前回の学習内容で関数の基本的な考え方や意味の学習を進めてきましたが、関数を学習する上で考え方の基礎となる2つの数の間にある関係性について、このページでは学習していきます。
第一回として、2つの数の間にある関係性として、ある数の増加分(減少分)に合わせて、もう一方の数も同じだけ増加(減少)する関係を表す「比例」という関係について学習をしていきます。
比例の考え方は、今後の数学の学習をしていく中でも、ベースになる考え方になるものなので、しっかりと理解をしていきながら学習を進めていきましょう。
比例とは
早速ですが、比例とは2つの量の関係を表す概念で、一方の量が増えると、それに伴って他方の量も一定の割合で増えるという関係を指します。
例えば、時速60kmで走る車の場合、1時間で60km、2時間で120km、3時間で180kmと、時間と距離が比例関係にあります。
比例の特徴として、以下の点が挙げられます。
- 一方の量が2倍、3倍になると、他方の量も2倍、3倍になります。
- 一方の量が0のとき、他方の量も0になります。
- グラフで表すと、原点(0,0)を通る直線になります。
3.のグラフの特徴については後述しますが、これらの特徴を理解することで、比例関係を見分けやすくなります。
比例の一般形と比例のグラフ
比例の関係を数式で表現する際、一般的に以下のような形で表します。
$y=ax$
ここで、
$y$:従属変数(結果として変化する量)といいます。(特に覚える必要はありません。)
$x$:独立変数(基準となる量)といいます。(特に覚える必要はありません。)
$a$:比例定数(xとyの関係を決める定数)
この式は、比例のグラフを描く際の基本となります。グラフを描く手順は以下の通りです。
- $x$軸(横軸)と$y$軸(縦軸)を描きます。
- $x=0$のとき、$y=0$となるので、グラフは必ず原点(0,0)を通ります。
- いくつかの$x$の値に対応する$y$の値を計算し、座標平面上に点を書いていきます。
- 書いた点を直線で結びます。
実際の例としては、以下のようになります。
これは$y=2x$のぐらいになりますが、上記で説明したように、直線であり、原点を通ることが分かります。


比例定数の求め方と傾きの関係
ここまでは比例の基本的な内容を説明してきました。
その説明の中にずっと登場していた、比例定数についてここから深掘りしていきます。
比例の問題やグラフを解いていく際は、この比例定数というものが重要になってきます。どう重要かというと、比例定数aは、比例関係を特徴づける重要な値です。
なので、比例定数がもとまっていないと、問題を解いたりグラフを書くことができません。
そのようなことから、まずは比例定数の求め方について説明していきます。
比例定数の求め方には、以下のような方法があります。
1. グラフから求める方法
グラフ上の任意の点($x,y$)を選び、$y÷x$を計算します。
例:点(2,6)が与えられた場合、$a=6÷2=3$
2. 2点の座標から求める方法
2点($x_1,y_1$)と($x_2,y_2$)が与えられた場合、$a=(y_2-y_1)÷(x_2-x_1)$
例:(1,3)と(4,12)が与えられた場合、$a=(12-3)÷(4-1)=9÷3=3$
比例定数$a$は、グラフの傾きを表します。
$a$の値が大きいほど、グラフの傾きは急になります。逆に、$a$の値が小さいほど、グラフの傾きは緩やかになります。また、$a$が正の数の場合は右上がりの直線、負の数の場合は右下がりの直線となります。
例えば
- $y=2x$のグラフは、$y=x$のグラフよりも急な傾きを持ちます。
- $y=\frac{1}{2}x$のグラフは、$y=x$のグラフよりも緩やかな傾きを持ちます。
- $y=-x$のグラフは、右下がりの直線となります。
実際に見てみますが、これは緑のグラフが$y=2x$で青のグラフが$y=\frac{1}{2}x$のグラフになります。
この2つのグラフを比べると、比例定数$a$の大きさによって、グラフの傾きが変わることも分かります。
この2つのグラフは、緑のグラフが比例定数が正(2)のグラフで、赤のグラフが比例定数が負(-2)のグラフです。
これも比べると分かりますが、比例定数が正の数だと右上がり、比例定数が負の数だと右下がりになっています。
これらの関係を理解することで、比例のグラフをより正確に描くことができ、また、グラフから比例関係の特徴を読み取ることが可能になります。
比例の応用と日常生活での例
ここまでは比例の基本的な知識や考え方、グラフの特徴などを説明してきました。
続いては、ここまで説明してきた比例の概念が、日常生活の中ではどのように利用されているかを説明していきます。
結論から話すと、比例の概念は、日常生活の様々な場面で活用されています。以下に、いくつかの具体例を挙げてご説明します。
1. 料理の材料計算
レシピの分量を調整する際に比例の考え方が役立ちます。例えば、4人分のレシピを6人分に増やす場合、全ての材料を1.5倍にすることで適切な分量を求めることができます。
2. 買い物での単価計算
商品の量と価格の関係は多くの場合、比例関係にあります。例えば、100グラム200円の商品があった場合、300グラムでは600円になることが分かります。
3. 速さと距離の関係
一定の速さで移動する場合、時間と距離は比例関係にあります。例えば、時速60kmで走る車は、2時間で120km、3時間で180km進むことが分かります。
4. 縮尺を用いた地図の読み取り
地図の縮尺は比例の考え方に基づいています。例えば、縮尺が1:10,000の地図で1cmは実際の距離100mを表すことになります。
これらの例から分かるように、比例の考え方は私たちの生活に深く根ざしており、その理解は日常の様々な場面で役立ちます。


比例の性質を利用した問題解決
最後に、ここまで説明してきた比例の性質を使って、どのように他の単元にその知識を活かせるのかを説明します。
実際に比例の性質を理解することで、様々な問題を効率的に解決することができます。ここでは、比例の性質を利用した問題解決の方法をいくつかご紹介します。
1. 比の利用
比例関係にある2つの量の比は一定です。この性質を利用して、未知の値を求めることができます。
2. グラフの利用
比例のグラフは直線であるため、2点が分かれば全体の傾向を把握できます。
3. 比例定数の活用:
比例定数を求めることで、任意の入力に対する出力を計算できます。
これらの問題解決方法を身につけることで、比例に関する様々な課題に対応できるようになります。
まとめ
改めてにはなりますが、比例は、中学数学の基礎となる重要な概念です。その理解は、高校数学や実生活での様々な場面で活用されます。グラフを描いたり、比例定数を求めたりする練習を重ねることで、比例に関する理解がより深まります。
また、比例は他の数学的概念(例:一次関数、反比例)を学ぶ際の基礎にもなります。そのため、ここで学んだ内容をしっかりと身につけ、応用できるようになることが大切です。
数学の学習は、基礎的な概念を積み重ねていくことで進展します。比例の概念を十分に理解し、自信を持って活用できるようになれば、より複雑な数学的概念の習得にもつながります。日々の学習を通じて、数学の面白さと有用性を実感していきましょう。
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数学 |
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