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■負の数の加法は、数直線上で「左」に行くイメージをする。
■負の数の減法は、数直線上で「右」に行くイメージをする。
中学数学の「正負の数」の全体像を把握した次に学んでいくのは、「正負の数の加法・減法」になります。
ここの分野の序盤は何も難しくなく、正の数の加法・減法は算数で行ってきた、普通の足し算・引き算です。ですが、ここに負の数が入ってくると、途端に間違いを連発してしまう人で最初一定数出てきてしまいます。
この原因は至ってシンプルで、「負の数のイメージが出来上がっていない」ということに尽きます。
ここでは、正負の数の加法・減法の計算方法について、間違いが頻発しないようにイメージと合わせて解説していきます。
正負の数の加法・減法は数直線上の移動をイメージする
いきなり結論になりますが、中学数学で学習する正負の数の加法・減法をマスターする1番おすすめの方法は「数直線上の点の移動をイメージすること」です。
算数で初めて足し算・引き算を学習したときは、「おはじき」などを使ったり、身近にあるものを使って「足すことのイメージ」「引くことのイメージ」をしたと思います。
正の数の計算のイメージは上記のような「実際にあるもの」でイメージは可能ですが、負の数の計算ではそういう訳にはいきません。
(例えば、鉛筆が -1本あります。という状況は作れないですからね。)
なので、正負の数の計算イメージを補助するためのツールとして、数直線を使ってイメージする方法をおすすめします。
この数直線を使ったイメージのメリットは以下の通りです。
- 数直線上では始めの進行方向を向くことが、加法(足すこと)のイメージ
- 数直線上では始めの進行方向とは反対の方向を向くことが、減法(引くこと)のイメージ
負の数の計算をするために、負の数を足すことや引くこと、または負の数に足すことは引くことのイメージが容易にできるのが最大のポイントです。
もちろん、計算に慣れてしまったら、数直線を使ってわざわざイメージする必要はないですが、慣れるまでは自転車の補助輪のような感覚でイメージしながら計算をしてみることをおすすめします。
では、次から実際にイメージも交えて計算をしていきます。このページでは中学数学の計算をメインに解説していくため、正の数同士の加法・減法については省略します。
①正の数と負の数の加法
次の問題を計算しなさい。
5 + (-3)
この問題の実際の解法は以下の通りです。
5 + (-3)
= 5 – 3
= 2
答. 2
正負の加法の計算で、負の数が足す数である場合、かっこ()を外して計算します。
こうすることで、正負の数の加法が、正の数同士の減法と同じように計算できるようになります。
これを数直線を用いて、イメージしながら計算すると以下の通りです。
画像の中で説明があるように、足される数の5の位置に始めは点があります。足される数が正の数なので、右側が進行方向というイメージです。そこに足す数が3であるので、3つ分点を移動させますが、3の前にマイナス(-)が付いているので、左に3つ分移動します。始めは右側に進行方向のイメージがあったので、左に移動した時は後ろ向きに移動したというイメージです。
すると、点が2の位置に来るので、答えは2と導き出されます。
②負の数と正の数の加法
次の問題を計算しなさい。
-4 + 3
この問題の実際の解法は以下の通りです。
-4 + 3
= -1
答. -1
次に正負の加法の計算で、正の数が足す数である場合、そのまま計算します。
足す数が正の数の場合は、計算に特に工夫をする必要がないため、そのまま計算を進めてしまっても大丈夫です。
これを数直線を用いて、イメージしながら計算すると以下の通りです。
画像の中で説明があるように、足される数の-4の位置に始めは点があります。そのため、足される数が負の数なので左側が進行方向というイメージです。そこに足す数が3であるので、3つ分点を移動させますが、3の前には符号がない(厳密に言えば、プラス(+)が付いていますが、省略されている)ので、右に3つ分移動します。始めは左側が進行方向でしたが、右側に移動したので、後ろ向きに移動したというイメージです。
すると、点が-1の位置に来るので、答えは-1と導き出されます。
③正の数と負の数の減法
続いて、減法の計算を行っていきます。減法は加法より少し考える過程が増えるので、難しく感じるかもしれません。ですが、ここは数直線が本領発揮する部分なので、安心して学習を進めましょう。
次の問題を計算しなさい。
6 – (-2)
この問題の実際の解法は以下の通りです。
6 – (-2)
= 6 – -2
= 6 + 2
=8
答. 8
正負の減法の計算で、負の数が引く数である場合、かっこ()を外して計算します。
こうすることで、引き算を表す(-)の記号と、2の前に付いているマイナスを表す(-)の符号が重なってしまいます。この場合は、引き算を表す(-)の記号とマイナスを表す(-)の符号をプラス(+)の符号に変換し、正の数の加法にして計算を進めます。
ここで、なぜ引き算を表す(-)の記号とマイナスを表す(-)の符号をプラス(+)の符号に変換するのかという疑問が出てくると思います。それを数直線での説明が解説します。
画像の中で説明があるように、引かれる数の6の位置に始めは点があります。引かれる数が正の数なので右側が進行方向というイメージです。そこに引く数が2であるので、2つ分点を移動させますが、2の前にマイナス(-)が付いているので、左に2つ分移動します。
そして、減法は始めの進行方向とは反対の方向に向くイメージです。
それらを総合的に踏まえて順に考えていきます。始めは右側が進行方向でしたが、減法なので、左向きになります。ですが、さらに引く数が負の数であり、マイナスの符号が付いているので、再度進行方向が右側になります。なので、最終的に正の数の加法のような計算方法になるということです。
すると、点が8の位置に来るので、答えは8と導き出されます。
学校の授業ではイメージしきれなかったことが、このように段階的に説明していくことで、理解が少しずつ追いついてくると思います。
1回や2回説明を聞いたり見たりしただけでは分からない部分もあるとは思いますが、少しずつ噛み砕いて理解をしていきましょう。
④負の数と正の数の減法
次の問題を計算しなさい。
-1 – 4
この問題の実際の解法は以下の通りです。
-1 – 4
= -1 + (-4)
= -5
答. -5
負の数と正の数の減法では、負の数同士の加法にして計算するという工夫が最も効果的です。
この問題についても数直線で解説していきます。
画像の中で説明があるように、引かれる数の-1の位置に始めは点があります。そして-1は負の数なので、始めは左側が進行方向というイメージです。そこに引く数が4であるので、4つ分点を移動させます。
そして、加法は始めの方向を向くイメージです。そのため、始めは左側が進行方向のイメージであったため、その方向(左側)を向くイメージになります。
それらを総合的に踏まえて順に考えていきます。始めは左側が進行方向でしたが、加法になるで、そのまま左向きになります。さらに引く数が正の数であり、プラスの符号が省略されているので、そのまま進行方向が左側になります。
すると、点が-5の位置に来るので、答えは-5と導き出されます。
⑤負の数同士の加法
続いて、負の数同士の計算を行なっていきます。考え方自体はここまで説明してきたことを使って考えていくので、ここまでの知識を確認しながら進めていきましょう。
次の問題を計算しなさい。
-3 + (-2)
この問題の実際の解法は以下の通りです。
-3 + (-2)
= -5
答. -5
負の数同士の加法では、始めの進行方向が左側のため、マイナスが大きくなる方向に進行していくイメージです。
画像の中で説明があるように、引かれる数の-3の位置に始めは点があります。そして-3は負の数なので、始めは左側が進行方向というイメージです。そこに引く数が2であるので、2つ分点を移動させますが、2の前にマイナス(-)が付いているので、左に2つ分移動します。
そして、加法は始めの進行方向を向くイメージです。そのため、始めは左側が進行方向のイメージであったため、その方向(左側)を向くイメージになります。
それらを総合的に踏まえて順に考えていきます。始めは左側が進行方向でした。そして加法なので、そのままの左向きであり、さらに引く数が負の数であり、進行方向が左側になります。
すると、点が-5の位置に来るので、答えは-5と導き出されます。
⑥負の数同士の減法
次の問題を計算しなさい。
-2 – (-1)
この問題の実際の解法は以下の通りです。
-2 – (-1)
= -2 – -1
= -2 +1
= -1
答. -1
負の数同士の減法では、始めの進行方向が左側のため、マイナスが小さくなる方向に進行していくイメージです。
画像の中で説明があるように、引かれる数の-2の位置に始めは点があります。そして-2は負の数なので、始めは左側が進行方向というイメージです。そこに引く数が1であるので、1つ分点を移動させますが、1の前にマイナス(-)が付いているので、左に1つ分移動します。
そして、減法は始めの進行方向とは反対の方向を向くイメージです。そのため、始めは左側が進行方向のイメージであったため、その反対方向(右側)を向くイメージになります。
それらを総合的に踏まえて順に考えていきます。始めは左側が進行方向でした。そして減法なので、右向きになり、さらに引く数が負の数であり、マイナスの符号が付いているので、再度進行方向が右側になります。
すると、点が-1の位置に来るので、答えは-1と導き出されます。
まとめ
ここまでが正負の数の加法・減法になります。
計算のイメージに慣れてしまえば大した問題ではありませんが、習いたてのうちや学習してから少し時間が経ってしまっていると、計算方法を思い出すのに苦労するかもしれません。
そして、この正負の計算はこの先ずっと使っていくものになります。
この段階でしっかりと計算方法を理解しておかないと、数学に限らず、理科や高校の数学や理科科目で計算問題が解けなくなります。
そうならないためにも、簡単な分野と侮らず、しっかりと知識を定着させていきましょう。
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