前回のページでは、文字式のルールが日常生活でどのように活かされているかを紹介してきました。
引き続きこのページでは文字式に関する知識が日常生活でどのように活かされているかを紹介していきます。
文字式の分野で学習したものの中に、「代入」というものがありました。
この動作も、日常生活で活かす場面はあるのか?と疑問に持ちやすいことの1つだと思います。
実際に筆者も学生時代は、「代入なんて、それこそ数学でしか使わないなぁ」と感じていました。
ですが、「代入」も知識として、実生活の中で非常に有用な知識です。
このページでは、文字式の代入に焦点を当てて、日常生活から将来のお仕事や身の回りのことでどのように活かすことができるのかを紹介していきます。
このページを読む前に、代入についての復習をしたいという場合は、下記のページで代入について解説しているので、先にそちらのページを読んでみることをおすすめします。

文字式への代入って、どんな意味?
本題に入る前に、文字式の代入について簡単に振り返っておきます。
例えば、文字式$x+5$に対して、$x=3$のとき、式の値は$3+5=8$になります。
このように、文字の部分に数字を当てはめて計算することを「代入」といいました。
代入をすることで、「決まったルール(文字式)を、いろいろな状況に合わせて使えるようにする」ことができます。
これは、ただ計算のテクニックを身につけるというだけでなく、「ある場面に合わせて情報を整理し、答えを出す」力を育てることにつながっているのです。
たとえば、値段や時間、距離、速さなどが関係する問題では、決まりきった式をつかって、さまざまな場面で正しい結果を出すために代入が使われています。
日常生活で使われる代入の例
では早速、代入が日常生活でどのように活かされているかを紹介していきます。
買い物での「代入」:いくらになるかを式で予想
まずイメージしやすい買い物のシーンからお話していきます。
たとえば、ある文房具店で、ノート1冊が150円だったとしましょう。
ノートを何冊買うかによって、合計金額は変わります。
そこで、次のような文字式が使えます。
$代金=150x$
ここで$x$は買うノートの冊数です。
たとえば、3冊買いたいときは、
$150×3=450$
と計算でき、代金が450円であることがすぐにわかります。
このように、「代入」は、実際の数を使って式から答えを求めるために使われるのです。
また、式をあらかじめ立てておけば、冊数を変えるだけで、すぐに代金を計算することができます。
「何冊買っても、簡単に合計金額が出せる」――これが、文字式と代入の便利さなのです。
時間と速さにも代入が登場
次の例は移動や速さについて紹介していきます。
小学校で学ぶ有名な式に、
$距離= 速さ×時間$
というものがあります。
この式も文字式です。
そして、実際の速さや時間を代入することで、距離を求めることができます。
たとえば、時速60kmのバスに2時間乗ったとすると、
$距離=60×2=120$
となり、120kmの距離を移動したことがわかります。
このような考え方は、旅行の計画を立てるときや、学校への通学時間を考えるときなどにも役立ちます。
文字式に値を代入することで、行動の見通しを立てることができるのです。
おこづかい管理でも使える!毎月の出費を予測しよう
3つ目の例はお小遣い管理などのお金に関する例です。
「毎月のおこづかいをどう使うか」を考えるときにも、文字式と代入の考え方が活きてきます。
たとえば、あなたは毎月1,000円のおこづかいをもらっていて、ゲームに1回300円かかるとします。
ゲームを$x$回すると、残るお金は
$1000-300x$
という式で表せます。
ここで、$x=2$のときは、
$1000-300×2=400$
となり、400円残ることがわかります。
このように、使う回数を変えるだけで、すぐに結果がわかるので、無駄づかいを防いだり、計画的にお金を使ったりすることができるのです。
文字式と代入は仕事の中でも有効
ここまでは日常生活で代入を活用されている例を紹介してきました。
ここからは将来のお仕事や身の回りのことで活かされている例を紹介していきます。
文字式の代入は日常生活でも活かせますが、仕事の場面ではより有用だということをここから説明していきます。
1. プログラマー
まず代表的なのは、コンピュータなどのシステムを作る「プログラマー」のお仕事の例です。
コンピュータに命令を出すとき、プログラマーは「変数」と呼ばれる文字を使って計算を行います。
これは、まさに文字式のようなもので、必要な数を代入して、正しい動きをさせる仕組みです。
たとえば、アプリで商品の合計金額を出すプログラムは、
$合計=価格×個数$
という式を使って、入力された値を代入し、答えを計算しています。
2. 建築士・設計士
続いては建物を作ったり、設計したりする建築士や設計士における例です。
家や建物を設計するとき、建築士は「面積」や「材料の量」などを計算します。
たとえば、$1m^2$あたりの材料費がわかっていれば、部屋の広さを代入するだけで、必要な材料費が求められます。
$費用=単価×面積$
という式に代入することで、どのくらいの費用が必要かが一目でわかるのです。
3. スポーツのコーチ
3つ目はスポーツの指導者における例です。
今回はイメージしてもらいやすくするためスポーツの指導者としていますが、スポーツに限らず、会社の上司や部活の先輩などでもこの考え方は応用できます。
選手の練習メニューや体力の変化などを数式で表し、代入して分析することもあります。
「週に何回の練習を何分行うか」などを計算して、効率よくトレーニングを組み立てるためにも、代入の考え方は活用されているのです。
文字式への代入が「考える力」になるということ
ここまで見てきたように、文字式に数を代入することは、日常生活のいろいろな場面や、実際の仕事の中で役立っています。
なぜ文字式や代入が大切なのかというと、冒頭でもお話しましたが、「変化に対応できる考え方」を身につけるためです。
文字を使って式を立てることで、「どんな場面でも共通して使えるルール」ができあがります。
そして、代入をすることで「今の状況にあてはめて使う力」がつくのです。
これは、数学の力が「ただ計算するため」ではなく、「考えを整理し、行動を計画するため」にも役立つということを意味しています。
まとめ
このページでは文字式への代入が日常生活でどのように活かされているかを紹介してきました。
「文字式への代入なんて、勉強のためだけ」と学生時代の私と同じことを思っていた人もいるかもしれません。
でも、見てきたように、それは私たちの生活の中でとても大切な考え方です。
買い物、移動、時間の管理、おこづかいの使い方、そして将来の仕事まで――文字式と代入の力は、さまざまな場面で活躍しています。
これからの学びの中で、ただ計算するのではなく、「どうしてこの考え方が必要なのか」にも目を向けてみてください。
そうすれば、数学がもっと身近に、もっと楽しく感じられるようになるはずです。
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