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身近な化学の不思議|高校生・中学生にわかりやすく生活で役立つ化学を解説

コラム

中学生や高校生になると、学校で学ぶ内容が「これって本当に生活に役立つの?」と疑問に思うことが多くなってきますよね。

特に理系科目は、実生活とつながりが見えにくく感じるかもしれません。

筆者も塾でアルバイトをしていると、そういう声をよく聞きました。

そこでこのページでは、学校で習う化学の知識がどのように日常生活に役立っているのかをわかりやすく紹介します。

結論から言うと、化学は決して教科書の中だけの学問ではなく、私たちの毎日の暮らしの中で大活躍しています。

料理や健康、身の回りの道具、環境問題まで、化学の力があるからこそ、便利で快適な生活ができているのです。

では、さっそく身近な例から化学の不思議な力を見ていきましょう。

 

食べ物や料理は化学反応の宝庫!

まずは、私たちが毎日口にする食べ物や料理の中に隠れている化学の話です。

調理は日常生活の中の化学実験

料理は、実はたくさんの化学反応の積み重ねでできています。

たとえば、ホットケーキや蒸しパンがふわっと膨らむのは、炭酸水素ナトリウム($NaHCO_3$:重曹)が加熱されて二酸化炭素を発生させる「熱分解反応」のおかげです。

熱分解反応は、中学校で習う「分解反応」の一種です。

お菓子作りに重曹を使うのはこのためで、炭酸ガスが生地の中にたくさんの小さな泡を作り出して膨らませてくれます。

また、サラダにお酢やレモン汁をかけると苦みが和らぐのも化学の力です。

野菜の苦みの原因となるアルカリ性の成分が、お酢の酸性と中和反応を起こすため、味がまろやかになります。

これも学校で学ぶ「中和反応」の実例です。

料理においての他の例は、肉を焼いたときの変化も化学の作用です。

熱で肉のたんぱく質が変性し、色や食感が変わる「変性反応」と呼ばれるものです。

魚の身が焼くと白くなるのも、たんぱく質の構造が熱で変わるからです。

また、加熱に関しては、パンを焼くときの「メイラード反応」も知っておきたい化学反応の1つです。

糖とたんぱく質が熱で反応し、食べ物の香ばしい色や風味を作り出しています。

これらを理解すると、焼き加減や材料の組み合わせを工夫して、より美味しい料理が作れます。

調理以外の台所仕事も化学が活きている

さらに、食材の保存にも化学は活躍しています。

冷蔵庫が食べ物を腐りにくくするのは、低温が化学反応の速度を遅くするからです。

細菌の増殖も化学反応の一種なので、温度を下げてその反応を抑えているわけです。

また、食品添加物として使われる保存料も、細菌の繁殖を抑える化学物質です。

例えば、ソルビン酸や安息香酸は細菌の活動を止める効果があり、これによって食べ物の安全性とおいしさを長く保てます。

この他にも、リンゴやじゃがいもを切ると茶色く変色するのも化学の反応です。

これは空気中の酸素と食材の成分が反応する「酸化反応」です。

食材の酸化を防ぐには、レモン汁に含まれるビタミンCが効果的です。

ビタミンCは酸化を防ぐ作用があり、切った果物にかけると変色を防げます。

こうした知識は、料理やお弁当作りにも役立ちます。

食材そのものも化学反応で作れる!?

ここまでは調理や保存において化学が使われている例を紹介してきました。

上記のような例以外にも、実は化学の力を利用して食材になっているものもあります。

それが、発酵食品です。

発酵食品は微生物の働きによる化学反応で作られています。

例えば、ヨーグルトやチーズ、味噌や醤油は、微生物が食材の成分を分解して栄養や味を生み出す「発酵反応」の産物です。

発酵の仕組みを知ることで、これらの食品が健康に良い理由や作り方の工夫も理解できます。

このように、食べ物や料理は化学反応の連続で成り立っており、知識があると工夫次第で味や見た目、安全性を高められるのです。

 

体の中でも化学は大活躍!健康と体の仕組みを化学で理解しよう

料理における例の次は、人の体の中で起こっている化学反応を紹介していきます。

私たちの体の中でも、化学反応が常に起きています。

食べたものがエネルギーに変わり、筋肉が動き、免疫が働くのもすべて化学の力です。

生命維持活動は化学反応そのもの

たとえば、呼吸は体内で行われる重要な化学反応の1つです。

食べ物に含まれる糖質や脂肪が酸素と反応し、二酸化炭素と水、そしてエネルギーを作り出します。

この反応は酸化還元反応と呼ばれ、体が活動するための燃料を生み出す役割を果たしています。

運動した後に疲れるのも化学のせい?

運動中、酸素が不足すると筋肉は「乳酸発酵」という別の反応でエネルギーを作り出します。

中さん発行が進み、乳酸が溜まると疲労感を感じるのですが、これも化学反応の1つです。

乳酸発酵のしくみを知ると、休憩の大切さや適切な運動方法が理解できます。

薬やサプリも化学の力で効果を発揮

他にも、体調を崩した際には薬を服用することもあるかと思います。

そうした際の薬の反応も化学反応の代表例です。

例えば、胃薬も化学の力で働いています。

胃の中の強い酸性を和らげるために、アルカリ性の成分が中和反応を起こし、胃の痛みや不快感を軽減します。

また、風邪薬や解熱剤は、炎症を引き起こす物質の生成を抑え、症状を緩和します。

薬の成分やその働きを理解すると、正しい使い方や副作用の予防につながります。

さらに、食材に含まれる栄養素やサプリメントから補給する栄養なども化学反応になります。

ビタミンやミネラルなどの栄養素は体の中の化学反応を助ける触媒のような役割を果たし、健康を維持しています。

アレルギー反応も実は化学反応の1つ

また、アレルギー反応も化学反応の一種で、体が特定の物質に過剰反応する仕組みを知ることで、予防や対策がしやすくなります。

肌を守る商品も化学の力がサポート

これらの例の他にも、日焼け止めクリームや虫よけスプレーも化学の知識で作られており、紫外線や虫を防ぐ成分がどのように作用するかを理解することで、より効果的な使い方ができます。

 

身の回りの製品や道具に潜む化学のチカラ

ここまでのお話では、料理や体の中の反応の例を見ていきましたが、毎日使う道具や製品にも、実は化学の知識が活かされています。

ここからは、そんな身近な化学の力について詳しく見ていきましょう。

カイロの温かさの秘密

寒い冬に欠かせない「使い捨てカイロ」は、鉄が空気中の酸素と化学反応を起こす「酸化反応」で熱を発生させています。

具体的には、中に入った鉄粉が酸素と結びついて酸化鉄になるときに熱が出るのです。

この発熱反応がカイロの温かさの正体です。

この化学の仕組みを知っていれば、カイロの使い方や保管のコツもわかり、より効率よく温まることができます。

スマホやパソコンの電池も化学の力

また、今や現代の生活で欠かせないスマートフォンやパソコンの電池は、「電池の仕組み」や「イオン化傾向」といった高校で学ぶ化学の知識が応用されています。

電池は、化学反応で発生する電子の流れを利用して電気を作り出します。

リチウムイオン電池は特にエネルギー密度が高く、軽くて長持ちするのでスマホやノートパソコンに使われています。

こうした技術の背景を理解すると、電池の安全な使い方やリサイクルの重要性も自然と学べます。

スティックのりの色が変わる仕組み

学生さんなら一度は使ったことがあるであろうスティックのり。

このスティックのりを使うとき、最初は色がついているのに乾くと透明になることに気づきますか?

これは、のりの成分が空気中の二酸化炭素と反応して中和されることで色が変わるという化学反応です。

この現象を知っていると、化学反応が身近なところにたくさんあることが実感できます。

 

洗剤の種類と使い方を知って効率よく掃除しよう

上記で、調理における化学の例を見てきました。

でも化学の力を使える日常生活の行動は調理以外にもあります。

例えば、洗濯の際に使う、洗剤もその例です。

家庭で使う洗剤も化学の知識があればもっと効果的に使えます。

具体的に見ていきましょう。

酸性とアルカリ性の違い

洗剤には酸性洗剤とアルカリ性洗剤があります。

油汚れにはアルカリ性洗剤がよく効きます。

油は酸性成分に溶けにくいため、アルカリ性の洗剤が油を分解して落としやすくします。

逆に、水垢や石鹸カスなどのアルカリ性汚れには酸性洗剤が効果的です。

このように、洗剤の性質を知って使い分ければ、掃除の効率が上がり、時間も節約できます。

さらに、適切な洗剤を使うことで排水や環境への負担も減らせるのです。

洗剤の成分と環境への配慮

最近は環境に優しい洗剤も増えています。

洗剤の成分を化学的に理解すると、環境に悪影響を与えにくいものを選べるようになります。

生分解性の高い界面活性剤や、リンを含まない洗剤など、地球環境を考えた製品選びができるようになるのも化学の力です。

 

プラスチック、ガラス、金属――素材の性質を知ることの大切さ

ここまでの説明を通じて、日常生活の中で無意識に行っていることや身の回りの製品には化学の力を活かしたものが多いということを理解してもらえたでしょうか?

これだけ身の回りに化学の力を使ったものがあると、普段利用している様々なものが化学の力で作られているということまで想像できます。

実際に、私たちの周りにある様々なものは化学の力を使って作られています。

ここからは、そのようなものの「素材」に注目しながら、どのように化学が使われているかを見ていきます。

プラスチックの種類と特徴

まず私たちの身の回りにある代表的な素材の「プラスチック」から見ていきます。

プラスチックはとても便利な素材ですが、種類によって性質やリサイクル方法が異なります。

ポリエチレンやポリプロピレンは軽くて丈夫でよく使われますが、分解されにくいのが問題です。

一方で、生分解性プラスチックは微生物により自然に分解されるため、環境負荷が少ないのが特徴です。

こうした素材の特徴を知ることで、ゴミの分別や製品選びに役立ちます。

ガラスと金属の特徴

続いては「ガラス」と「金属」について見ていきます。

ガラスは熱や化学薬品に強く、透明なので保存容器などに適しています。

金属は電気を通しやすく、丈夫なため、配線や建材に使われています。

金属には鉄、アルミニウム、銅などがありますが、それぞれ錆びやすさや強度が違うことも高校の化学の知識で理解できます。

これらの素材の特徴を知れば、物の扱い方や長持ちさせるコツもつかめます。

ここではより具体的に素材の種類や特徴までは触れていきませんが、それぞれの素材がもつ特徴を知ることが巡り巡って環境負荷の軽減に貢献できるということは、しっかりと認識しておくといいでしょう。

 

化粧品や日用品も化学の知識で賢く選べる

ここまでは、少し工業製品が連想されそうなお話をしてきました。

ですが、上記でも虫よけスプレーや日焼け止めの例を挙げたとおり、化学は美容や健康にも深く関わっています。

肌に合う成分とアレルギーの理解

まずは化粧品の例を見ていきましょう。

化粧品の成分表を見ると、たくさんの化学物質が並んでいます。

どんな成分が肌に合うか、逆にアレルギーを起こしやすいかを知ることは大切です。

例えば、アルコールや香料は敏感肌には刺激になることがあり、化学の知識を持っていれば自分に合う製品を選べます。

衣服の素材選びも化学の応用

日用品の中でも衣服は普段から身につけるものなので、どんな人にも最も身近なものだと思います。

そのため、衣服に見られる化学の例にも触れておきます。

天然繊維と合成繊維の特徴

衣服の素材は天然繊維と合成繊維に大別されます。

綿やウール、絹などは天然繊維で、肌触りがよく吸湿性があります。

ポリエステルやナイロンは合成繊維で、強度があり、乾きやすくシワになりにくい特徴があります。

化学的な違いを知ることで、季節や用途に応じた服選びができます。

 

化学の知識で毎日をもっと快適に!ちょっとした工夫で生活が変わる

ここまで、化学が日常の様々な場面で役立っていることをお伝えしました。

最後に、化学の知識を使って日々の生活をより快適に、そして安全に過ごすための具体的な工夫を紹介します。

10円玉の黒ずみをピカピカに!「酸化」と「還元」の魔法

10円玉をきれいにする方法は、もしかしたら小学校の自由研究などで行ったことがある人もいるかもしれません。

分からない人もいるかもしれないので簡単に説明すると、10円玉が黒ずんでしまったとき、レモン汁でこするときれいになることがあります。

これは「酸化」「還元」という化学反応の仕組みを利用した方法です。

銅は空気や水と反応して酸化銅となり、表面が黒ずみます。

レモン汁に含まれるクエン酸は酸性で、酸化銅を還元して元のきれいな銅に戻します。

この原理を知っていると、日常の掃除や手入れに役立ちますし、化学反応の身近さも感じられます。

洗剤選びのポイントを押さえて効率アップ

キッチンの油汚れにはアルカリ性の洗剤が効果的で、お風呂の水垢には酸性洗剤が役立つことを前述しましたが、実は使い方にもコツがあります。

洗剤の成分表をチェックし、用途に合ったものを選ぶことが大切です。

また、洗剤の量や使うタイミング、すすぎの方法なども効果に大きく影響します。

これらはすべて化学の知識と経験に基づくコツなので、意識して生活に取り入れれば、掃除の効率と安全性が向上します。

身の回りの素材の安全性を見極める

ライフハックのようなお話ではありませんが、食品の成分表示や化粧品の成分表を読むことで、健康や環境に配慮した選択ができるようになります。

例えば、添加物の種類や濃度、アレルギーを引き起こす可能性のある成分を確認して、自分に合うものを選ぶことができます。

また、環境負荷の低い製品を選ぶ意識が、持続可能な社会の実現につながったりもします。

災害時にも役立つ化学の知識

さらに近年では、災害時の備えとしても化学の知識は重要視されています。

特に感染症が流行した昨今では、消毒液の正しい使い方や保存方法を知っておくと、感染症の予防に大いに役立ちます。

アルコール消毒液はウイルスや細菌の膜を壊す作用があり、適切に使えば非常に効果的です。

また、非常食の成分や保存性について理解しておくことも、安全な備蓄につながります。

知識を活かしてエコな生活を

そして、SDGsが注目されている現代では、環境問題への関心が高まる中、化学の知識はエコな生活の基本となります。

例えば、「凝固点降下」という現象を利用して、氷に塩を加えると氷の温度が下がり、冷たい飲み物を早く冷やせます。

こうした科学的な原理を知っていると、生活のさまざまな場面で効率的な工夫ができます。

リサイクル活動に参加する際も、素材の化学的性質を理解していると分別がスムーズにできますし、資源の再利用や環境保護に貢献できます。

 

まとめ

このページでは、中学・高校で学ぶ化学の知識がどのように私たちの生活に役立っているかを解説しました。

料理の膨らみや味の変化、健康を支える体内の反応、便利な製品の仕組み、そして環境を守るための工夫まで、化学の知識はあらゆる場面で活かされています。

学校での勉強は、単にテストのためだけでなく、毎日をより豊かで安全に過ごすための大切な基礎となっているのです。

これからも化学の学びを大切にし、生活の中でどんどん活用していきましょう。

そうすれば、身の回りの不思議や困りごとに自分で解決策を見つけられる力が身につきます。

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