[このページのポイント]
■$x$の値が決まることで、$y$の値が決まる時、$y$は$x$の関数という。
■関数の$x$や$y$など様々な値を取りうる文字を変数という。
■変数には変域という値の取りうる範囲がある場合がある。
ここまでの学習において、数学においての文字の取り扱い方、文字式の考え方、文字式の計算方法について理解を深めてきました。
そして、この文字式は実は数学の学習においては初歩的な学習内容で、文字式の学習の先には「関数」というものが待っています。
ここでは、その関数の基本的な意味や考え方の基礎を説明していきます。
関数とは?
早速、関数について説明をしていきます。
まず結論からお伝えすると、関数とは「ある数$x$が決まった時、それに伴ってある数$y$が決まる時、$y$は$x$の関数」と言います。
上記の説明は関数の定義となりますが、イメージはできるでしょうか?
これまで学習してきた文字式の計算から遡って考えていくと分かりやすいかもしれないので、文字式の復習も兼ねて説明していきます。
文字式では、下記のように左辺と右辺が与えられている状態でした。
$2x=14$
この設定では、$x$に当てはまる数は7でありますが、このように求められるのは右辺が初めから14と決まった値を取っているだということは理解できますか?
右辺が14と決まった値を取っているため、両辺を2で割り、$x=7$となるためですよね。
ここまでは文字式の復讐なので、もし躓いてしまっている人は下記のページを確認して文字式の計算方法について復習をしておきましょう。
では、もし仮に右辺の値が決まっていなかったとしたらどうでしょうか?
もし右辺の値が未知数$y$だとしたら、$x$の値に応じて$y$の値が決まっていくことになりますよね。
上記のように言える理由は、少し難しいかもしれませんが、問題の設定では$x$に当てはまる数の条件は設定されていません。つまり任意の値を設定できるということです。
そのため、$x$の値が決まれば左辺の値は確定した数になります。
そうなると、当然右辺の$y$の値が導き出されます。
この関係が「$y$は$x$の関数」と言える理由です。
文字式から遡って、ここまで分解して考えると、始めに述べた関数の定義を何となくでも理解できるのではないでしょうか?
ここまで関数の意味や定義について説明してきましたが、関数の基本はこれだけではありません。
関数の基本形
上記で示した例の形では、左辺に$x$、右辺に$y$がある形でしたが、本来の関数の問題では左辺と右辺の位置関係は逆になります。
また、上記の例では$2x$となっていましたが、文字$x$にかかる数はいつも決まった値がかかるわけではありません。
そのため、関数の基本形は文字を使って、下記のように定められています。
$y=ax$ ($a$は比例定数)
上記が関数の基本形になります。そして比例定数$a$は正の数や負の数、小数や分数など、どんな数も入る場合があります。
関数の基本形については、今後学年が上がっていった時に様々な関数の問題や種類が出てきますが、この基本形をベースに発展させていくので、まずはしっかりとこの形を身につけるようにしていきましょう。
関数に出てくる文字について
さて、上記の関数の基本形は全て文字で構成されています。
その中で、$a$は比例定数という名称があり、文字$x$にかかる数だということは分かりました。
では他の文字$x$や$y$にはどういった定義があるのでしょうか?
まず、関数になる文字(今回の設定では、$y$は$x$の関数と言っているので、対象の文字は$x$と$y$)にも名称はついています。
それは「変数」と呼ばれています。
変数とは関数において、様々な値を取りうる文字のことを言います。
この説明だけでは理解が難しいかもしれませんので、もう少し噛み砕いて説明します。
例えば、関数を考える上で特に条件などを設定されていない場合、文字$x$やそれに伴って決まる文字$y$は正の数や負の数、小数や分数など色々な値を取りうる可能性があります。
そういった数のことをひとまとめに一まとめでいうと変数と呼ぶとしているわけです。
変数には条件が設定されることがある
上記の例では、変数には条件が設定されていませんでしたが、問題の条件によっては変数に条件が付与される場合があります。
その条件とは、変数の取りうる範囲のことです。
そして、この範囲のことを「変域」と言います。
例えば、問題の条件から文字$x$を考える範囲が正の数の1以上5以下までに限定される場合、$x$には変域が設定されていて、その変域は
$1≦x≦5$
と表されます。
(発展的な内容であるので、中学の数学では覚えなくてもいいですが、変域で使われている範囲を表す記号は、不等式で出てくる不等号と同じ記号ですが、違った意味で使われています。)
(変域を表す記号で、「=」が入っていれば、その数(上記では1や5)は含まれていて、「=」が入っていなければ、その数(上記では1や5)は含まれていないということになります。)
(変域の両端に「=」が入った記号が使わている範囲を「閉区間」、「=」が入った記号が使わていない範囲を「開区間」と言い、変域の片側だけが「=」が入った記号が使わている範囲を「半開区間」と言います。)
そして、$x$に変域が設定されている場合、関数であるため、$y$も取りうる値に範囲が設定されます。なので、$y$にも同様に変域があることになります。
関数の問題では、$x$の変域を意識できているのに、最後に$y$の変域に意識を向けることができずに解答を間違えてしまうということがあります。なので、関数の$x$、$y$どちらかに変域がある場合は、必ず解答の範囲や問題を考える条件の範囲も意識しましょう。
まとめ
今回は文字式から発展内容の関数について学習をスタートしました。関数の学習を始める時に、よく文字式の計算と何が違うんだ?と思ってしまう人がいます。
ですが、ここでも説明させてもらった通り、文字式の問題と関数の問題は大きく違います。
関数は$x$の値が決まったら、それに伴って$y$の値も決まるということをしっかりと理解できていれば上記のような疑問も自然と解消できると思います。
また、これから関数の問題はもっと複雑な関数が出てきます。その第一歩として、今回の内容が全てのベースになるので、この分野の学習はこれまでの分野以上にしっかりと復習をして理解を進めるようにしましょう。
コメント