関数・変数・変域とは?開区間・閉区間もやさしく解説!

中学数学

中学の数学でこれまで文字式を中心に計算問題を多く扱ってきました。

文字式の計算を行うようになると数学の学習が本格的に始まったという感覚を持ちますが、文字式の計算では文字式をもとに、特定の条件下での値しか求められないので、万能であるかといわれると少し違う感じがします。

そこで、$x$の値の変化に応じて、式全体がどんな値をとるかを見ていくことができるとより構造的に数式を見ていくことができます。

そんな時に活かせる数学の分野はこれから学んでいく「関数」というものです。

これまでの数学ではこの関数というものに触れてくることも、考えることもなかったので、関数という言葉を聞いてもイメージが難しいかもしれません。

ですが、関数を理解し、使いこなせるようになると、文字式の先が見えてくるようになり、より文字式の有用性や数学という学問の奥深さを感じることができるようになります。

そこで、このページでは関数を考えるうえで、重要になってくる「変数」と「変域」というものに焦点を当てて、関数の学習の第一歩を踏み出していきたいと思います。

 

関数と変数の基礎を理解しよう

まずは、関数と変数の基本的な事項から説明していきます。

関数とは何か?実は身近な考え方

早速、大きなテーマの関数から触れていきたいと思います。

中学校で学ぶ数学の中でも、「関数」は非常に重要なテーマです。

「関数」と聞くとどんな勉強なの?とイメージが難しそうに思うかもしれませんが、実は身の回りには関数の考え方があふれています。

たとえば、以下のようなものもすべて関数です。

  • タクシー料金と走行距離の関係
  • 気温とアイスの売れ行きの関係
  • 勉強時間とテストの点数の関係

これらはすべて、「ある数の変化によって、別の数が決まる」関係です。

このように、1つの数(入力)に対して、もう1つの数(出力)が決まる関係のことを関数といいます。

関数の表し方

関数を数式で表すとき、最もよく使われるのが$y=f(x)$という形です。

それぞれの意味は下記のとおりです。

  • $x$:入力される数(独立変数)
  • $y$:出力される数(従属変数)
  • $f(x)$:「$x$の関数」という意味

関数を$f(x)$とあらわすのは、関数は英語で(function:ファンクション)というため、小文字の$f$を使っています。

関数の表現方法を紹介したところで、次の式を見てみましょう。

$y=2x+3$

この関数では、$x$の値を決めると、それに応じて$y$の値が一つに決まります。

たとえば、

  • $x=1$なら、$y=2×1+3=5$
  • $x=4$なら、$y=2×4+3=11$

このように、「1つの$x$に対して、1つの$y$が決まる」ことが関数の特徴です。

そして、このようなとき、「$y$は$x$の関数」といいます。

 

変数ってなに?〜文字で数量をあらわす工夫〜

上記の話の中で、$x$の値が変わることで$y$の値が変化していきました。

この$x$の値は任意の値をとることに、もう少し注目していきます。

変数とは:意味と役割

先ほどの例のように、$x$が任意の値をとるようなとき、この$x$は「変数」となります。

そして、関数の学習で欠かせないのがこの変数の考え方です。

ここで、変数についてイメージを持ちやすくするために簡単な言葉で言い換えると、変数とは「値が変わる可能性のある文字」です。

数学では、定まった数字ではなく、「変化する数」を文字で表すことで、色々な場合に共通して使える便利な式を作ることができます。

たとえば

$y=5x$

この式では、$x$が変数です。

$x$の値が変われば、$y$の値も変わります。

このように、$x$や$y$のような文字は、状況によって変わる可能性があるので「変数」と呼ばれます。

定数との違い

変数に対して、「変わらない数」は定数と呼ばれます。

例:$y=3x+5$の中では「5」が定数です。

上記の例において、文字式では+5の部分を「定数項」と言いました。

文字式の知識も絡めて新しい知識を見ていくと覚えやすいと思います。

 

変域とは何か?:数学での意味をわかりやすく解説

では、ここで関数の学習に大切なもう一つの用語、「変域」について解説をしていきます。

「変域」という言葉は、数学用語として登場しますが、正直、初めて聞くとイメージしづらい言葉かもしれません。

変域とは何か?

では、結論からお話していきます。

変域とは、関数が取りうる値の範囲のことをいいます。

より正確にいうと、「変域」という言葉は定義域・値域をあわせたときに使われることもあり、文脈に応じて次のように整理できます。

用語 説明
定義域(ていぎいき) $x$が取りうる値の範囲(入力側)
値域(ちいき) $y$が取りうる値の範囲(出力側)
変域 特に$y$の取りうる範囲のことを指す場合が多いが、広くは定義域・値域の両方を含む意味で使われることも

それぞれの言葉の意味、特に定義域と値域はどっちがどっちのことを言っている用語なのかをしっかりと覚えておくようにしましょう。

具体例で理解しよう

では、上記の用語を例を用いて確認しておきます。

関数:$y=2x+1$ の場合、$x$に与えられた範囲(定義域)をもとに、$y$の取りうる範囲(値域)が決まります。

例1:xが0 ≦ x ≦ 3のとき

  • $x=0$ → $y=1$
  • $x=3$ → $y=2×3+1=7$

それぞれ定義域の両端の数を関数に対応させて、値域の両端の数を計算します。

すると、この定義域における値域は$1\leqq y \leqq 7$になります。

このように、関数の式と$x$の範囲が決まれば、$y$の範囲も決まります。

 

開区間・閉区間・半開区間とは?

ここまでで関数における変域の考え方と定義域、値域について見てきました。

変域について種類があること、それぞれ対応している文字が違うことがあるということだけでも覚えることが多いなぁと感じるところですが、数学の問題では、関数の定義域や値域を記述する際に、「区間の記号」というものがよく使われます。

そして、区間の記号を表すのに新しく3つの用語を覚えていくことになります。

ここから、1つずつ用語を見ていきます。

開区間:端の値を含まない

まず1つ目に「開区間」という言葉から見ていきます。

開区間とは、変域の両端の値を含まない区間のことを言います。

開区間がどのような区間の記号を使って表されるかを例を用いて示していきます。

例:$0 < x < 5$
記号表記:$(0,5)$
→ これは、「0より大きく5未満の数すべて」を表します。

上記の例だと区間の両端の数の0と5は含まれないということになります。

閉区間:端の値を含む

2つ目は「閉区間」という言葉です。

閉区間とは、変域の両端の値を含む区間のことを言います。

閉区間がどのような区間の記号を使って表されるかを例を用いて示していきます。

例:$0 \leqq x \leqq 5$
記号表記:$[0,5]$
→ これは、「0以上5以下の数すべて」を表します。

上記の例だと区間の両端の数の0と5は含まれるということになります。

半開区間(片側開区間)

3つ目は「半開区間(もしくは片側開区間)」という言葉です。

半開区間とは、変域の片端の値を含む区間のことを言います。

半開区間がどのような区間の記号を使って表されるかを例を用いて示していきます。

例:$0 \leqq x < 5$
記号表記:$[0,5)$
→ これは、「0を含み、5は含まない」範囲を示します。

反対に:$(0,5]$ は「0は含まず、5は含む」範囲になります。

それぞれ区間の記号と用語をしっかりと結びつけて、どの記号がどういった区間を表しているかと理解できるようにしておきましょう。

 

なぜ区間表記が重要なのか?

ここで、なぜ関数においてはこの区間の記号が重要になっているかを説明していきます。

結論からお話すると、数学では、「どこからどこまでの範囲で考えるか」を正確に表すことがとても大事です。

たとえば、温度や時間、料金などを扱う場面で、「端の値を含むのか含まないのか」で結論が大きく変わる場合があります。

具体例を用いて、区間の重要性を見ていきましょう。

具体例:時給計算のケース

区間の重要性を最もインパクトを持って伝えられるのが時給計算の例なので、この例を使ってみていきます。

今の日本では多くの企業が「8時間労働」を採用しています。

この条件を区間表示すると下記のようになります。

勤務時間:$0 \leqq t < 8$(8時間未満)

つまり、8時間を超えると残業になるので、「8は含まない」ことを明示する必要があります。

中学生では、時給をイメージするのが難しいかもしれません。

その場合は、自分の身の回りで、区間によって条件が変わる例を探してみましょう。

自分で探してみるだけでも、区間の考え方が自然と身についていきます。

 

実生活の中にある「変域」の例

ここまでで変域について見ていきましたが、日常生活の中でも見ることができる変域について紹介していきます。

変域という言葉は数学用語に聞こえるかもしれませんが、実際には日常生活や社会の中でもよく使われる概念です。

それでは具体的なシーンでの変域の活用例を見ていきます。

例1:天気予報の気温

1つ目の例は天気予報の気温の例です。

テレビやスマホの天気予報では、「今日の最高気温は30℃、最低気温は22℃」などと表示されます。

この場合、気温の変域は $22 \leqq T \leqq 30$ と言えます。

$T$は気温(Temperature)を表す変数
変域:気温の取りうる範囲

これを例えば、グラフにすれば、時間の経過とともに気温がどう上下するかも視覚的にとらえることができます。

例2:水槽の水の量

2つ目の例は水槽の水の量の例です。

水槽がなくてイメージできない場合は、浴槽でもいいでしょう。

水槽に毎分2リットルずつ水を入れるとき、時間を$t$分、水の量を$V$リットルとした関数は

$V=2t$

となります。

もし10分間だけ水を入れるなら、定義域:$0 \leqq t \leqq 10$となりますし、この時の変域は

$0 \leqq V \leqq 20$

となります。

このように、時間と水の量の関係も関数で表せて、変域は水の量の上下限を示します。

例3:オンライン動画の再生時間

3つ目の例は、YouTubeやTikTokなどのオンライン動画の再生時間における例です。

この例がもしかしたら中学生には最もイメージしやすいかもしれません。

たとえば、1時間の動画を10分~40分の間だけ見るとしたら、時間$t$の範囲が定義域となり、

定義域:$10 \leqq t \leqq 40$

となります。

変域は動画内で表示される内容や字幕の内容の変化など様々なものを置くことができるでしょう。

 

関数の変域を使った応用問題の例

ここまで、関数の変数や変域について、日常生活の例なども交えて解説してきました。

では、実際に中学生が出題される可能性がある応用問題を見ていきましょう。

例1

関数 $y=3x-2$ において、$x$の範囲が$1 \leqq x \leqq 4$ のとき、$y$の変域を求めなさい。

解き方

$x$の定義域の両端の数をそれぞれ関数に代入して、$y$の両端の数を求めていきます。

$x=1$のとき → $y=3×1-2=1$
$x=4$のとき → $y=3×4-2=10$

よって、変域は$1 \leqq y \leqq 10$

 

関数と変域は社会でどう役立つ?

ここまでの説明を通して、関数やその中で登場する変数、変域の重要性について理解が進んできていると思います。

勉強の中で、重要なことはわかってもらえたと思いますが、前述したように、中学生のうちに学ぶ「関数」「変数」「変域」といった概念は、テストや受験だけでなく、社会で実際に使われる場面がたくさんあります。

ここでは、具体的な職業や生活シーンを通じて、関数の考え方がなぜ重要か、変域の理解がどのように実務や判断に活きるかを紹介していきます。

1. プログラミング・システム開発での関数の使われ方

まずは様々なシステム開発における重要性からお話します。

現代社会に欠かせない分野である「プログラミング」では、関数の考え方が基本中の基本です。

プログラムは様々な条件を設定したうえで、その条件に沿った処理を進めていきます。

このような処理はまさに、数学の関数の基本的な処理と同様です。

具体例

たとえば、次のようなプログラムを考えます。

def calculate_price(distance):
return 500 + 300 * distance

この関数は、「タクシー料金を距離によって計算する」もので、distanceが$x$に、returnされる料金が$y$に相当します。

数学の関数の形で上記の例を記述すると

$y=300x+500$

となります。

変域の重要性

上記の例において、変域は下記のような重要性を含んでいます。

  • 「何kmまでの距離に対応するか?」という制限は、定義域
  • 「料金はいくらからいくらまでになるか?」という結果の幅は、変域

つまり、ソフトウェア設計でも関数と変域の理解が不可欠なのです。

2. ビジネスの世界での予測と判断に活かされる

続いての例は経営やマーケティングにおける例です。

経営やマーケティングの世界でも、「関数的な思考」や「変域の分析」は非常に重要です。

例1:売上予測モデル

ある商品の売上が広告費によって変わる場合

売上=50×広告費+1000

このような関数をもとに、広告費$x$の変化に対して売上$y$がどう変わるかを予測します。

広告費が0円のとき:売上1000円
広告費が10万円のとき:売上は$50×100000+1000=5,001,000$円

さらに、広告費の上限と下限が決まっていれば、売上の変域も明確になります。

このように、ビジネスでは、「どの範囲でどう変化するか」を理解する力、つまり、変域の把握力が求められます。

例2:コスト計算や利益分析

経営判断の場面では、コストと利益というダイレクトに関数を使って管理するシーンもあります。

利益=売上−コストという関数関係においても、変数(売上やコスト)と変域を考えることで、損益分岐点の分析や利益最大化が可能になります。

3. 工学・科学の分野では関数が当たり前

将来の仕事以外にも、理系の進路に進んだ場合は、すぐに関数を応用して勉強していくことになります。

自然科学の分野でも、関数と変域は非常によく使われます。

物理の例:自由落下の法則

高さ$h=\frac{1}{2}gt^2$ {$g$:重力加速度(定数)}

この式では、$t$(時間)に応じて$h$(落下距離)が変わります。

これは関数です。

$t$が0秒〜5秒なら、定義域:$0 \leqq t \leqq 5$
高さ$h$の変域は$0 \leqq h \leqq \frac{1}{2}g×5^2$

となります。

化学や生物の例

物理に限らず、化学や生物の勉強にも関数は利用されています。

  • 濃度と反応速度の関係
  • 温度と酵素の働き

いずれも、「ある数が変わると、もう1つの数がどう変わるか」という関数関係を分析し、変域が意味する範囲内での観察や制御が大切です。

4. 医療や経済でも関数と変域が活躍

自然科学や経営で関数の考え方を利用できるのであれば、医療の現場や経営の考えを国レベルで考える経済の場面でも活かすことができます。

医療の例:血糖値の変化

医療現場の例では、たとえば血糖値の変化を関数で見ることができます。

患者の血糖値は時間帯や食事によって大きく変動します。

この変化を表すグラフや関数モデルでは、変数と変域が基本です。

血糖値が正常範囲(70〜140mg/dL)にあるかどうかを「変域」に関する判断としてみることができます。

経済の例:為替の変動グラフ

経済の例では、お金の価値(為替のレート)の変動を関数で表すことができます。

たとえば、1ドル=何円か?という為替の変動も、時間とレートの関係を関数グラフで表します。

レートの上下限は、投資判断において重要な「変域の把握」そのものです。

 

学校数学の「変域」が思考力につながる理由

上記では社会に関数や変域の考え方が利用されている例を紹介しました。

ここで、また学校の勉強での視点に立ち返ってみます。

ここまで見てきた例から見えるように、関数や変域の理解は単なる計算技術にとどまりませんでした。

むしろ、論理的に考える力や、状況に応じて柔軟に判断する力の土台になるとも考えられます。

変域の理解が鍛える3つの力

関数の変域を考えるうえで、上記のような力が具体的にどう身についていくのかをまとめてみました。

力の種類 説明
1. 論理的思考力 「この条件なら、どんな結果がありえるか?」を筋道立てて考える力
2. 状況判断力 どの範囲で安全か」「効果があるか」などを判断する力
3. 数量感覚 数の大小・範囲をイメージする力。計画・設計・予測に活かされる

どの力も数学においてはもちろん重要ですが、社会生活においてもこれらの力はとても重要になってきます。

これらの力を関数の学習を通して身につけていけるようになります。

 

まとめ

このページでは、関数の学習の第一歩である、変数や変域に焦点を絞って、考え方や区間の意味、実生活での応用などを解説してきました。

新しく覚えることや学ぶことが多くて、大変な単元でもありますし、今はまだ文字式の計算の延長線上の考え方で対応できる内容ではありますが、本格的に関数の学習が始めるなかなかそういうわけにはいかないのが数学という学問です。

ですが、身の回りをよく見渡してみると、意外にも数学の知識を利用して考えていることや利用していることが多いことにも気付いたと思います。

特に関数は勉強していくほど有用な知識であり、奥深い学習でもあります。

今回はその第一歩を踏み出したので、しっかりと復習をしてこのページで学んだことをまずは使いこなせる知識として身につけていくよう励んでいきましょう。

 

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