これまで文字式についての知識を深めてきましたが、これからは実際の文字式の計算を行なっていきます。
中学生の数学で始めに出会う文字式の計算は「一次方程式」になります。
この言葉の意味が最初は分からないかも知れませんが、ここで丁寧に解説していくので、順を追って学習を進めていきましょう。
一次式とは
一次式は、中学数学の最も基本的な計算です。
一次式とは、文字を含む式で、その文字の指数が1以下のものを指します。
例えば、$2x+3$や$-5y+$7$などが一次式に該当します。
一次式の基本的な構造は以下の通りです。
- 文字項:文字を含む部分(例:$2x$,$-5y$)
- 定数項:数字のみの部分(例:3,7)
文字項は、係数と文字から成り立っています。係数とは、文字の前に付く数のことです。
例えば、$2x$の場合、2が係数となります。係数が1の場合は省略されます。
一次式を理解することは、数学の基本的な計算力を養う上で非常に重要です。
その理由は、一次式は今後の数学学習でほぼ全ての分野で一次式の知識を利用した計算処理があることはもちろんのこと、日常生活の様々な場面で応用できるからです。
例えば、商品の値段を計算する際や、距離と速度の関係を表す際にも一次式が使われます。
一次式の計算方法
一次式の計算には、いくつかの基本的なルールがあります。これらのルールを理解し、適切に適用することで、複雑な一次式の計算も容易に行うことができます。
1. 同類項の結合
同類項とは、文字が同じで指数も同じ項のことを指します。
例えば、$3x$と$2x$は同類項です。同類項は、係数を足し合わせることで一つの項にまとめることができます。
例:
$3x+2x=5x$
$4a-2a=2a$
2. 分配法則の適用
かっこの前にある数や文字を、かっこ内のすべての項に掛けることを分配法則と呼びます。
例:
$2(x+3)=2x+6$
$a(b-c)=ab-ac$
3. 正負の数の計算
一次式の計算では、正負の数の計算規則を適切に適用することが重要です。
例:
$5x-3x=2x$
$-2a+7a=5a$
これらの基本的な計算方法を組み合わせることで、より複雑な一次式の計算も行うことができます。例えば、
$(3x+2)-(x-5)=3x+2-x+5=2x+7$
このように、かっこを外し、同類項をまとめることで、最終的な結果を得ることができます。
一次式の計算をしっかりとマスターすることで、次のステップである一次方程式の解法へとスムーズに進むことができます。
一次式の計算は、数学の計算の基礎となる重要な計算方法なので、十分に練習を重ねることをおすすめします。
方程式とは?
続いて、「方程式」という言葉について解説していきます。
先に定義から説明すると、方程式とは「等式の左辺と右辺の値が等しい関係を表した式」です。
ここで、左辺とは「=」の左側の部分で、右辺とは「=」の右側の部分のことを言います。
「左辺」「右辺」という言い方は今後ずっと出てくる言い方なので、この段階でしっかりと覚えておきましょう。
さて、方程式について言葉で説明されてもどういうこと?となる人もいるかも知れませんが、実は方程式自体は、算数の頃からずっと計算してきたものです。
例えば、$2+3=5$について考えると、まず$2+3$の部分が左辺に、5が右辺になります。そして、2と3を足すと5になるということは誰しもが理解しうることであり、左辺と右辺が等号「=」で結ばれるのもの自然です。
これは文字こそ入っていませんが、確かに左辺と右辺が等しい関係を表した式になっているため、方程式といえます。
そのため、上記のような式を「方程式」と呼ぶということを押さえておけば、新しく学ぶことはそれほど多くないということが分かったかと思います。
一次方程式とは
一次方程式は、未知数を含む等式で、その未知数の指数が1であるものを指します。
一次方程式の一般的な形は以下の通りです。
$ax+b=c$
ここで、$a,b,c$は定数($a≠0$)、$x$は未知数を表します。
一次方程式は、一次式と方程式を組み合わせて、様々な問題を数学的に表現し、解決するための計算方法です。
例えば、以下のような場面で一次方程式が活用されます。
- 年齢に関する問題(例:10年後の年齢が現在の2倍になる年齢を求める)
- 商品の価格計算(例:定価の20%引きで販売する場合の価格を求める)
- 速度と時間の関係(例:一定速度で移動する際の所要時間を求める)
一次方程式を解くことで、これらの問題に対する具体的な数値解を得ることができます。
そのため、一次方程式の解法を身につけることは、論理的思考力や問題解決能力を向上させる上で非常に重要です。
一次方程式の解き方
一次方程式を解く際には、以下の手順を踏むことが一般的です。これらの手順を順序立てて行うことで、効率的に方程式の解を求めることができます。
1.方程式の両辺から同じ数を引く、または足す
この操作により、未知数を含む項を左辺に、定数項を右辺にまとめることができます。
例:
$x+5=12$
$x+5-5=12-5$
$x=7$
この操作は慣れてきたら、左辺の定数項を符号を逆にして右辺に移動するという方法でも問題ありません。(この方法を移項すると言います。)
例:
$x+5=12$
$x=12-5$
$x=7$
2.方程式の両辺に同じ数をかける、または割る
この操作により、未知数の係数を1にすることができます。
例:
$2x=10$
$2x÷2=10÷2$
$x=5$
3.左辺の未知数の係数を正の数にする
未知数の係数が負の場合、両辺に-1をかけることで正の数に変換します。
例:
$-3x=15$
$-3x・(-1)=15×(-1)$
$3x=-15$
$x=-5$
これらの基本的な操作を組み合わせることで、より複雑な一次方程式も解くことができます。例えば、
$2x+7=5x-2$
- $5xを左辺に移項し、7を右辺に移項する:$2x-5x=-2-7$
- 同類項をまとめる:$-3x=-9$
- 両辺を-3で割る:$x=3$
このように、段階を踏んで解いていくことで、確実に正解にたどり着くことができます。
一次方程式の解き方に慣れてくると、より効率的に解を求められるようになります。
例えば、両辺から同じ数を引く操作と、未知数を含む項を左辺に移項する操作を同時に行うなど、手順を省略することも可能です。しかし、初めのうちは上記の基本的な手順を確実に踏むことをおすすめします。
一次方程式の応用問題
一次方程式の知識を活用することで、数学の問題以外にも様々な実生活の問題を解決することができます。ここでは、一次方程式を用いて解く典型的な応用問題とその解法について説明します。
1. 年齢に関する問題
例題:現在の年齢を$x$とすると、5年後の年齢は現在の1.5倍になります。現在の年齢を求めなさい。
解法:
- 方程式を立てる:$x+5=1.5x$
- 両辺から$x$を引く:$5=0.5x$
- 両辺を0.5で割る:$10=x$
したがって、現在の年齢は10歳です。
2. 割合に関する問題
例題:定価が1,000円の商品を20%引きで販売します。販売価格を求めなさい。
解法:
- 20%引きは定価の80%であることを理解する
- 方程式を立てる:$1,000×0.8=x$
- 計算する:$800=x$
したがって、販売価格は800円です。
3. 速度と時間の問題
例題:240kmの距離を、時速$x$kmで走ると6時間かかります。時速を求めなさい。
解法:
- 距離=速度×時間の関係を利用する
- 方程式を立てる:$240=x×6$
- 両辺を6で割る:$40=x$
したがって、時速40kmで走ることになります。
これらの応用問題を解く際のポイントは、問題文から適切に情報を抽出し、正確に方程式を立てることです。方程式さえ正しく立てることができれば、あとは基本的な解法を適用するだけで解を求めることができます。
応用問題を数多く解くことで、問題文を数学的に解釈することができるようになり、より複雑な問題にも対応できるようになります。また、日常生活の中で数学的思考を活用する機会も増えていくでしょう。
まとめ
本ページでは、中学数学の基礎である一次式と一次方程式について学びました。
一次式と一次方程式の理解は、この後学んでいく様々な数学の問題を学ぶ上での基礎となります。これらの概念をしっかりと身につけることで、数学的思考力が身についていき、論理的な問題解決ができるようになってきます。
日々の学習や練習を通じて、一次式と一次方程式の扱いに慣れていくことをおすすめします。また、始めのうちは難しいかもしれませんが、数学の勉強だけで終わらずに実生活の中で一次方程式を活用できる場面を意識的に探すことで、数学の実用性を実感することができるでしょう。
数学の学習は、段階的に進めていくことが大切です。一つ一つの概念をしっかりと理解し、十分に理解を重ねてから次のステップに進むようにしましょう。そうすることで、数学に対する自信が育ち、より難しい内容にも挑戦できるようになります。
数強塾は、中学生〜高校生を対象に数学の苦手をサポートするオンライン塾です。
プロの講師が1対1で指導にあたるので、理解できるまで丁寧に指導しています。
学校の授業の復習や定期テストの勉強から、受験対策まで自分のレベルにあった学習が家庭にいながらできるのも魅力の1つ。
- 学校の授業の理解が追いついていない人
- 定期テストの点数をあげたい人
- なかなか数学で点数が取れない人
- 受験対策として数学を重点的に学習したい人
対象 | 回数 | 入塾金 | 科目 |
中学1年〜高校3年 | 週1日〜週3日 | あり(初月のみ) 16,500円(税込) |
数学 |
コメント