中学数学の図形の基本として、もう1つ、ここで学習する「図形の移動」というものがあります。
この学習分野は覚えることも少なく、ほとんど躓くことはない分野ではありますが、だからこそ基本をしっかりとマスターして、まずは平面図形の基本を身につけていってもらいたいところになります。
図形の移動は全部で3種類あるので、それを1つずつ解説していきます。
平行移動とは
まず始めに平行移動から説明してきます。
平行移動とは、図形全体をある方向にまっすぐスライドさせる操作を指します。
この移動では、図形の形や大きさが変わることはありません。また、図形の向きもそのまま保たれる点が特徴です。
平行移動は日常生活でもよく見られる現象であり、例えば机の上に置いた本を横にスライドさせるような動作がこれに該当します。
平行移動の特徴
平行移動には以下のような特徴があります。
1. 図形の形や大きさが変わらない
平行移動では、元の図形と移動後の図形が同じ形・同じ大きさになります。したがって、辺の長さや角度も変化しません。
2. 向きが変わらない
平行移動では、図形全体が同じ方向に等しく動くため、元の図形と同じ向きを保ちます。
3. どこへでも自由にスライド可能
平行移動では、図形を上下左右どちらへでも自由にスライドさせることができます。
実際の平行移動は下記の図のようになります。
この図中の赤い矢印を見てわかるように、三角形の各頂点が同じ長さ、同じ角度で移動していることが分かります。
これらの特徴が平行移動にはあるということをしっかりと押さえておきましょう。
平行移動の具体例
平行移動の特徴を押さえたところで、以下に平行移動を用いた具体例を示します。
例1:三角形の平行移動
例えば三角形ABCがあるとします。この三角形を右にスライドさせる場合、三角形全体がそのまま右側へずれます。
頂点A、B、Cもそれぞれ右側へ同じ距離だけずれるため、新しい位置でも三角形ABCは元と同じ形状を保ちます。
例2:日常生活で見られる平行移動
道路標識が風で倒れても、その絵柄が変わらず位置だけずれる場合や、エレベーターで荷物を水平に運ぶ場合なども平行移動と考えることができます。
回転移動とは
続いて、回転移動について解説していきます。
回転移動とは、ある固定された点(回転中心)を基準として、図形全体をくるっと回す操作です。この操作では、図形の大きさや形状は変わりませんが、その向きが変化する点が特徴的です。
日常生活では、自転車の車輪や扇風機の羽根などが回転する様子がこれに該当します。
回転移動の特徴
回転移動には以下のような特徴があります。
1. 回転中心から各頂点までの距離が一定
回転中心から各頂点までの距離(半径)は回転前後で変わりません。これは円周上を滑らかに回るようなイメージです。
2. 角度による向きの変化
図形全体が指定された角度だけ回転するため、その向きが変化します。例えば90度回転の場合、元々垂直だった辺は水平になることがあります。
3. 時計回り・反時計回り
回転方向には「時計回り」と「反時計回り」の二種類があります。数学では通常、「時計回り」は右側へ、「反時計回り」は左側へ回す操作として扱います。
実際の回転移動は下記の図のようになります。
この図のように、図中の赤い点を回転の中心とし、各頂点が90°ずつ右に回転していることが分かります。
これらの特徴が回転移動にはあるということをしっかりと押さえておきましょう。
回転移動の具体例
回転移動の特徴を解説したところで、続いて回転移動を用いた具体例を紹介していきます。
例1:四角形の回転
四角形ABCDを90°反時計回りに回転させる場合、四角形全体がくるっと左側へ向きを変えます。このとき四角形自体の大きさや辺の長さはそのままですが、新しい位置では向きだけ異なる状態になります。
例2:日常生活で見られる回転
自宅で扇風機や時計を見る際、それらがぐるぐると一定方向に回っている様子は典型的な「回転」の例です。また、自分自身で紙を持ってくるっとひっくり返す操作も「回転」に含まれます。
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対称移動とは
最後に対称移動について解説していきます。
対称移動とは、図形をある直線を基準として折り返すように移動させる操作です。この操作では、図形の形や大きさは変わりませんが、向きが反転する点が特徴です。対称移動は「鏡映し」のようなイメージで捉えることができ、日常生活では鏡に映った自分の姿や、水面に映る景色などがこれに該当します。
対称移動の特徴
対称移動には以下のような特徴があります。
1. 基準となる直線(対称軸)が存在する
対称移動では、図形を折り返すための基準となる直線を「対称軸」と呼びます。この直線を境にして、図形は左右または上下で鏡映しのような関係になります。
2. 図形の形や大きさが変わらない
対称移動では、元の図形と移動後の図形が同じ形・同じ大きさになります。辺の長さや角度も変化しません。
3. 向きが反転する
対称移動では、図形全体が折り返されるため、向きが反転します。例えば、右向きだった矢印は左向きになることがあります。
実際の対称移動は下記の図のようになります。
この図では、赤の線が対称移動の軸になっています。
この軸を境にして各頂点が鏡写しのように移動していることが分かります。
これらの特徴が対称移動にはあるということをしっかりと押さえておきましょう。
対称移動の具体例
以下は対称移動を用いた具体例です。
例1:三角形を対称移動する
三角形ABCをある直線を基準として対称移動するとします。この場合、三角形ABCの各頂点は基準となる直線を挟んで反対側に現れます。例えば頂点Aから基準直線までの距離と、基準直線から新しい位置の頂点A’までの距離は等しくなります。また、新しい三角形A’B’C’は元の三角形ABCと同じであり、鏡映しの関係になります。
例2:日常生活で見られる対称移動
鏡に映った自分の姿や、水面に映る景色などは典型的な「対称」の例です。また、美術作品やデザインでは左右対称な模様がよく使われています。
まとめ
このページでは、「平行移動」「回転移動」「対称移動」という図形の3種類の移動について解説しました。それぞれの特徴を簡単に振り返ってみましょう。
図形全体を一定方向にまっすぐスライドさせる操作。図形の形、大きさ、向きは変わらない。
図形全体をある点(回転中心)を基準として一定角度だけ回転させる操作。図形の大きさや形状は変わらず、向きだけが変化する。
図形をある直線(対称軸)を基準として折り返す操作。図形の大きさや形状は変わらず、向きが反転する。
これら3種類の図形の移動は、それぞれ異なる特徴を持っていますが、共通している点は「元の図形と移動後の図形が同じである」ということです。つまり、どの場合でも辺の長さや角度は変わりません。この性質を理解することで、図形の問題への対応力が高まり、より深い数学的思考力を養うことができます。
以上で「図形の3種類の移動」について解説しました。このページで学んだ内容を活用して、自分でも実際に図形を描いてみたり、身近な場面でこれらの概念を探してみたりしてください。図形の移動についての理解が深まる発見につながるかもしれません。
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