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一次方程式の基礎からわかる!ゼロから学ぶ解き方のコツと実例解説

中学数学

文字式の勉強から一次式、一次方程式の勉強に発展していく中で、方程式の解き方やそもそも一次方程式そのものがよくわからないと思っている学生さんも少なくないと思います。

方程式自体は、算数の時から実は勉強しているものなので、文字式の計算に慣れてしまえば、計算の処理は難しいものではありませんが、一次方程式は、整数の時、負の数の時、分数・小数の時の計算と3種類の計算処理の方法を改めて復習しながら勉強を進めていくので、新しい計算方法を学んでいるとつい思い込んでしまいがちで、難しく感じてしまう場合があります。

なので、このページでは一次方程式の基本的な考え方と計算方法に焦点を当てて解説していきます。

 

一次方程式を学ぶ意味とは?

では、そもそも一次方程式を学ぶ意味は何があるのでしょうか?

数学の計算のほとんどが方程式の計算になりますが、計算処理で方程式が占める割合が多い分、数学が「得意」「苦手」に分かれるきっかけになってしまうのも方程式です。

中でも「一次方程式」は、中学生が初めて本格的に出会う文字を使った計算の単元であり、今後の学習や実生活においても重要な役割を果たします。

そのため、一次方程式を学ぶ意味としては、今後の学習は実生活における考え方の基礎を身につける目的をもっています。

 

一次方程式とは何か?図や言葉で直感的に理解しよう

一次方程式を学ぶ意味について理解してもらったところで、一次方程式とはどういうものなのかを見ていきます。

方程式とは何か?

まずは「方程式」とは何かを説明していきます。

「方程式」とは簡単にまとめると、計算によって答えが決まる問いを式で表したものです。

たとえば「ある数に3を足したら7になる。この数を求めなさい」という文章問題は、次のような形で表せます

$x+3=7$

この式が方程式です。

「=」の左側と右側が等しくなるような「$x$」の値を探すのが方程式を解くということです。

「一次方程式」とは何が違うの?

では、方程式と一次方程式は何が違うのでしょうか?

結論をお話すると、一次方程式は方程式の種類の1つです。
(正の数が整数の種類の1つと同じようなイメージです。)

方程式にはいろいろな種類がありますが、「一次方程式」とは具体的には、未知数の次数が1である方程式のことです。

次数とは、文字につく指数です。

下記が一次方程式の例です。

$2x+1=5$
$x-4=10$
$3x=12$

逆に一次方程式でないものは下記のような式です。

$x^2+3=10$(←これは「二次方程式」)
$x^3=27$(←これは「三次方程式」)

それぞれの例から分かる一次方程式の最大の特徴は「$x$の2乗や3乗が出てこない」ことです。

式の中に「$x$」が1つ、そしてその指数が1(つまり普通の$x$)で表現されているものが一次方程式です。

 

一次方程式の基本形とその意味

一次方程式がどういったものか説明したところで、より深く一次方程式の実態を見ていきます。

まず一次方程式は、一般的に次のような形で書きます。

$ax+b=c$

この式を一次方程式の基本形といいますが、この式での各文字の意味をしっかり押さえましょう。

記号 意味 説明
$x$ 未知数 求めたい値
$a$ 係数 $x$の前についている数。
0ではない
$b$ 定数項 $x$に関係ない数。
左辺の数字部分
$c$ 右辺の定数 方程式の右側にある定数

例えば、$2x+3=7$のような方程式では、

$a=2$
$b=3$
$c=7$

という形になります。

ここから$x$の値を求める、つまり「方程式を解く」という行為に入っていきます。

 

方程式を解くとはどういうことか?

ここまでの説明の中で「方程式を解く」という言葉が出てきていますが、この言葉は方程式の学習の中で初めて出てくる言葉になります。

この言葉の意味についてもしっかりと説明しておきます。

ここでもいきなり結論からになりますが、方程式を解くというのは、「その方程式が成り立つ$x$の値を見つける」ことです。

例として、次の方程式を考えてみましょう。

$x+3=7$

この式が「成立する」ためには、$x$に何を入れればいいでしょうか?

3を足して7になるということは、

$x=4$

このように、式の左辺と右辺が同じになる$x$を見つけることが、方程式を解くということなのです。

 

一次方程式の解き方の基本ステップ

一次方程式の基本的な考え方をここまでで説明してきました。

ここからは実際に一次方程式を解いていくステップを解説していきます。

一次方程式の解き方は、後ほど説明するような基本操作で進めていきます。

この基本操作を使って解くことができる理由は、すべての方程式に共通する「等式の性質」に基づいています。

等式の性質とは?

ここで、「等式の性質」について触れておきたいと思います。

等式の性質とは、等式(=で結ばれた式)の両辺に、同じ数を足したり引いたり、かけたり割ったりしても、その等式の正しさは変わらないという性質のことです。

この性質を使って、式を少しずつ簡単にしていき、最終的に$x=○○$という形にします。

 

一次方程式の実践的な解き方

では、実際に等式の性質を使って一次方程式の解き方を見ていきます。

ここでは、実際の例を使って、手順を追いながら解いていきます。

例題1:2x+3=11

Step1:定数項を移項する

まず第一に定数項を右辺に移項していきます。

移項する際は、定数項の符号を逆にするようにしましょう。

その理由は、移項の計算自体は、両辺から定数項を0にするという処理を行っているので、定数項と逆の符号の数を両辺に加えているからです。

$2x+3-3=11-3$
$2x=8$

Step2:係数を消す

次に$x$の係数を1にする処理を行います。

この例題では、$x$の係数が2なので、両辺を2で割ります。

$2x÷2=8÷2$
$x=4$

Step3:確認する

求まった解が正しいかを確かめるため、元の式に$x=4$を代入してみます。

$2×4+3=8+3=11$

左辺=右辺になっているので、求めた解は正しいということになります。

 

途中で間違えないための注意ポイント

この基本的なステップで一次方程式は解いていくことになります。

極めてシンプルなステップですが、一次方程式は意外とミスが多い計算でもあります。

具体的にどのようなミスが多いかというと、「符号ミス」「移項の失敗」「分数・小数の計算ミス」です。

それぞれどんなミスになるのか確認しておきましょう。

よくある間違い例

  • $-3x+5=11$ という式で、定数項を移項時になぜか$-3x$を$+3x$としてしまう
  • 分数の計算で通分を忘れる
  • 文字の係数をうっかり見落とす

ミスを防ぐためのコツ

このようなミスを防ぐために、下記のようなことに注意して計算を進めるようにしてください。

  • 計算の途中式を必ず書く
  • プラス・マイナスの符号に注意する
  • 解が出たら、元の式に代入して必ず確認する

 

どんなときに一次方程式が使えるの?

一次方程式の計算方法や計算の注意点を解説してきましたが、ここで学んでいる知識は日常生活ではどのように活かされるのでしょうか?

ここでは、一次方程式が学校の勉強だけでなく、日常の計算や論理的な考え方にもつながっている例を紹介していきます。

一次方程式が使える具体的な場面

一次方程式の知識を使うことができる場面を挙げると下記のようなものが挙げられます。

  • 商品を複数買って、合計金額から単価を逆算する
  • 時速・距離・時間の計算(速さの三公式)
  • 水道料金や電気料金など、固定費+使用量に応じた金額の計算
  • 食事の栄養計算(何gのタンパク質が必要かなど)

たとえば「5個の同じリンゴを買って合計800円だったとき、1個いくらか?」という問いも、式にすれば

$5x=800$
$x=160$

というふうに、一次方程式で簡単に求めることができます。

 

複雑な形の一次方程式にもチャレンジしよう

一次方程式の基本的な計算例や、日常生活に使える活用例もイメージできたところで、少し複雑な計算に取り組んでみましょう。

ここからは、以下のようなパターン別に整理して、順を追って解き方を学んでいきます。

パターン①:かっこがある一次方程式

まずはかっこがあるときの一次方程式を計算していきます。

例題

$3(x-2)+4=2(x+1)$

解き方の手順

Step1:かっこを展開する

まずは、かっこを外します。

これは、分配法則を使って正しく展開していきます。

左辺:$3(x-2)=3x-6$
右辺:$2(x+1)=2x+2$

よって、式は
$3x- 6+4=2x+2$

となります。

Step2:左右の項を整理する

ここからは基本のパターンに沿って計算していきます。

まずは定数項を整理します。

$3x-2=2x+2$

Step3:移項してxを左側へ、定数を右側へ

続いて文字項を左辺に、定数項を右辺にそれぞれ移項し解いていきます。

$3x-2x=2+2$
$x=4$

Step4:確認

最後に必ず求められた解が正しいかを確認します。

元の式に$x=4$を代入すると、両辺とも10になるので求めた解は正しいとなります。

ポイント

この問題では下記のポイントがあるので、確認しましょう。

  • 展開を正確に
  • 計算途中で符号を間違えない
  • 整理→移項→計算の流れを意識する

パターン②:分数が含まれる一次方程式

次は、分数が含まれる一次方程式を見ていきましょう。

例題

$\frac{2x + 1}{3}=\frac{4x – 5}{6}$

解き方の手順

Step1:分母をそろえる or 最小公倍数をかける

分数があるときの計算は、分数を解消するのが最も有効です。

この問題では、両辺に6をかけると分数を消せます。

$6×\frac{2x + 1}{3}=6×\frac{4x – 5}{6}$

計算すると、

左辺:$2×(2x+1)=4x+2$
右辺:$4x-5$

つまり、$4x+2=4x-5$

Step2:移項

ここまでくれば、あとは基本のステップの計算を行っていきます。

$4x-4x=-5-2$
$0=-7$

これは矛盾($0≠-7$)しているので、解なしになります。

解がないパターンもあることを頭の隅に置いておくと、急にこういった問題と向き合ったときに焦らずに対応できるでしょう。

ポイント

この問題でのポイントは下記になります。

  • 分数のままで解くより、最小公倍数をかけて分母を消すほうがラクで安全
  • 両辺をかけるときは、式全体にかけることを忘れない
  • 計算後に成り立たなければ、「解なし」のパターンもあると理解しておく

パターン③:小数が含まれる一次方程式

最後に小数が含まれているときの計算を見ていきます。

例題

$0.3x+0.5=0.7x-1.1$

解き方の手順

Step1:小数を消すために10倍する

小数が含まれているときは、小数を整数にするのがミスを防ぐ意味でもおすすめです。

もちろんこのまま計算してもいいですが、小数が苦手な人はすべて10倍して整数に直すといいです。

$10×(0.3x+0.5)=10×(0.7x- 1.1)$
$3x+5=7x-11$

Step2:移項

ここまで式変形できたら、基本のステップの計算になります。

$3x-7x=-11- 5$
$-4x=-16$

Step3:xを求める

$x=\frac{-16}{-4}=4$

ポイント

この計算のポイントは下記のとおりです。

  • 小数は無理に使わず、整数に直してから解く
  • 小数の計算に自信がない場合、10倍・100倍しても構わない

 

一次方程式を使った文章問題の攻略法

ここまでは一次方程式の計算を中心に解説してきました。

ここからは、文章で書かれた問題を方程式に変換して解く方法を学んでいきます。

一次方程式は計算よりも、文章問題を解く力のほうがより重要で、また日常生活や仕事の場面にもつながる重要な力になります。

文章問題の解き方ステップ

文章問題は問題の条件から正しい式を自分に立ててから計算することになるので、下記の手順で文章問題に対応していきましょう。

  1. 何を求めるのかを明確にする(=未知数を文字で表す)
  2. 問題文からわかる情報を数式に変える
  3. 一次方程式の形にして解く
  4. 答えが問題に合っているか確認する

例題1:年齢の問題

上記のステップを押さえたうえで、実際に例題を見ていきましょう。

まずは年齢に関する問題です。

今、母は子の4倍の年齢です。3年後には、母の年齢は子の年齢の3倍になります。
今の子の年齢を求めなさい。

Step1:未知数の定義

今の子の年齢を$x$とすると、母の年齢は、$4x$と置けます。

Step2:3年後の年齢

3年後の年齢を年齢は今の年齢に+3した値なので、

子 → $x+3$
母 → $4x+3$

この年齢が「3年後、母の年齢は子の3倍」という条件を式にすると

$4x+3=3(x+3)$

となります。

Step3:式を解く

ここまで立てたら実際に計算を行っていきます。

$4x+3=3x+9$
$4x-3x=9-3$
$x=6$

よって、答えは6歳

例題2:買い物の問題

次の例題は、買い物における問題です。

ある商品Aを3個、商品Bを2個買って合計は1,100円でした。
商品Aは1個200円です。商品Bの値段を求めなさい。

Step1:未知数の定義

この問題は商品Bの値段を聞かれているので、商品Bの値段を$x$円とします。

Step2:合計金額の式

問題の条件を数式に落とし込んでいきます。

A:200円×3=600円
B:$x×2=2x$円

合計が1,100円なので、
$600+2x=1100$

Step3:解く

数式に落とし込んだので、実際に解き進めていきます。

$2x=1100-600=500$
$x=250$

よって答えは、商品Bは1個250円

文章題で間違えないためのチェックポイント

ここまで見てきたように、文章問題は上記のような流れで解き進めていきます。

文章問題を解いていくうえで、大切なポイントをまとめたので、確認しておきましょう。

  • 未知数は何を求めるかに対応して決める
  • 時間・速さ・距離の関係や、料金の計算などは三公式を思い出す
  • 答えが「現実に合っているか」を最後に必ず確認する(負の年齢や0円の値段などはNG)

 

一次方程式の学習が将来の仕事にどう役立つか?

ここまで、一次方程式の計算問題や文章問題、日常生活にどう活かせるのかを解説してきました。

一次方程式は未知数を求めるための計算という性質があるため、この知識が将来の仕事にもかなり有効に活用できるものでもあります。

どういう仕事で活用できるかをいくつか見ていきたいと思います。

データ分析やITの仕事

たとえば、Webサービスの開発や、マーケティングでアクセス数を分析する際に、数値の関係を数式で表す場面があります。

複雑な条件の場合もありますが、基本は一次方程式で、「ある条件のときのデータ予測」や「費用と利益のバランス」などが関係してきます。

建築・設計の仕事

面積や体積、材料の費用などを計算するとき、方程式で条件を整理しながら計画を立てることがあります。

たとえば「材料費が総額でいくらになるか」「ある材料を何個使うか」は、まさに一次方程式で求められる内容です。

介護・医療分野でも

食事量・投薬量の計算、リハビリ時間など、条件をもとに正確な数値を計算する力が求められる現場では、一次方程式のような思考力が非常に重要です。

このように、社会の現場では特に金額やあるものの量を計算する場面では一次方程式が有効に使われていることがあります。

まだ中学生の段階で将来の職業はイメージできないかもしれませんが、今学んでいることが将来につながっていることは想像してもらえるとモチベーションにもなるかと思います。

 

学習の成果を高める3つの習慣

ここまで学んでいることは将来の自分の選択肢を増やすための学習だという想像をしてもらったところで、社会でも有効に活用できる知識をしっかりと身につけるための学習習慣についてお話しておきます。

特に、一次方程式の理解をしっかり定着させるために、以下の習慣を心がけましょう。

①計算ミスを防ぐ「途中式を書く」習慣

一次方程式を効果的に身につける方法は「途中式を必ず書く」という習慣です。

省略せず、必ず一行ずつ書くことが大事です。

特に移項・符号ミスを防ぐには、書いて確認するのが最も効果的です。

②答えを元の式に代入して確認

また、計算した結果を検証することもとても大事な作業になります。

解いたら元の方程式に代入して、左右が一致するかチェックしましょう。

これを習慣にすれば、ミスを早く見つけられます。

③文章問題に慣れる

前述しましたが、一次方程式の問題は計算問題よりも文章問題のほうがより重要になります。

なので、基礎力はもちろん、応用力をつけたいなら、「文章題に式を立てる」練習が最も効果的です。

1日1問でもいいので、身近な場面を方程式にしてみるクセをつけてください。

 

一次方程式を楽しむ工夫

ここまでの説明の中で一次方程式の重要性については少しずつ理解してもらえていると思います。

ですが、これほど重要だ、重要だといわれてしまうと、知識を身につけることが優先されてしまい、結果として「勉強=苦しいもの」と感じている人も出てくると思います。

ですが、ちょっとした工夫で重要な数学の学習も楽しくなります。

そのことについて、最後に説明させていただきます。

自分の生活を式にしてみる

1つ目の工夫は生活に取り入れてみる方法です。

たとえば、「1本150円のジュースを買って、1,000円札を出したらおつりはいくら?」を

$150x+おつり=1000$

みたいに式にしてみると、数学が急に身近になります。

パズル感覚で取り組む

一次方程式は計算に焦点が行きがちですが、実は論理パズルのようなものとして数字遊びもできます。

与えられた条件から順に計算して答えを導き出す楽しさがあります。

「ここを移項したらどうなる?」「この数をかけたらスッキリするぞ!」と、ゲームのように楽しむ姿勢も大切です。

これらに限らず、学習を楽しむ工夫は様々あるので、ぜひ自分にあった学習の工夫を考えてみてください。

 

まとめ

このページでは、一次方程式の考え方と計算方法、文章問題の解き方や日常生活における活用例など、いろいろな視点でみる一次方程式を解説してきました。

改めてになりますが、一次方程式は、ただ「$x$の値を求める」だけの学習ではありません。

一次方程式を通して、論理的に考え、順序立てて問題を解決する力を育てる練習だと思ってください。

実際に一次方程式を通して下記のような考える力がついていきます。

  • 数字と文字の関係を整理する力
  • 論理的に物事を考える力
  • ミスを防ぐための丁寧な計算力
  • 実生活の問題を数式に変えて解決する力

これらの力は、数学の成績だけでなく、将来社会に出てからもあらゆる場面で活かせる力だということも紹介しました。

今はまだ数学における学習の1つかもしれませんが、一次方程式を通して身についていく力は本当に多くあるので、自分のペースが確実に知識や計算方法を身につけていくようにしましょう。

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