断しやすくなります。

 

不等式の答えを数直線で表す練習

不等式の計算は、高校生の学習範囲なので、ここからは不等式を数直線を使ってイメージする練習を行っていきます。

数直線を用いたイメージができれば、不等式の解を理解するのに非常に有効です。

例1:x ≧ -1

→ -1を含むので「●」を使い、-1より右側を矢印で延ばす。

例2:x < 3

→ 3を含まないので「○」、左側に矢印を伸ばす。

図にすることで、「どこからどこまでが解になるのか」が一目でわかります。

試験では、「式と数直線をセットで示す」ことでより説得力や数式の理解度が増します。

 

社会で使われる不等式

不等式が日常生活で使われている例は前述しましたが、この知識が社会ではどのように活かされているでしょうか?

日常で使われている以上、社会の中でも不等式の考え方や意味は高い有効性を発揮しています。

その例をここからいくつか紹介していきます。

1. 経済学・ビジネス分野での活用

まずは企業の経済活動における活用例です。

企業や経済活動では、利益を最大化しつつコストを抑えることが重要です。

ここで不等式は欠かせません。

利益 $\geqq$ コスト

利益がコスト以上でなければ事業が成り立ちません。

利益がコストより大きい範囲の売上や生産量を不等式で求め、経営の判断に役立てます。

予算 $\leqq$ 限度額

予算管理で「支出は限られた金額以内」とする場合も不等式で表現します。

2. 工学・建築での応用

モノづくりの現場でも不等式の知識や考え方はとても大事になってきます。

たとえば、建築物や機械の設計では、安全性を保つための限界値を超えない設計が必要です。

負荷 $\leqq$ 耐荷重

建物や橋にかかる力が耐えられる重量を超えないように計算し、不等式で条件を設定します。

圧力 $\leqq$ 許容圧力

機械部品の安全性も不等式でチェックされます。

3. IT・プログラミングでの利用

コンピュータなどの動作設計を行うプログラミングなどでも不等式は有用です。

プログラミングでは、条件分岐やループ処理で不等式を頻繁に使います。

while (x < 10)のように条件を満たす限り繰り返す処理を書く際に不等式が用いられます。

条件判定での「値がある範囲内かどうか」の判断にも不等式は不可欠です。

 

不等式の学習を深めるためのコツと練習法

ここまで不等式について様々な角度から解説していきました。

学校やこのページで解説した不等式の知識やイメージを確実に理解し、応用できるようになるためには、以下のポイントを意識しましょう。

1. 問題文をじっくり読み解く

不等式は条件の理解が非常に重要になります。

そのため、問題を解く際はは、「以上」「以下」「より大きい」などの言葉に注目し、正確に式に変換しましょう。

2. 数直線を使って視覚的に理解する

ここまでの解説の中で数直線を使ったイメージについて紹介しましたが、不等式の範囲を可視化することも大事になります。

解の範囲を数直線に描き、不等式が表す「範囲」を実感しましょう。

イメージしやすく、間違いも減ります。

3. 練習問題を繰り返す

3つ目は練習問題を繰り返し行うということです。

様々な問題に触れることで、理解が深まり、ミスも減ります。

教科書や問題集を繰り返し何度も取り組んでいきましょう。

 

不等式の学習でよくある誤りと対策

最後に、不等式の学習や問題においてよくある間違いとその対策について紹介していきます。

中学生の段階では不等式の計算問題はまだ行わないので、なるべくミスをしないようにし得点源にできるようにしましょう。

誤り1:文章の「以上」「以下」を誤って読み取る

不等式の問題においては、不等号は最も注意しなければいけない部分です。

「以上」「以下」は$\geqq$, $\leqq$(等号を含む)、「より大きい」「より小さい」は$>$, $<$(等号を含まない)と正確に区別できるようにしておきましょう。

誤り2:解の範囲を間違って数直線に書く

数直線上に不等式を図示する問題も出てきます。

そこでは向きや範囲を正確に表現できるよう、記号や範囲の図示の方法を理解しておきましょう。

 

まとめ

このページでは、中学数学における不等式について、不等式の意味や不等号の意味、日常生活や社会での活用例を紹介してきました。

不等式を正しく理解し使いこなすことは、数学を理解していくうえではとても重要になります。

また、学習内容として不等式に触れると難しい内容も多く、抵抗感も出てくるかもしれません。

ですが、このページで紹介したように、方程式などこれまで学習した内容よりも日常生活においては無意識に使われている内容でもあります。

なので、不等式に対する理解が少しでもスムーズに進むように、まずは自分の身の回りで不等式を使って考えているものはないかを見渡してみて、身近に感じるところから学習に移行していってもいいかもしれません。

身の回りのものから入ったときに理解がスムーズに進むと、これ以上にない得意分野・得意単元になっていくので、ぜひ試してみてください。

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