正の数と負の数の乗法・除法は、数学の基礎計算をしていく上で、大事な問題です。
正の数と負の数の計算の規則を理解することで、より複雑な数学の問題に向けて学習を進めるようになります。このページでは、初めて学ぶ学生や既に学んだけどなかなか苦手が克服できない学生でも分かりやすく正の数負の数の乗法、除法について解説していきます。
本題に入る前に、まず結論からお話すると、正の数と負の数の乗法・除法には、簡単な規則があります。
同じ符号同士の掛け算や割り算は正の数になり、異なる符号同士の場合は負の数になります。この基本原則を軸に、具体例や日常生活での応用を交えながら、詳しく説明していきます。
1. 数直線で理解する正の数と負の数
正の数と負の数を理解するには、数直線が非常に有効な道具となります。数直線は、0を中心として右側に正の数、左側に負の数が並ぶ一本の直線です。
例えば、+5は0から右に5つ進んだ位置、-3は0から左に3つ進んだ位置にあります。この視覚的な表現により、正の数と負の数の関係性がより明確になります。
数直線を用いることで、以下のような概念も理解しやすくなります。
- 絶対値:数の大きさを表し、数直線上で0からの距離を示します。例えば、+5と-5の絶対値はどちらも5です。
- 符号:数の正負を表し、数直線上で0より右か左かを示します。正の数は「+」、負の数は「-」で表されます。
数直線を使うことで、加法や減法の意味も視覚的に理解できます。例えば、3+2 は、3の位置から右に2つ進むことを意味し、3-2 は、3の位置から左に2つ進むことを意味します。
さらに、数直線は温度計や標高、銀行残高など、日常生活のさまざまな場面で活用されています。例えば、気温が-2℃から5℃に上昇したとき、温度の変化は7℃となります。これは数直線上で-2から5まで右に7つ進むことに相当します。
このように、数直線は正の数と負の数の概念を視覚化し、その関係性を明確にする強力な道具です。これらの基本概念を踏まえた上で、乗法と除法の規則について詳しく見ていきましょう。
2. 正の数と負の数の乗法:規則と考え方
正の数と負の数の乗法には、以下のような規則があります。
- (+) × (+) = (+)
- (-) × (-) = (+)
- (+) × (-) = (-)
- (-) × (+) = (-)
上記の計算式は、符号のみの計算を表しています。
これらの規則は、既に学校の授業で学習したものだと思います。
そして、負の数の計算を学んだ時、なぜ計算結果が上記の式のようになるか、いまいち理解できなかった人も少なくないと思います。
ですが、上記の式のようになるのは、数直線のイメージと既に学習済みの正負の数の加法、減法のイメージを使えば簡単に導き出すことができます。
例えば、(-2)×(-3)=6 となる理由を考えてみましょう。これは「-2を3回足す」ことの逆、つまり「-2を3回引く」と考えると理解しやすくなります。
$(-2)-(-2)-(-2) = 2+2+2 = 6$
このように、負の数を引くことは正の数を足すことと同じになります。
実生活での例を挙げると、借金(負の数)を3回返済(負の数をかける)すると、資産(正の数)が増えるというイメージです。
また、(-4)×(+5) = -20 のような計算も、「-4を5回足す」と考えると理解しやすくなります。
$(-4)+(-4)+(-4)+(-4)+(-4) = -20$
このように、乗法の規則を単なる暗記ではなく、イメージを持って理解することで、より深く正負の数の計算に関する力がついてきます。
さらに、乗法の交換法則(a×b = b×a)が正の数と負の数の乗法でも成り立つことを確認しておくことも重要です。例えば、(-2)×(+3) = (+3)×(-2) = -6 となります。
また、乗法の結合法則 (a×b)×c = a×(b×c) も同様に成り立ちます。例えば、((-2)×(+3))×(-4) = (-2)×((+3) × (-4)) = 24 となります。
これらの法則が成り立つことを理解しておくと、より複雑な計算を効率的に行うことができます。
正の数と負の数の乗法を学ぶ際には、具体的な状況と結びつけて考えることも有効です。
例えば、ある商品を1個あたり300円で5個買った場合、総額は300×5 = 1,500円となります。
一方、1個あたり300円の商品を5個返品した場合、返金額は300× (-5) = -1,500円となります。このように、正の数と負の数の乗法は、日常生活の様々な場面で応用されています。


3. 正の数と負の数の除法:乗法との関係
除法は乗法の逆演算と考えることができます。そのため、正の数と負の数の除法も、乗法と同じ符号の規則に従います。
- (+) ÷ (+) = (+)
- (-) ÷ (-) = (+)
- (+) ÷ (-) = (-)
- (-) ÷ (+) = (-)
例えば、(-6)÷(-2) = 3 となる理由を考えてみましょう。これは「-6を-2で割ると、その商に-2をかけると-6になる数」を求めているからです。
3×(-2) = -6
したがって、(-6)÷(-2) = 3 となります。
日常生活での応用例として、速度計算を考えてみましょう。例えば、-30kmの距離(後ろ向きに30km)を2時間で移動した場合、速度は次のように計算できます。
(-30km)÷2時間 = -15km/h
このように、負の数を含む除法も、具体的な状況と結びつけて理解することができます。
除法の場合、0で割ることができないという重要な制限があります。
これは、どんな数を0にかけても0になるため、逆の演算である除法では定義できないからです。例えば、5÷0 や (-3)÷0 は定義されません。
また、除法には乗法の交換法則が成り立たないことにも注意が必要です。例えば、12÷3 ≠ 3÷12 です。しかし、(a÷b)× c = a÷(b÷c) という関係は成り立ちます。
正の数と負の数の除法を理解する上で、分数との関係も重要です。
例えば、(-6)÷(+2) = -3 は、分数で表すと $\frac{-6}{2}$ = -3 となります。このように、除法は分数の概念と密接に結びついています。
さらに、除法の逆数の性質も覚えておくと便利です。a÷b = a×$\frac{1}{b}$という関係があります。例えば、(-8)÷(-2) = (-8)×(-$\frac{1}{2}$) = 4 となります。
4. 複合的な計算と応用
実際の数学の問題では、乗法と除法が組み合わさった複合的な計算が出てくることがあります。例えば、(-2)×(+3)÷(-6) のような式です。
このような場合、以下の手順で計算を進めます。
1. まず、(-2)×(+3) = -6 を計算します。(計算は左から行うルール)
2. 次に、-6÷(-6) = 1 を計算します。
したがって、(-2)×(+3)÷(-6) = 1 となります。
このような複合的な計算でも、各ステップで符号の規則を適用していくことで、正確に解を求めることができます。
また、これらの規則は、これから学ぶことになる数学の様々な分野の計算の基礎となります。
さらに、科学や工学の分野でも、正の数と負の数の乗除は重要な役割を果たします。
例えば、物理学では力の向きを表現するのに正負の概念が使われ、その計算には乗除の規則が適用されます。
電気回路の計算でも、電圧や電流の向きを表現するために正負の概念が使われます。例えば、ある回路で電流が逆向きに流れる場合、その電流値は負の数で表されます。
経済学においても、利益を正の数、損失を負の数で表現し、その計算に乗除の規則が適用されます。例えば、ある商品の売上が前年比-10%だった場合、その計算には負の数の乗法が使われます。
このように、正の数と負の数の乗除は、数学の基礎概念であるだけでなく、様々な分野で応用される重要な概念です。
まとめ
正の数と負の数の乗法・除法は、一見複雑に思えるかもしれませんが、基本的な計算規則とイメージを組み合わせることで、十分に理解可能な概念です。
このページで学んだ主なポイントは以下の通りです。
- 数直線を用いて正の数と負の数を視覚的に理解する。
- 乗法の規則:同符号の積は正、異符号の積は負になる。
- 除法は乗法の逆演算であり、同じ符号の規則が適用される。
- これらの規則は、具体的な状況や日常生活の例と結びつけて理解できる。
- 複合的な計算でも、各ステップで規則を適用することで解決できる。
これらの概念を十分に理解し、練習問題を解くことで、数学の基本的な計算力がついていき、今後学んでいく様々な数学の分野のベースが整います。
正の数と負の数の乗除は、数学を学習する上で重要な基礎となるものです。この基礎をしっかりと身につけることで、数学に対する苦手意識を無くしたり、場合によっては数学を学習することが好きになる人も出てくるでしょう。


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