「理系科目がどうしても苦手」「成績がなかなか伸びない」
こう感じている中学生や高校生、あるいはご家族の方も多いのではないでしょうか。
実は、その悩みの大半は基礎の理解不足から始まっています。
基礎をしっかりと押さえていないまま学習を進めると、応用問題や定期テストでの対応が難しくなり、さらに苦手意識が強くなってしまいます。
しかし裏を返せば、基礎さえ確実に身につけていれば、理系科目は誰にでも得意科目にできるのです。
このページでは、理系科目を学習していくうえで基礎が重要となる意味や、学年別、科目別にどういった基礎学習をしていけばいいかを解説していきます。
まずは、「なぜ理系科目で基礎学習が重要なのか」「どのように、いつまで続ければよいのか」について、具体的な実例を交えながら丁寧に解説していきます。
理系科目は「積み重ね」がすべての土台
最初に理系科目の学習を進めていくうえで、理解しておきたい大前提があります。
それは、理系科目の構造は積み重ね型だということです。
抽象的な知識を少しずつ積み重ねる
たとえば数学であれば、小学生で習う四則演算(足し算・引き算・掛け算・割り算)をベースに、中学では方程式、関数、図形などの分野が加わり、高校ではさらに三角関数や微分積分、ベクトルなどに発展します。
今のは数学の例ですが、理系科目は学習の知識がどんどん足し算されていくかのように積みあがっていくので、前に学んだ内容が理解できていないと、次に進んでも「何がわからないのかすら分からない」状態に陥るのが理系科目の怖さです。
物理や化学でも、単位変換や公式の理解、図やグラフの読み取りといったスキルが、初期段階で身についていなければ、複雑な問題には対応できません。
基礎力がなぜ入試や将来の学習で効くのか?
このように積み上げ型の学習スタイルでは「基礎」がとても重要になります。
では、なぜそこまで「基礎」が重要なのでしょうか?
結論からお話すると、その理由は明確で、高校入試や大学入試で問われるのは、まさに基礎の使い方だからです。
このように考える理由を下記で詳しく見ていきます。
「応用問題が解けない」は、基礎ができていないサイン
たとえば高校入試でよく出題される「関数のグラフと図形の融合問題」があります。
このような融合問題は、一見複雑に見えますが、実際には一次関数・比例・三角形の面積といった基本知識の組み合わせで構成されています。
共通テストや大学の個別試験でも、知識の深さよりも知識をどう使うかが問われる傾向が年々強くなっています。
つまり、「応用問題ができるようになるためには、基礎の理解が不可欠」なのです。
中学生のうちに理系の基礎を固める意義とは?
ここまで理系科目における「基礎」の重要性を確認してきましたが、その重要性は少しでも理解してもらえたと思います。
では実際に勉強をしていく場合、どの時期にどう取り組めばいいのでしょうか?
基礎学習の取り組み方を実際に見ていきます。
まずは中学生の段階での取り組み方を見ていきましょう。
中学生は基礎を身につける“黄金期”
中学生の学習は、理系科目の基礎を本格的に固めるための最も大切な時期です。
なぜなら、中学数学や理科で学ぶ内容は、すべて高校以降に繋がっているからです。
たとえば、
中学数学では
- 一次方程式・連立方程式 → 高校数学の代数の根幹
- 関数(比例・反比例・一次関数・二次関数) → 数学I・IIの基礎
- 図形の性質と証明 → 空間認識や論理思考のベース
中学理科では
- 物理分野(力・電流・運動) → 高校物理の基礎
- 化学分野(物質の構造・化学反応) → 高校化学の導入
- 生物・地学 → 応用分野での前提知識になる
つまり、中学生の3年間でどれだけ「基礎の理解」と「反復練習」ができるかが、将来の学習効率と学力を大きく左右します。
小学生から中学生に上がったときは、理系科目の学習内容は大きく様変わりしたので、中学生に今の学習は高校生の学習に繋がっているといってもイメージが難しいかもしれませんが、上記のように中学生の内容は高校生の学習にダイレクトに関連があるため、中学生のうちに基礎を身につけておくのが重要になります。
「いつまで基礎学習を続けるべき?」という疑問に答える
上記の説明で、中学生のうちに基礎を固めておくのがいいということは分かったと思います。
ここで多くの人が抱く疑問が、「基礎学習はどこまでやればいいの?」というものです。
これについては、学年ごとに少し考え方が変わるので詳しく見ていきます。
中学生:入試まで継続して基礎を鍛える
中学生の場合は、高校入試までは基礎重視で問題ありません。
むしろ、応用に取り組むよりも、基礎を何度も繰り返して確実に理解するほうが、結果的に得点につながります。
正直なところ、基礎内容の習熟には時間がかかります。
そのため焦って応用に進むより、「正しく理解し、使える」状態に仕上げていくことを優先しましょう。
毎日の学習習慣に「基礎」を組み込むには?
中学生のうちは基礎学習がメインで問題ありませんが、それを続けていくための勉強方法はどのようにするといいでしょうか?
結論からお話すると、基礎学習の継続は、毎日のルーティンに組み込むのが最も効果的です。
たとえば、次のような方法を取り入れると、自然に学力が定着していきます。
- 学校のワーク・教科書の例題を反復
- ノートに「自分の言葉でまとめ直す」
- 苦手分野のミニテストを週1で復習
- 1週間の勉強内容を、週末に確認する
このようにして「わかる」から「できる」に変えていく習慣を身につけることが、苦手克服の第一歩になります。
「基礎学習=反復と定着」である理由
では、具体的に基礎力を高めるにはどんな学習法が効果的なのでしょうか?
その答えは、「反復と定着」です。
理解 → 確認 → 実践 → 定着の流れをつくる
新しい知識を学んだあと、それを繰り返し確認し、自分で問題を解いて使えるようにしていくのが反復学習になります。
この流れを何度も回すことで、知識が脳にしっかり定着します。
具体的な反復学習は下記のような例を示します。
学習のプロセス例(数学の場合)
- 授業で考え方を学ぶ(インプット)
- 教科書の例題・基本問題で確認
- 類似問題を自力で解く
- 間違えた問題の分析と復習
- 翌日・翌週に再確認
このように、短期記憶から中長期の理解へと昇華する仕組みを自分の中で作ることが、最も効率的な基礎学習法になります。
高校生における理系基礎学習の意味と向き合い方
ここまでの話では中学生のうちに理系基礎を固める重要性を解説しました。
では高校生になった今、「もう基礎は終わっている」と思ってはいないでしょうか?
実はそれは大きな誤解です。
高校生こそ、中学の基礎+高校内容の基礎をしっかり身につけなければ、理系科目の学習でつまずいてしまいます。
ここからは、高校生が基礎にどのように向き合えばよいかを具体的に解説していきます。
高校内容も「基礎の理解」がすべてを左右する
高校で学ぶ数学・物理・化学の内容は、一気に抽象度と難易度が上がります。
しかしこの変化に対応するためにこそ、「基礎を理解する力」が不可欠になります。
教科書レベルを軽視しないこと
多くの高校生が、高校に入学すると同時に3年後の進路に向けて意識を向けるため、問題集や予備校教材ばかりに取り組み、教科書を読み込んでいないという問題があります。
しかし、教科書こそが最も体系的で基礎を網羅しており、「基礎→応用」の流れが一貫して設計された教材なのです。
特に理系科目では、定義・定理・法則・公式の「意味」をきちんと理解していないと、応用問題にはまったく太刀打ちできません。
入試に出るのは「基礎の応用」である
また、大学入試問題の大半は、教科書レベルの知識を使って未知の状況に対応できるかどうかを見ています。
したがって、いくら難問ばかりに手を出しても、基礎の運用力がなければ得点にはつながりません。
ここからは、科目別にどういった基礎学習をしていけばいいのかを見ていきます。
数学:定義・性質・典型問題を一つひとつ“自分の言葉”で理解する
高校生の理系の基礎力を鍛えるうえで、最も重要な科目の一つが「数学」です。
ここからは、科目別に基礎の取り組み方を解説していきます。
まずは数学からです。
数学は「考え方」の訓練である
高校数学では、中学よりも内容が抽象化されます。
たとえば、
- 2次関数 → 2次不等式や軸・頂点の利用
- 三角関数 → 単位円と座標との対応
- 微分・積分 → 変化と面積の関係性
- 数列 → 規則性の抽出と論理的思考
どの単元も、「計算」よりも「考え方」を問う問題が中心になります。
つまり、公式を暗記するだけでは絶対に通用しないのが高校数学の特徴です。
定義と意味を説明できるかがカギ
そういった特徴を踏まえたうえで基礎学習で意識すべきポイントは、「この公式はなぜ成り立つのか?」を自分の言葉で説明できるかどうかです。
たとえば、2次関数の軸の公式
$x=-\frac{b}{2a}$
について、「なぜその式になるのか?」「グラフ上でどういう意味があるのか?」と問われたときに答えられますか?
このような問いを自分で立てて考える力こそが、基礎から応用への橋渡しになるのです。
物理:現象の背景にある「法則」を正しくイメージできるかが勝負
数学に次いで、理系で多くの生徒が苦戦するのが「物理」です。
苦戦してしまう原因の多くは、公式を暗記して当てはめるだけの勉強をしてしまうことにあります。
物理は「イメージと思考の科目」
物理を学ぶうえで重要なのは、「法則の背後にある自然現象をしっかりとイメージする」ことです。
たとえば、運動方程式
$F=ma$
は、ただの文字の羅列ではなく、「力を加えると、質量に反比例して加速度が変化する」という意味を持っています。
このイメージがないままに問題を解いても、「なぜそうなるのか」が理解できず、応用が効かなくなってしまうのです。
図と式を対応させながら理解を深める
物理の基礎学習では、以下のようなポイントを意識しましょう。
- 状況を図で描く(力の向き・接触点など)
- 法則を使って式を立てる
- 単位を丁寧に確認する
- 数値ではなく「変化の関係性」を重視する
特に「図を描く習慣」は非常に重要です。
多くの学生さんが計算だけで進めがちですが、図によるイメージ化が理解を深める最短ルートです。
化学:丸暗記に頼らず「なぜそうなるか」を常に問い直す
化学は高校生でも暗記事項が多く、一見「暗記科目」のように思われがちですが、実は理論と構造の理解が求められる論理的な科目です。
基礎の段階で「意味づけ」ができているか
論理的な科目であるという背景には、化学式や化学反応式などを1つ取っても、意味づけができているかというところが大切になります。
たとえば、化学反応式を書く際にも、
- 電子配置
- 原子の価数
- イオン化傾向
といった知識が土台として必要です。
これらをただ丸暗記するのではなく、「なぜそうなるのか」を構造的に理解することが重要です。
モル計算は「理屈で解く」もの
また、高校化学で多くの学生さんがつまずくのが「モル計算」です。
しかしこれも、「1mol=6.02×10²³個」などの定義を正しく理解し、単位の意味を捉え直せば、実は極めて論理的に整理された計算分野なのです。
このようなことを踏まえたうえで、基礎学習では以下のような手順で学ぶと効果的です。
- 原理を図やモデルで理解する
- 実験や例題で“現象と計算”を結びつける
- 類題演習で繰り返し慣れる
- 計算の背景となる「化学的意味」を言語化する
科目ごとの「基礎」へのアプローチの違いを意識しよう
ここまで紹介してきたように、数学・物理・化学にはそれぞれ異なる特性があります。
しかし共通して言えるのは、どの科目も「基礎=理解+反復」で成り立っているということです。
- 数学は「定義と性質の把握+問題演習」
- 物理は「現象のイメージ化+公式の応用」
- 化学は「構造理解+定量的処理の練習」
このように、各科目の特性に応じた基礎学習の方法をとることが、最短で成果を上げるコツなのです。
基礎学習を続けるには「仕組み」が必要
ここまで紹介したように、中学生でも高校生でも理系科目の基礎力を身につけるためには、「理解+反復」が必要です。
しかし、ただ「頑張ろう」と思うだけでは、継続は難しくなってしまいます。
反復の学習は、学習の継続が肝になっています。
ここからは、理系基礎学習を続けられる形にするための方法、つまり「学習の仕組みづくり」についてご紹介します。
自分に合った「基礎学習スケジュール」を作ろう
まず大切なのは、基礎学習を日常の中に組み込むことです。
「気が向いたときだけやる」のではなく、習慣として継続できるように時間や内容を固定化するのがポイントです。
高校生・中学生それぞれに合った学習時間の例
では、ここから学生別に学習時間の例を紹介していきます。
中学生の場合
- 平日:1日30分〜45分を「理系基礎」にあてる(例:数学20分+理科25分)
- 休日:1日90分(例:午前中に60分・夕方に30分)
- 週に1回は「復習日」を設けて過去の学習内容を総点検
高校生の場合
- 平日:1日60分を基礎時間に設定(例:教科書の読み直し+基本問題の演習)
- 休日:応用問題・模試復習とは別に、「基礎演習ブロック」を1.5時間ほど確保
- テスト前:基礎問題を中心に、理解の穴埋めを優先
このように、基礎を「別枠で用意する」意識が大切です。
応用ばかりに偏らないよう、学習バランスを可視化するとよいでしょう。
継続できない原因は「感情の揺れ」にある
基礎学習を「継続」することが大事なことはわかってもらえたと思いますが、実際のところは下記のような気持ちになる人も少なくないと思います。
「スケジュールを立てても続かない」
「モチベーションが日によって大きく変わる」
こうした悩みは多くの中高生に共通します。
このような気持ちになってしまう背景について見ていきましょう。
学習が止まる理由のほとんどは「疲れ・不安・自己否定」
上記のような気持ちになる大きな要因は、日常の疲れや不安、またはできない自分へのネガティブな感情です。
たとえば、下記のようなものが挙げられます。
- 問題が解けずに自信をなくす
- 成績が伸びずに焦る
- 他人と比べて落ち込む
こうした感情の変動が、継続を止めてしまう最大の要因です。
感情を味方にする「記録」のすすめ
このような感情を抱いてしまうことは誰しもがありますし、避けることは難しいので、これらの感情の浮き沈みを乗り越える方法を考えるほうが生産的だと考えます。
そして、これらの感情の浮き沈みを乗り越える方法には、「学習記録」をつけることが非常に効果的です。
具体的には、
- 毎日「やった内容」「所要時間」「気づいたこと」を3行で書く
- 週1回、自分の記録を振り返って「頑張ったこと」をチェック
- 解けなかった問題を「気づきノート」にまとめておく
この記録を習慣化することで、「やったこと」に対する自己肯定感が少しずつ蓄積されていきます。
成績を上げた人が実践していた共通ポイント
ここまでは勉強方法やメンタル面の改善方法を提案してきましたが、実際に理系科目で成績を上げていった学生さんには何か特徴はあるのでしょうか?
実は、基礎から始めて、理系科目の成績を大きく上げた学生さんにはある共通点があります。
その共通点を下記で見ていきます。
ポイント①:間違えた問題を「一軍問題」として管理
1つ目の共通点は、間違えた問題をしっかりと解きなおすような工夫をしているという点です。
- 「ミスした問題」を解き直して終わりにしない
- 専用ノートに転記し、2〜3日後にもう一度解く
- 定期的に「自分だけの一軍問題集」として見直す
ポイント②:参考書を“最後まで”やり抜く
2つ目は、1つの教材を何度も繰り返しているという点です。
基礎力をつけた学生さんの多くは、1つの教材を何周も繰り返している傾向があります。
特に理系科目は浅く広くではなく、深く・確実に理解する姿勢が、結果に直結しているのです。
自宅学習で使えるおすすめ教材・サイト一覧
上記で、教材の話を出したので、最後に基礎学習に利用できる教材などを紹介しておきます。
費用や環境に応じて、自分に合うものを選びましょう。
書籍(市販参考書)
科目 | おすすめ教材 | 特徴 |
---|---|---|
数学 | 『基礎問題精講(旺文社)』 | 定理や基本の解説が非常に丁寧。反復に最適 |
物理 | 『物理のエッセンス(河合塾)』 | 公式の意味や導出過程に強い。図解も豊富 |
化学 | 『宇宙一わかりやすい高校化学シリーズ』 | 説明が親しみやすく、初心者向けにも好評 |
無料で使える学習サイト・動画サービス
- スタディサプリ(無料体験あり)
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404 Not Found - Try IT(トライイット)
中高生向けの無料授業動画。基礎に特化した単元も多数
勉強のわからないを5分で解決 | 映像授業のTry IT (トライイット)Try IT(トライイット)は、実力派講師陣による永久0円の映像授業サービスです。更に、スマホを振る(トライイットする)ことにより「わからない」をなくすことが出来ます。全く新しい形の映像授業で日々の勉強の「わからない」を解決してください! - Khan Academy(英語/一部日本語字幕)
世界的に有名な無料オンライン学習プラットフォーム
????????????????????????
これらを組み合わせることで、「理解」→「確認」→「応用」のサイクルを自宅でも構築することができます。
まとめ
このページでは理系科目が苦手な学生さんに向けて、理系科目は基礎学習が重要だという話や、学習方法、メンタルや教材などを網羅的に解説してきました。
理系科目の基礎力は、単に目先のテストや入試だけでなく、将来の専門的な学習や職業スキルにまで直結する重要な力です。
「わからないから、やらない」のではなく、「わからないからこそ、基礎からやってみる」という姿勢こそが、すべての成長の出発点です。
改めての確認ですが、このページでは下記のようなポイントを解説してきました。
- 理系基礎は中学・高校どちらも「理解+反復」が基本
- 科目ごとの特性を意識してアプローチを変える
- 継続には感情・習慣・記録の3つが重要
- 自分に合った教材・サービスを組み合わせて学習する
理系が苦手だった学生さんも、これらを意識して学習に取り組むことで確実に力を伸ばしています。
このページを見ている方も「基礎からの逆転」の第一歩を今日から踏み出していきましょう。
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