高校生になると、理科科目は選択式になり、理学部や工学部、医学部を目指す学生さんの多くは物理を選択することもあると思います。
物理は他の理科科目に比べると、計算で問題を解き進める要素が多くを占めて、数学が得意な人や好きな人はよく選択すると思われます。
ですが、物理は身の回りの現象を数式を用いて解析的に問題を進めるために、実際の現象をイメージできないと、途端に問題で正解することが難しくなります。
そうなった場合はもちろん自主学習で問題に取り組む数を増やして何とか知識の水準が授業に追いつくように努力をすることも大事ですが、それでも追いつかないという人は、塾や家庭教師を利用するという選択肢も悪くはありません。
ですが、塾や家庭教師は費用がかかるので、できるなら自分の力だけで物理ができるようになるに越したことはありません。
このページでは、そういった学生さんや親御さんに向けて、物理のおすすめの学習方法などを解説していきます。
基礎からしっかり理解する
まず、物理に限った話ではありませんが、最も重要なのは基礎概念をしっかりと理解することです
物理の問題は、イメージが簡単な問題から、一見複雑に見えても実は意外にも一つ一つの設問が簡単な問題まで、出題のされ方は幾通りもあります。
そのような構造の問題は基本的な法則や概念の組み合わせで成り立っているので、まずは基礎をしっかりと抑えることが重要です。
なぜ基礎が重要か?
ここで、なぜ基礎が重要なのかをもう少し深掘りして考えていきます。
まず1つ目の理由として、応用力の土台となるからです。基礎をしっかり理解していれば、目新しい問題に直面しても応用して解決できます。
そして2つ目につながりの理解として学習することができるからです。物理の各分野は互いに関連していて、例えば、波の分野と音の分野は一見は違う分野のように見えますが、実は考え方の基礎となる部分は同じだったりします。このように、基礎をしっかりと理解することで、それらのつながりが見えてきます。
最後に3つ目の理由として、計算ミスの減少を減らせるからです。これは数学などでも同じですが、基本的な計算や単位の扱い(例えば有効数字など)に慣れることで、ケアレスミスを減らせます。
基礎を学ぶためのテクニック
上記のような理由のために、基礎を大事に学習してもらいと提案しています。
そして、基礎を学習するためのおすすめのテクニックが下記の3つになります。
- 教科書を丁寧に読む
- ノートをまとめる
- 基本問題を繰り返し解く
どれも当たり前のことだと思ってもらえると何もいうことはありませんが、特に3に関しては、高校生になると学習する科目や内容が増えるため、物理にだけ時間を割くのは難しいと思います。
ですが、例えば授業の復習程度でも教科書の基本問題などを2~3回程度解くだけでも、やらないより知識の定着度が全然変わってきます。
物理現象をイメージする力を養う
物理は自然現象を数式で表現する学問です。しかし、単に数式を暗記するだけではそれはただの暗記であり、物理の問題の理解には至りません。物理現象をイメージするということが重要です。
イメージ力の重要性
なぜ、ここまで物理はイメージすることが重要なのかというと、実験では扱いきれないような状況の問題が出題されることが多いからです。
例えば、電気回路の問題であれば、ある程度の回路は授業などで実験をすればイメージしなくても数式で求めた解に近い値を計測することができますが、力学や分子運動の分野だと非常に難しくなります。
そのためにイメージすることで実験を補完している役割を担っていると言っても過言ではありません。
加えて、物理でイメージする力を下記のようなメリットがあります。
- 直感的理解(問題の本質を見抜く力)
- 記憶の定着(類似した状況の問題を記憶する力)
- 創造的思考(関連する知識から、解法を導き出す力)
これらのメリットが真価を発揮するのが、試験本番です。
試験中は当然ですが、実験をいちいちすることはできないので、こういった力を身につけることで試験中も冷静に問題に対応することができます。
イメージ力を養うための方法
上述のメリットがわかったところで、これらの力を身につけるおすすめの方法は下記の通りです。
- 日常生活との関連付け
- 図や模型の活用
- シミュレーションソフトの利用
1は日常生活では、問題のような状況を作るのは難しいので、あくまで近似的な状況でしか関連付けることはできませんが、2や3のように作図やシミュレーションは非常に効果的であります。
特に3は最近は物理演算を行ってくれるようなソフトもあったりするので、もし時間に余裕があれば利用してみてもいいでしょう。
問題解決のプロセスを身につける
物理の問題を解く際には、単に公式を当てはめるだけでなく、論理的な思考プロセスが必要です。このプロセスを身につけることで、応用問題や今まで見た事のない問題にも対応できるようになります。
物理で言う、論理的な思考プロセスとは何かをあくまで参考程度ですが、紹介しておきます。
効果的な問題解決のステップ
- 問題文の理解(定義されている数値や、何が問われているかの確認)
- 既知の情報の整理(定義されている数値の整理と単位を確認)
- 適用する法則や公式の選択(どの公式や法則が使えるかを確認)
- 計算と検算
- 結果の妥当性確認(現実的な数値になっているか?物理法則に反していないか?確認)
ここまでは、物理のおすすめの学習方法を提案していきました。この中の全てを実施してみてくださいと言うものではありませんが、自分に合うような学習スタイルに調整しながら、できるものから挑戦してみてもらえると幸いです。
次からは実際にどのようにして物理の学習を進めていけばいいかを提案していきます。
協働学習の活用
まずは、友達と一緒に勉強してみるということです。
物理に限った話ではありませんが、学習は一人で行うだけでなく、友達と協力して進めることで効果が高まります。
ICTツールの活用
友達との学習は効果的であるものの、一方で選択式の科目であるが故に、複数人で一緒に勉強するということが難しいというのもあります。
そんな状況にある学生さんには、ICTツールでの学習をおすすめします。
ICTツールと表現はしていますが、オンラインでの学習アプリや前述したシミュレーションソフトのようなものになります。
あくまで、これも参考程度に時間があれば検討してみてください。
おすすめのICTツール
- オンライン学習プラットフォーム(Khan Academy、Courseraなど)
- 物理シミュレーションソフト(PhETなど)
- 学習アプリ
物理が苦手な学生へのアドバイス
ここまで、物理が苦手な人におすすめの学習方法について提案してきましたが、物理が苦手だと感じている学生も、上記で紹介した方法を参考しながら、自分にあうようカスタマイズして学習を続けていけば、少しずつですが成果につながっていくようになります。
そのためにも、教科書の例題や問題集の基本問題のようなハードルが低い問題から取り組みを重ねていき、小さな成功体験を増やしていってください。
それと同時に、物理の面白さ、楽しさを実感するためにも、興味のある分野を見つけるようにしてみてください。物理には「力学」「波動」「電気」「分子運動論」など様々な分野があるので、ちょっとでも面白いと感じてもらえる分野ができると思っています。
家庭でのサポート方法
最後に、学生ではなく、親御さん向けに学生さんの物理学習をサポートできることについて紹介してきます。
高校の学習科目になると、中学以上に家庭でできるサポートが少なくなりますが、全くないわけでもありません。
例えば、下記のようなサポートは家庭でもできると考えています。
家庭でできるサポート
- 学習環境の整備
- 規則正しい生活リズムの維持
学生本人が集中できる環境を作ってあげたり、必要な教材の購入の支援は行ってもらえると、学生本人にとっては、非常に助かります。
また、受験が近づくにつれて生活リズムなどが乱れがちになったりもします。なので、最低でも睡眠が確保できるように生活リズムを調整してあげるといいと考えます。
まとめ
このページでは、物理のおすすめの学習方法などについて解説してきました。
物理の学習は、1つの方法だけでなく、様々なアプローチを組み合わせることで効果的に進めることができます。基礎をしっかり固め、現象をイメージする力を養い、問題解決のプロセスを身につけることが重要です。さらに、協働学習、ICTツールの活用など、多角的なアプローチを取り入れることで、より深い理解と学習効果が得られます。
物理が苦手な学生も、小さな成功体験を積み重ね、興味のある分野から学習を始めることで、徐々に自信をつけていくことができます。また、家庭でのサポートも学習成果を高める重要な要素となります。
高校生の学習科目の知識は一朝一夕では身についていかないものですし、苦手な科目であればなおさらではあります。
ですが、このページで提案してものを自分流にカスタマイズしながら取り組んでもらえればと思います。
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