中高生が学校で学ぶ内容は、
「果たしてこれを学んで普段の生活にどう活かせるのか?」
「これはただ、進学するために勉強しているだけのことだ」
と思いがちです。
でも、実際に勉強していることを日常生活で活かせるシーンが少ないのも事実です。
勉強をしていくうえで、「勉強の目的」を明確にすることは、モチベーションの維持につながるので非常に大事ですが、「何のためにこれを今勉強しているのか?」と疑問に持ってしまうのはモチベーションを維持させるのが難しい状態になる傾向があります。
なので、このページでは、まず中学数学の「正の数・負の数」の勉強内容が日常生活でどのように活かされているのかを紹介していきます。
なお、「正の数・負の数の勉強内容だけ身につけたい。」「まずは学校で勉強することをしっかりとマスターしてから勉強以外の知識を取り入れたい」という学生さんは、下記のページで正の数・負の数の解説をしているので、ぜひ勉強の参考にしてみてください。




そして結論からお話すると、正の数・負の数の知識は、日常生活のさまざまな場面で「変化」や「違い」を正確に理解し、効率的に考え、行動するために非常に有効なツールになります。
正の数・負の数は「変化」を表すための便利なツール
まずは正の数負の数の最大の特徴からお話を展開していきます。
正の数負の数の最大の特徴は、ある基準からの増減を1つの数で表せることです。
「増えた・減った」「上がった・下がった」「進んだ・戻った」といった出来事を、単純な加減算で整理できるのは、正の数負の数の強みです。
弧の特徴を踏まえて、実際に日常生活で正負の数がどう使われているかを、身近な例から掘り下げていきます。
気温や天気の変化を表す
日々の生活で一番わかりやすいのが気温の変化です。
天気予報で「最低気温-3℃、最高気温12℃」というように、マイナスやプラスの記号が出てきます。
例えば朝が-3℃で、昼には12℃になったとします。
このとき気温の変化は 「12−(−3)=15℃の上昇」 です。
正の数負の数を使えば、この変化を簡単に数値化できます。
また、季節の変化も同じです。
冬はマイナス気温が多く、春や夏はプラスの気温が続きます。
気温の変動を数字で捉える習慣があれば、服装や行動計画の判断がスムーズになります。
お金の管理に活かす
気温の変化以外に正の数負の数の特徴を活かせるのがお金の管理の場面です。
お金の出入りも正の数負の数で管理できます。
収入を「プラス」、支出を「マイナス」として記録すると、残高を一目で把握可能です。
例えば、
- 500円もらう → +500円
- 200円使う → −200円
- 残高 → +300円
このように記録すると、お金の動きが「増減の流れ」として見える化されます。
家計簿やお小遣い帳だけでなく、将来のアルバイトや給与管理にも応用できます。
ポイントカードやゲームスコアにも
また、お金の管理に関連して、現代では、スーパーやコンビニのポイントカード、ネット通販のポイントサービスなどもありますし、ポイントから話を広げると、スマホゲームなど、あらゆるところでポイントの増減があります。
- ポイントが増える → +◯ポイント
- ポイントを使う → −◯ポイント
さらにゲームでは、得点の加算・減点を正の数負の数で表すことが多いです。
例えば「敵に当たったら−10点、アイテム取得で+20点」というように、スコア変動が直感的に理解できるのも、正の数負の数の恩恵です。
基準との差を考える力
正の数負の数の特徴である、ある基準からの増減を1つの数で表せるという点についてもう少し別の視点で見ていきます。
正の数負の数は「今の状態と基準との差」を表すときにも有用です。
これは特に学生生活の中で役立つ場面が多いです。
実際にどういったときに使えるかを見ていきます。
成績の変化を把握する
まずは成績の変化を見ていくときに役立ちます。
テストの点数を比べるとき、「前回より+15点だった」「今回は−8点だった」という表現をします。
これも正の数負の数の考え方です。
例えば前回が70点で、今回が85点なら
- 基準(前回)との差=+15点
逆に今回が62点なら
- 差=−8点
この「差を数字で把握する習慣」があれば、自分の成績推移を客観的に見られるようになります。
平均点の計算に使う「仮平均法」
また、自分の過去の成績との比較以外にも、全体の平均からの差を表すときにも使えます。
たとえば、クラスのテスト結果から平均点を求めるときに使える「仮平均法」という考え方があります。
一旦80点を仮の平均と設定し、
- 80点より高い → プラスの値
- 80点より低い → マイナスの値
として合計します。
最後に全員分の合計差を人数で割れば、正しい平均点が求められます。
計算の手間が減り、大量のデータを扱うときにも便利です。
順位やランキングの変動
成績の評価を行う以外にも、部活や大会、オンラインゲームのランキングなどでも順位変動を
- 上がった → +順位
- 下がった → −順位
と表せます。
例えば「前回より+2位」なら順位が上昇したことがすぐに分かります。
こうした表現はモチベーション管理や戦略の改善にも役立ちます。
正の数負の数は「反対の性質」を1つの数で表せる
ここまでのお話は、正の数負の数の「ある基準からの増減を1つの数で表せる」という特徴に焦点を当ててみてきました。
弧の特徴以外にも、正の数負の数のもう1つの特徴に、「反対方向の量を同じ基準で扱える」という点があります。
これにより、さまざまな分野で計算や思考がシンプルになります。
ここからはこの特徴を使った例を見ていきましょう。
時差の計算
「反対方向の量を同じ基準で扱える」という特徴を最も効果的に活かせるのが、時差の計算の時です。
世界の都市の時刻差は正の数負の数で整理できます。
本初子午線が通っているロンドンを0時間とすると、
- 東京:+9時間
- ニューヨーク:−5時間
東京とニューヨークの時差は、+9−(−5)=+14時間と計算できます。
旅行や国際連絡、海外ニュースの時間換算にもこの考え方が必須です。
ビルの階数や標高・水深
時差の計算以外にも身近な例としては、建物の高さや標高、水深の計算などにも活用できます。
例えば、ビルでは地上を0階として、
- 上の階 → プラス
- 地下 → マイナス
海の高さや深さも同じで、海面を0mとして
- 山の高さ → プラス
- 海底の深さ → マイナス
と表します。
例えばエベレストは+8,848m、マリアナ海溝の最深部は−10,924m です。
年号や時間の前後関係
また、年号などの時間の関係の計算の際にもこの特徴を活かして行うことができます。
たとえば、歴史の年号も正の数負の数で表せます。
- 紀元後 → プラス
- 紀元前 → マイナス
紀元前500年と西暦2000年の差は、2000−(−500)=2500年
未来や過去を考えるときも「今」を0としてプラス・マイナスで整理できます。
学校生活での正の数負の数の活用
ここまでのお話は、正の数負の数の活用できるような例を、それぞれの特徴に沿っていくつか紹介してきました。
ですが、このページを見ている多くのユーザーは学生さんであり、もう少し学生生活に見られる分かりやすい例はないのか?と思っているかもしれません。
なので、ここからはもう少し学生さんの日常生活に入り込んで、正の数負の数が使われる例を紹介していきます。
まず結論からですが、授業や部活動、友達とのやりとりなど、実はその多くに「プラスとマイナスの変化」が潜んでいます。
このことを念頭にいくつか例を見ていきましょう。
勉強計画におけるプラス・マイナス管理
まずは、上述もしたテストの成績関連の話やそれに伴った勉強のスケジュール管理についてのお話からです。
テスト勉強や宿題の進捗は、「できた量」「残りの量」を正負で表すと分かりやすくなります。
例えば英単語を100個覚える計画で、今日は30個覚えた場合、
- +30:達成量
- 残り:100−30=70個
さらに翌日、5個忘れてしまったとすると
- 30−5=+25(現在の習得数)
このように、覚えたことも忘れたことも同じ数直線上で管理できるのは、正の数負の数ならではです。
部活動の記録管理
勉強以外にも、これも上述しましたがスポーツの記録管理にも正の数の数の知識を用いることができます。
例:陸上部
- 前回タイム:15.2秒
- 今回タイム:14.8秒
→ −0.4秒(タイム短縮)
例:吹奏楽部
- 先週のミス数:8回
- 今週のミス数:5回
→ −3回(ミス減少)
改善はマイナス、悪化はプラスとして管理すると、記録の意味が直感的に分かります。
出席日数や遅刻回数
これら以外にも、最も直感的でわかりやすいのが出席日数などの管理計算です。
出席日数や遅刻回数も、基準との差で表せます。
例えば「出席日数が平均より+5日多い」「遅刻が−2回(減少)」などです。
学年末の振り返りや生活習慣の改善に活かせます。
家庭生活における正の数負の数
また、学校だけでなく、家庭でも正の数負の数は役立つ場面が多いです。
続いて、家庭の中に見える正の数負の数の例を見ていきます。
冷蔵庫や冷暖房の設定温度
1つ目の例は、自分でも操作することがあるであろう、電子機器の設定温度や空調設備の設定温度です。
冷蔵庫の設定はマイナスの温度が多く、エアコンはプラスの温度が基本です。
例えば冷蔵庫の冷凍室が−18℃から−15℃になると、温度は+3℃上昇しています。
また、エアコンの設定を28℃から26℃にすると、−2℃の変化です。
こうした数値感覚があれば、家族との温度設定の相談や節電の工夫にもつながります。
家計やお小遣い管理の実践
先述した「お金の増減」は、家庭全体でも重要です。
- 給与やお小遣い → プラス
- お菓子代や交際費 → マイナス
月末に
- 合計プラス:+50,000円
- 合計マイナス:−48,000円
→ 差し引き +2,000円(黒字)
こうして毎月の家計をプラスマイナスで管理すると、無駄遣いの発見や貯金計画の立案が容易になります。
家事の進捗管理
そして、家事の進捗管理の際も正の数負の数の考え方は利用できます。
少しイメージが付きにくいかもしれませんが、掃除や片付けのタスクも正の数負の数の考え方で管理可能です。
たとえば、
- 今日終わらせた部屋数 → プラス
- 予定から遅れた分 → マイナス
「あと3部屋残っている」や「予定より2部屋多く片付けた」という具合に、進み具合を一目で把握できます。
趣味や娯楽における正の数負の数
ここまで見てきた例をもとに考えると、日常生活の中では何でも正の数負の数の知識を活かせそうだと思ってくると思います。
実際にその通りで、ここからは、勉強や家事だけでなく、趣味の世界でも正の数負の数を利用できる例を見ていきます。
ゲームのスコアやレベルアップ
スマホゲームのポイントについても先述した通りですが、スマホゲーム以外にもRPGやスポーツゲームでは、経験値やポイントの増減が頻繁にあります。
- 敵を倒す → +50ポイント
- ダメージを受ける → −20ポイント
最終的に「合計ポイントがプラスかマイナスか」で、勝敗やランクが決まります。
スポーツ観戦のデータ分析
また、野球やサッカーなどのスポーツ観戦では、得失点差をプラスマイナスで表すことができます。
- 得点が多い試合 → プラスの得失点差
- 失点が多い試合 → マイナスの得失点差
シーズン通算でプラスが大きいほど、成績が良い傾向にあります。
これはスポーツ観戦が趣味な人にとってはなじみ深いことだと思います。
写真や動画編集の数値調整
さらに、写真や最近では動画編集を趣味にしている人もいますが、写真編集ソフトでは、明るさ・コントラスト・色合いを正の数負の数で調整します。
- 明るくする → プラス
- 暗くする → マイナス
こうした操作も、正の数負の数の概念を理解しているとスムーズに行えます。
正の数負の数で論理的思考を鍛える
ここまで日常生活での具体例を紹介しましたが、正の数負の数は単なる計算技術ではなく、論理的思考の基盤にもなります。
どういうことを言っているのかを、ここから説明していきます。
「増減」を瞬時に判断する力
1つ目は数値の変化の判断力です。
正の数負の数に慣れると、「基準との差」をすぐに判断できるようになります。
これは勉強やスポーツだけでなく、買い物の割引計算や時間の逆算にも有効です。
複雑な状況を数直線で整理
2つ目は視覚的に理解する力です。
複数のプラスマイナスが同時に起こる場面でも、正の数負の数の問題であれば、数直線を使えば整理可能です。
例えば、「昨日から −3℃、今日から +5℃」といった場合も、
- 合計変化 = +2℃
と即座に把握できます。
将来の数学・理科・社会科目にも直結
3つ目は、他の教科への応用力です。
中学の他教科でも、正の数負の数は基礎知識として登場します。
- 理科:電気のプラス・マイナス、速度の方向
- 社会:経済の増減率、人口増減
- 技術・家庭科:温度管理、エネルギー計算
高校以降の関数・物理・経済学にもスムーズに移行できます。
将来の進路・職業での正の数負の数の応用
ここまでのお話は、日常生活の中で活かせる正の数負の数の知識でした。
何となく正の数負の数の知識が普段の生活でも活かせるということをイメージできたかもしれませんが、どうしても中学生のうちは、数学が将来のどの職業に役立つのかイメージしにくいかもしれません。
しかし、正の数負の数の概念は、幅広い職業で必要とされます。
ここからは将来の仕事でどのように活きてくるのかを紹介します。
ビジネス・経済分野での応用
社会に出た後に最も正の数負の数の知識が活きるのが経済の分野です。
会社経営や経済活動では「収益」と「損失」が常に発生します。
- 売上増加 → プラス
- 費用増加 → マイナス
株価や為替の変動も、ニュースで「前日比+〇円」「−〇円」と表現されます。
こうした数値を瞬時に理解できることは、投資や経営判断に直結します。
科学・工学分野での応用
経済の分野のほかには、もちろん理系の知識を活用する科学や工学の分野でも活きてきます。
物理学や化学では、温度や速度、電気の極性などで正の数負の数を使います。
- 速度の方向:右向きはプラス、左向きはマイナス
- 電位差:プラス極・マイナス極
- 熱の出入り:吸熱はプラス、放熱はマイナス
エンジニアや研究者になると、この正負の理解が前提となる計算を日常的に行います。
IT・データ分析分野での応用
さらに、プログラミングやデータサイエンスの世界でも、正の数負の数は欠かせません。
- 位置座標(X軸・Y軸のプラスマイナス)
- 売上の増減データ
- センサーからの温度・加速度の測定値
特にデータ分析では、変化量や差分を正の数負の数で記録することで、傾向や異常値を発見できます。
社会生活での「正の数負の数」活用例
簡単に将来の仕事で正の数負の数の知識が活かせる分野を紹介しました。
上記のような分野で活かされているということであれば、将来の仕事だけでなく、日常の社会生活にも正の数負の数は密接に関わっています。
天候・災害情報
まずは、天気予報などに見られます。
天気予報では「平年比」や「昨日との差」が頻繁に使われます。
- 昨日より気温が−5℃
- 平年より降水量が+20mm
災害情報でも、川の水位が基準より+2mなど、命を守るための判断に直結します。
健康管理
また、医療分野や最近では前よりも自分自身で健康管理をしやすくなってきたので、そういった場面にも使われます。
たとえば、体重や体温の増減、運動の消費カロリーもプラスマイナスで表せます。
- 体重:+1.2kg(増加)
- 体温:−0.8℃(解熱)
定期的に記録することで、体調管理やダイエット計画が科学的に行えます。
交通・移動
他にも、電車の遅延や高速道路の渋滞情報でも、所要時間の増減を正の数負の数で示します。
- 通常より+15分(遅延)
- 通常より−5分(早着)
旅行や通勤の計画に役立ちます。
身の回りの「負の数」実例集
ここまでの説明で、正の数は算数の時から触れることが多く、実際に定量的に見たり、感じたりできるものであるので、イメージがしやすいですが、負の数については、まだイメージが難しいかもしれません。
なので、ここからは負の数の実例集を紹介します。
自然・環境
まずは、自然環境に見られる負の数の例です。
- 氷点下の気温(−3℃など)
- 海面下の地形(−50mなど)
- 気圧の変化(基準より−10hPa)
学校・家庭
次に、学校生活や家庭内の生活に見られる負の数です。
- 遅刻回数の減少(−2回)
- 宿題の未提出数(−1冊)
- お小遣い残高の減少(−500円)
趣味・スポーツ
最後に、趣味やスポーツで見られる負の数です。
- ゴルフのスコア(パーより−3)
- ゲームのライフ減少(−2)
- 陸上タイム短縮(−0.5秒)
正の数負の数を生活に取り入れる練習法
以上で、日常生活に見られる正の数負の数についての説明になります。
こうしてみると、身の回りには正の数負の数が使われていることが分かったでしょうか?
こういったことを敏感に感じ取れるようになるには、もちろん経験もありますが、努力してアンテナを立てることもできるようにもなります。
最後に、日常で自然に正の数負の数を使えるようになるための方法を紹介します。
1. 1日の「増減日記」をつける
1つ目は、増減日記をつけることです。
これは、簡単なことでも問題ありませんが、生活を送る中で何か数値に変化のあったことを記録していくというものです。
たとえば、下記のようなものがあります。
- 今日の気温差
- 今日の歩数の増減
- 勉強したページ数
数直線を描きながら記録すると、変化が視覚的にわかります。
2. 家族や友人と「増減クイズ」を出し合う
2つ目は、簡単なクイズ形式で会話をしてみるということです。
例:「昨日の気温が15℃、今日は−2℃。差は?」
このようなことを日常会話にゲーム感覚で取り入れると、定着が早まります。
3. ニュースや天気予報を数字でチェック
3つ目が最も手軽かもしれませんが、テレビなどのニュースや天気予報で数字をしっかりと見ていくことです。
テレビやネットの情報から、プラスマイナスを意識して数値を拾う習慣をつけます。
まとめ
このページでは、中学数学の正の数・負の数が日常生活のどういったシーンで活用されているかを紹介してきました。
改めてですが、正の数・負の数は、日常生活の「変化」や「違い」をすばやく、正確に理解するために非常に有効なツールです。
この知識があれば、気温やお金、成績や時差、歴史や未来の計画まで、身の回りのあらゆることを効率的に考え、行動できるようになります。
さらに、論理的思考力や問題解決力も身につき、将来の自分を支える大きな力となります。
中学生で学ぶ正の数負の数は、単なる中学数学の基礎的な考え方をつくるものではなく、毎日の生活をもっと便利に、楽しくするためのツールです。
これからも、日常の中で「プラス」「マイナス」を意識して、正の数負の数をどんどん活用してみてください。
きっと、今までよりも日常の生活が少し違った見方で見れるようになると思います。
そして効率よく見えるようになるはずです。
正の数負の数を味方につけて、もっと賢く、もっと楽しく毎日を過ごしましょう。
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