[このページのポイント]
■不等式は解の「範囲」を示すもの
■不等式の解で示された範囲は、特定の範囲に限定されない
■不等式の範囲に含むか含まれないかを正確に理解する
中学の数学では、方程式(=〇〇)の形になる問題の他に、不等式という問題も扱っていくことになります。
この不等式は、中学から高校の数学にかけて苦手と感じる人が多い分野であり、特に解が示す意味について正確に理解しないと不等式の問題で、完答しにくくなってきます。
中学の数学の問題では、もしかしたらあまり苦手に感じる人はいないかも知れませんが、学習の内容を楽観的に捉えずに、1つ1つ丁寧に理解を進めていきましょう。
不等式の意味
実際の問題を解いていく前に、不等式の意味について考えていきましょう。
既に学校などで学習した人に投げかける質問になりますが、方程式と不等式の違いを簡単に説明できますか?
上記の問いに関する解答としては、方程式は「一意の値」を示す問題であり、不等式は「範囲に該当する任意の値」を示す問題である。ということです。
例を見てみましょう。
方程式
$2x+4=8$
この問題の$x$に解は、$x=2$となりますね。
つまり、$x$に当てはまるのは「2」という確定した値のみということです。
では、同様の数値で不等式の場合を考えていきます。
不等式
$2x+4>8$
この問題の$x$の解は、$x>2$となりますね。
つまり、この不等式を成立させるには、$x$は「2」より大きな数であれば、何でも当てはまるということになります。
このように、方程式と不等式の違いには一意の値を求める問題なのか否かというところにあります。
不等式で示される範囲
上記の例では、$x>2$となっており、説明では「2」より大きな数は何でも当てはまる。としていますが、この意味は理解できますか?
上記の例は$2x+4>8$となっているので、この不等式を言葉で説明すると、「左辺が右辺よりも大きくなる$x$の範囲はどこですか?」と問われています。
なので、2より大きな数は何でも当てはまる。といった説明になるわけです。
そして、不等式が1つしかない場合は、上記の解答のようにある数から大きな値(または小さな値)は何でも当てはまるというような、範囲が限定されない問題もあります。
不等式を初めて学習するときの計算問題は、上記のような意味を持つ解答になりますが、文章問題や応用問題を行なっていった際は、不等式が複数出てきて全ての不等式に当てはまる範囲が問題の最終的な解になることもあります。
なので、不等式の問題については、範囲を限定する場合と限定しない場合のそれぞれがあるということも覚えておきましょう。
不等式の種類
不等式の問題で、苦手と感じる人が多くいる原因は、上記でも述べたような、範囲が限定される場合と限定されない場合があるということが1つ挙げられます。
これは言い換えれば、不等式の問題を解くときは、解答になりうるケースが1つしかないか、2つ以上あるのかを考えなければいけません。
2つ以上ある場合、1つでも解答になるうるケースを考え出せずに最終的な解答をまとめてしまうと、その問題の解答としては間違っているため、完答できず失点してしまいます。
このように、完答が難しいというところで苦手意識がある人が多いということあります。
そして2つ目の理由として、不等式にはいくつか種類があるということです。
説明する前に、まずどんな種類があるか解説します。($x$と1は例なので、様々な文字や数が当てはまります。)
- $x<1$:$x$は1より大きい。
- $x≧1$:$x$は1以上。
- $x<1$:$x$は1より小さい。
- $x≦1$:$x$は1以下。
上記のように、不等式には4種類の記号があります。そして不等式で出てくる記号を「不等号」と言います。(方程式の「=」は「等号」と言います。)
簡単な部分から説明すれば、不等号の向きで大きい、小さいと決められます。ここで間違える人は少ないです。
ですが、不等号に「=」が付くか付かないかで間違えてしまう人はいます。
不等号に「=」が付く場合は、解になる数も含みます。反対に「=」が付かない場合は、解になる数もは含みません。
言葉で説明される分には、難しくないかも知れませんし、実際の計算問題だけなら、不等号に「=」が付く、付かないが計算の途中で変わることはないので、間違えることは少ないです。ですが、文章問題になると途端に間違える人が急増します。
その理由は、不等号に「=」が付くか付かないかを文章を読んで考えなければいけないからです。
たったこの部分だけのミスで失点するのか。と思うかも知れませんが、数学の解としては大きく意味が変わってくるため、間違いとなるわけです。
なので、不等式の問題を苦手と感じる人は多いわけです。
不等式の計算
ここまで不等式の意味や種類について学習をしてきました。では、実際に計算問題を説明していきます。
不等式の計算問題では、注意する点が1つだけあります。
それは、負の数で割る計算をする時には、不等号の向きが変わるということです。
正の数で割る計算の場合と負の数で割る計算の場合をそれぞれ行なってみて、違いを理解しましょう。
正の数で割る計算の場合
例:次の計算をしなさい。
$3x-7<11$
$3x-7<11$
$3x<18$
$x<6$
計算の進め方は、方程式の問題を解くときと変わりありません。そして、不等号の向きを見ると、確かに変わらないことがわかります。
では、次に負の数で割る計算の場合をみていきましょう。
例:次の計算をしなさい。
$-4a+3≧-21$
$-4a+3≧-21$
$-4a≧-24$
$a≦6$
上記のように計算を進めてみると、確かに不等号の向きが変わることがわかります。ここで、何故負の数で割る場合不等号の向きが変わるのか考えてみましょう。
仮に、不等号の向きが変わらなかった場合、どうなるでしょうか?
$-4a+3≧-21$
$-4a≧-24$
$a≧6$
計算を進めると上記のような解になり、6以上の数は何でも当てはまるということになります。
では、7がきた場合は左辺と右辺の大小関係はどうなるでしょうか?
左辺=$-4•7+3=-31$
右辺=-21
となり、左辺の数の方が小さいのにも関わらず、不等号は左辺が大きいと示しているので辻褄が合わなくなってしまいます。
なので、負の数で割る計算の場合は、不等号の向きが反対になります。
まとめ
ここでは、不等式の基本的な考え方と実際の計算方法について説明していきました。不等式の計算については正確に理解した上で、文章問題を中心に学習を進めていけば、少なくとも中学のうちの計算は問題なく対応できるようになります。
ですが、高校の数学で出てくる不等式の問題は、問題の条件が複雑かつ様々なケースで解を考えなければいけないので、かなり難しい分野であることは間違いありません。
そのため、中学のうちから不等式の意味を正しく理解した上で、不等式の問題では間違えないというレベルまで学習を深めていきましょう。
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