日常と未来に役立つ!関数の「変数」と「変域」の考え方

コラム

中学数学で初めて勉強する「関数」。

この勉強内容は普段の生活や将来のお仕事でどのように活かすことができると思いますか?

筆者が学生の時、「関数」と聞いてどうにか日常生活に結び付けようとしたとき、私はエクセルの関数ぐらいしか思いつかなかったことを覚えています。

当時でも中学生の学校の授業ではパソコンの時間があったので、その知識から何とか引っ張ってきたという状態でしたが、今の学生さんはどうでしょか?

おそらくですが、「関数」という言葉に引っ張られて思いつくことは、今も当時もあまり変わらないのではないかと思っています。

確かに「関数」と聞いても日常生活では耳にしない言葉ですし、思いつかなくても当然だと思います。

ですが、「関数」の学習で身につけていく知識は日常生活に落とし込んで活用することができます。

このページでは、まず関数の学習内容で勉強していく「変数」と「変域」について、日常生活で利活用されている例を紹介していきます。

日常生活で使われている例を知る前に、勉強内容としての「変数」や「変域」について復習したいという方は下記のページで「変数」や「変域」について解説しているので、そちらを参考に学習してみてください。

関数の基礎:変数と変域を理解しよう
このページでは、関数の基礎を初心者向けに解説しています。関数はy = f(x)で表され、変数と変域を理解することでグラフを描きます。日常生活や科学で活用されます。このページで学んだ内容を基にさらに進めていくことができます。

 

変数の振り返りと日常生活の例

本題に入る前に「変数」と「変域」について、簡単に振り返っておきます。

まずは「変数」について見ていきます。

数学でいう「変数」とは、変わる数字を表す文字のことです。

たとえば、$x$ や $y$ という記号を使って、「この数字が変わると、結果も変わる」という関係を表すときに使います。

そして変数の考え方は、実は私たちの生活の中でとてもよく使われています。

たとえば、バスの運賃を考えてみましょう。

あるバス会社では、初乗り料金が200円で、2キロごとに100円ずつ加算されるとします。

このとき、乗る距離を「$x$ キロ」とすると、バス代は「$200+100×\frac{x}{2}$」円で計算できます。

この「$x$」が変数です。

人によってバスに乗る距離は違うので、料金もそれに応じて変わります。

このように、「何かが変わることで、ほかのものも変わる」という場面では、変数を使って関係を整理することができるのです。

ほかにも、買い物をするときに「1個120円のリンゴを何個買うか」と考えるとき、「買う個数」を$x$とすれば、「合計金額」は$120×x$円と表せます。

これも立派な関数であり、変数の考え方です。

日常の中には、「状況によって変わるもの」がたくさんあります。

そんなとき、変数を使えば、計算や予測がぐんと楽になります。

 

変域の振り返りと日常生活の例

次に「変域」について見ていきましょう。

変域とは、「変数がとることのできる値の範囲」のことです。

変数は何でもかんでも自由に変えられるわけではなく、現実のルールや条件に合った範囲の中で動く必要があります。

たとえば、さきほどのバスの例で「乗る距離」は、もちろんマイナスにはなりません。

最低でも0キロ、そして最大でもバス路線の終点までの距離、たとえば30キロだとしたら、変域は「$0$$\leqq$$x$$\leqq30$」となります。

このように、「この変数はどこからどこまで変わるのか」ということを考えることが、変域の理解につながります。

日常生活の例をもう一つ挙げてみましょう。

夏休みの自由研究で、植物の成長を記録したとします。1日ごとに身長を測って、その記録をグラフにした場合、「日数」が変数になり、その変域は「1日から30日まで」となります。

このように、変域の考え方を使えば、データを正しく分析したり、無理のない範囲で計画を立てたりすることができます。

 

日常生活での応用例

ここまで変数や変域について簡単に振り返っていきました。

では、本題の日常生活での例についてより深く見ていきます。

例を示す前に気づいてもらいたいことがあります。

実は、変数や変域の考え方は普段の生活の中で気づかずに使っていることはたくさんあります。

たとえば、おこづかいのやりくりを考えてみましょう。

毎月1,000円もらっていて、その中でお菓子やマンガを買いたいとします。

1つ100円のお菓子を$x$個買うと、100×$x$円かかります。

このときの「$x$」が変数です。

そして、おこづかいの範囲内でしか買えないので、「$0$$\leqq$$x$$\leqq10$」が変域になります。

また、別の例として、学校行事でよくあるマラソン大会でも変数や変域の知識を使うことができます。

学校のマラソン大会の練習でも、タイムを縮めるために「走る距離」と「かかる時間」の関係を調べたりすることがあります。

このとき、「走った時間」を変数にして、「距離との関係」をグラフにすることで、自分のペースを知ることができます。これも関数の考え方です。

さらに、調理実習や趣味でお菓子作りや料理をするときにも、「材料の量」と「できあがる料理の数」の関係などで、変数や変域が登場します。

たとえば、ホットケーキを作るとき、牛乳の量が多いと生地がゆるくなりすぎるので、レシピには「牛乳は100~120ml」と書かれていることがあります。これが変域の例です。

このように、変数や変域の考え方は、日常の中に自然に溶け込んでいて、気づかないうちに私たちはそれを使いこなしているのです。

 

将来の仕事での活用例

ここまでは変数や変域の知識や考え方が日常生活でどのように活用されているかを紹介してきました。

ここからは将来のお仕事でどのように活かせるのか見ていきます。

みなさんが大人になって社会に出たとき、変数や変域の考え方は実際に役立つのでしょうか?

いくつかの職業を例に見ていきましょう。

1. エンジニア・プログラマー

まずIT関連の職業のエンジニアやプログラマーが変数や変域の知識を使ったお仕事の代表例になります。

コンピューターやスマートフォンのアプリを作る人たちは、変数を使ってデータを管理したり、計算したりします。

たとえば、「ゲームのキャラクターのHP(体力)」や「得点」などは、常に変わる数であり、変数で表されます。

また、ユーザーが入力する値の範囲を決めるときには変域の考え方も使われます。

2. 建築士

次の例は建物や構造物を組み立てる建築士についてです。

建物を設計するとき、面積や高さ、材料の量などがすべて数値で管理されます。

設計の中では、「部屋の広さを$xm^2$とすると…」というように変数を使って検討することが多くあります

また、少し難しい話ですが、法令や安全基準により、「この部屋の天井の高さは2.3m以上でなければならない」など、変域のような制限もあります。

3. 販売や経営の仕事

3つ目の例は具体的な職業ではなく、職種の例ですが、販売や経営に関する職種の方々も変数や編式の知識を活用しながらお仕事をしていきます。

具体的には、お店の売り上げを伸ばすためには、「商品を何個売ったら、いくらの利益になるか」ということを計算する必要があります。

たとえば、「1個500円の品物を$x$個売ると、利益は500×$x$円」と表せます。

ここでも変数が使われています。

そして、「今日の目標売上は10,000円だから、20個までは売りたい」と考えると、変域の考え方が必要になります。

このように、変数や変域は、将来さまざまな分野で活用できる「思考の道具」として、私たちの武器になります。

 

数学の考え方は「ものの見方」を育てる

ここまで、「変数」と「変域」という関数の考え方が、どれだけ私たちの生活や将来に関わっているかを見てきました。

関数というと、グラフや式ばかりに目が行きがちですが、本当に大切なのは「変わるものと結果との関係に注目する」という考え方です。

これを身につけると、目の前の出来事やデータを冷静に分析し、計画を立てる力が育ちます。

たとえば、「どんなにがんばっても、1日は24時間しかない。じゃあ、宿題と部活とゲームに、どのくらい時間を分ければよいか?」と考えることも、変域の考え方を使っています。

また、「これを1つ増やすと、全体はどう変わる?」と考えるのも、変数の考え方です。

こうした思考力は、勉強だけでなく、人間関係や将来の進路選びなど、あらゆる場面で使える力になります。

 

まとめ

このページでは関数の学習内容である、変数や変域の考え方が日常生活でどのように活用されているかを紹介してきました。

関数の学習分野は冒頭でも述べたように、日常生活では耳なじみのない言葉で、そういったことを学習するときは、一見むずかしそうに思えるかもしれません。

でも、それらはじつはとても身近で、私たちの生活や将来に深く関わっている考え方です。

このページを通して、1人でも多くの人に「数学は日常に役立つ道具なんだ」と感じてくれたら嬉しいです。

これから学ぶ数学の内容も、ただ暗記するのではなく、「これって生活のどんな場面とつながっているんだろう?」と想像しながら学んでみてください。

きっと、数学の面白さや数学の勉強に対する興味がもっと広がっていきます。

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