前回のページでは、一次式や一次方程式が日常生活ではどのように活かされているかを紹介してきました。
一通り読んでいただけた方は、何となくどのように活かされているかを理解できたと思いますが、それと同時に「じゃあ、一次方程式の解き方は役に立つのか?」と思った人もいるかもしれません。
もちろん、一次方程式が日常生活で使われているので、一次方程式の解法も日常生活でいかされています。
このページでは、一次方程式の解法により焦点を当てて、日常生活の中にある一次方程式が活用されている場面を紹介していきます。
もし、一次方程式の解法について、いまいち自信がない方は、まず先に下記のページでしっかりと復習したうえで、このページを読み進めることをおすすめします。

一次方程式の復習
本題に入る前に、まずは、一次方程式の基本について簡単に確認しておきましょう。
一次方程式とは、$x$などの文字を使って書かれた、1次(文字の次数が1)の方程式のことです。
たとえば、
$2x+3=11$
というような式が一次方程式です。
この式の意味は、「2個の$x$に3を足したら11になります。では、$x$はいくつですか?」という問いかけです。
このように、方程式は「ある条件をもとに、わからない数を求めるための道具」として使われます。
日常生活でも、「〇〇の合計がわかっていて、ある一つの値がわからない」という状況はよくあります。
そうしたときに、一次方程式の考え方がとても役に立つのです。
一次方程式の解法の復習
では、一次方程式をどうやって解いていくのか、基本的な手順を復習してみましょう。
先ほどの式を使って説明します。
$2x+3=11$
この式を解くためには、次のようなステップで進めます。
⓵. 等式の左右を比べながら、文字のある項と数字だけの項を分ける
両辺から3を引いて、文字の項だけにする
$2x+3-3=11-3$
$2x=8$
②. 文字の前についている数で両辺を割る
両辺を2で割る
$2x÷2=8÷2$
$x=4$
このように、方程式を解くときは、左右のバランス(等しい状態)をくずさないように注意しながら、少しずつ整理していきます。
この「バランスを保ちながら、わからないものを1つにしぼっていく」という考え方は、実は生活の中にもよくあらわれています。
一次方程式の解法が使われている例
では、実際に一次方程式の解法が日常生活で活かされている例を紹介していきます。
①普段の買い物をしている場面
たとえば、スーパーで買い物をしている場面を考えてみましょう。
例1:同じ値段の商品をいくつ買ったかを考えるとき
「Aという商品を何個か買って、税込みで1,200円でした。1個あたりの値段は300円です。何個買ったのでしょう?」
このとき、「買った個数」を$x$とすれば、
$300x=1200$
という方程式が立ちます。
解いてみると、
$x=1200÷300=4$
つまり、4個買ったことがわかります。
このように、方程式は買い物の合計金額や個数を求めたいときにもぴったり使える道具になります。
②時間やスケジュールを管理する場面
イメージがしにくいですが、一次方程式は、時間を計画的に使いたいときにも便利です。
例2:出発時間を計算する
「学校まで20分かかります。朝の時間は90分間の限られた時間です。8時30分までに到着したいです。朝の支度に$x$分かかるとき、何時に起きればよいでしょう?」
この場合、$x$分支度してから20分歩くとちょうど8時30分になる、ということなので、
$x+20=90$(← 8時30分は朝の90分)
という式になります。
解いてみると、
$x=90-20=70$
つまり、支度に70分かかるなら、6時20分(=90分前)に起きれば間に合う、というわけです。
このように、毎日のスケジュールや予定を立てるときにも、方程式の考え方はとても役立ちます。
③工夫して問題を解く力も身につく
次に紹介するものは、具体例ではありませんが、一次方程式を使いこなすことで、「工夫して問題を整理する力」も自然と身につきます。
例3:条件を整理して考える問題
「兄と弟の年齢の合計は30歳。弟は兄より4歳年下です。兄の年齢はいくつでしょう?」
ここでも、兄の年齢を$x$とすると、弟は$x-4$。
年齢の合計は30なので、
$x+(x-4)=30$
整理すると、
$2x-4=30$
$2x=34$
$x=17$
兄は17歳、弟は13歳とわかります。
このように、文章で書かれた条件を整理し、式に表して考える力は、将来仕事や家計管理、計画の立て方などにも広く活用される力です。
④ゲームやクイズでも方程式が使える
最後に紹介することも日常生活で使われる例ではありませんが、ゲームの中の謎解きや、数字パズルなどにも一次方程式の考え方を活かすことができることを紹介します。
例4:推理クイズのような問題
「ある数に5を足して2倍にしたら26になった。その数は?」
これは、$x$を使って次のように式が立てられます。
$2(x+5)=26$
これを解くと、
$x+5=13$
$x=8$
答えは8ですね。
このように、頭の中で考えるパズルやクイズでも、方程式を使うことで、すっきりと答えを導くことができます。
まとめ
このページでは、一次方程式の解法が日常生活で活かされている例を紹介しました。
一次方程式に限らず、数学で勉強していく知識は、数学の教科書の中だけの知識ではありません。
「わからないことを、わかるようにする」ための方法として、実生活の中でもとてもよく使われています。
買い物の金額を計算するとき、予定を立てるとき、何かの条件をもとに何かを調べたいとき――。
方程式の考え方があれば、こうした場面でも冷静に考え、正しく判断する力がついてきます。
今、学校で学んでいる一次方程式の知識は、今や将来の自分の力になっていくのです。
「こんなとき、あの方程式が使えるかも?」と気づいたときには、ぜひ、学んだことを活かしてみてください。
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