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■文字が1つだけ掛け合わされた文字式を一次式と呼ぶ。
■一次式は文字が1種類だけとは限らない。
■等式の左辺と右辺の値が等しい関係を表した式を方程式という。
■一次式でできた方程式を特に一次方程式という。
これまで文字式についての知識を深めてきましたが、これからは実際の文字式の計算を行なっていきます。
中学生の数学で始めに出会う文字式の計算は「一次方程式」になります。
この言葉の意味が最初は分からないかも知れませんが、ここで丁寧に解説していくので、順を追って学習を進めていきましょう。
一次式とは?
上記で、「一次方程式」という言葉が早速出てきましたが、一次方程式という言葉は「一次式」の「方程式」という2つの言葉に分解されます。
そして、「一次式」も「方程式」も数学で始めて出会う言葉になります。
なので、まず最初に「一次式」という言葉から説明していきます。
一次式とは、「文字が1つだけ掛け合わされた文字式」と定義されています。
どういうことかと言うと、例えば$x+1$は$x$が1個だけあるので、一次式になります。ですが、$x^2+1$は$x$が2つあるため、これは一次式ではありません。(これは二次式と言います。中学2年生からの学習範囲になります。)
ポイントは「文字が1つだけ掛け合わされた」という点です。文字式のルールに立ち返ってみると、同じ文字が複数掛け合わさっている時は「指数」という形で表現するといったことものがありました。
そのため、指数が使わている$x^2+1$は一次式ではないということになります。
一次式の中に文字が複数あってもよい
ここで、多くの人が勘違いする点があります。
それは、一次式には「文字が1種類だけ含まれている」式として覚えてしまうということです。
これは、間違いであり、先ほども説明させてもらったように、一次式は「文字が1つだけ掛け合わされた式」ということであり、「1種類」とは言っていません。
なので、例えば、$x+y-5$というように文字が2種類以上含まれている式も一次式になります。このように少しのニュアンスの違いこそあれ、意味が全く違う覚え方をしてしまうと大きな間違いにつながることになりますので、細かい部分もしっかりと覚えていくようにしましょう。
方程式とは?
続いて、「方程式」という言葉について解説していきます。
先に定義から説明すると、方程式とは「等式の左辺と右辺の値が等しい関係を表した式」です。
ここで、左辺とは「=」の左側の部分で、右辺とは「=」の右側の部分のことを言います。
「左辺」「右辺」という言い方は今後ずっと出てくる言い方なので、この段階でしっかりと覚えておきましょう。
さて、方程式について言葉で説明されてもどういうこと?となる人もいるかも知れませんが、実は方程式自体は、算数の頃からずっと計算してきたものです。
例えば、$2+3=5$について考えると、まず$2+3$の部分が左辺に、5が右辺になります。そして、2と3を足すと5になるということは誰しもが理解しうることであり、左辺と右辺が等号「=」で結ばれるのもの自然です。
これは文字こそ入っていませんが、確かに左辺と右辺が等しい関係を表した式になっているため、方程式といえます。
そのため、上記のような式を「方程式」と呼ぶということを押さえておけば、新しく学ぶことはそれほど多くないということが分かったかと思います。
一次方程式とは?
それでは、本題の「一次方程式」とはどういったものなのでしょうか?
ここまでの知識を踏まえて説明すると、一次方程式とは、「文字が1つだけ掛け合わされた、左辺と右辺が等しい関係を表した式」ということになります。
具体的にはどういったものが一次方程式になるのか見ていきます。例えば以下の式は一次方程式になります。
\[x+1=4\]
確認すると、左辺の$x+1$は文字$x$が1つだけ掛け合わされている(指数の表示がない)ので左辺は一次式になっています。そして、右辺の4とは等号「=」で結ばれているので、方程式になっています。
なので、上記の式は一次方程式の要件を満たしているため、一次方程式と言えるのです。
ここまでで、一次式、方程式、一次方程式については理解が追いついてきたと思います。ですが、これらを学習することで何になるのかという部分については説明していませんでした。
結論からお伝えすると、一次方程式を学ぶことで、未知数(上記の式だと$x$)に当てはまる数が計算できるようになります。
一次方程式を学習することで、これまで○や■などで表していた未知数を文字で表現し、その未知数を計算によって、論理的に導くことでできるようになります。
具体的な計算方法については、これから説明していきます。
一次方程式の計算方法
では、実際に一次方程式の計算方法について解説していきます。
算数の時に○や■を使って計算した時のようなやり方になりますが、数学的に説明していくのでしっかりと計算の意味を理解しながら進めていきましょう。
例題は下記の問題とします。
\[x-6=8\]
$x$に当てはまる数を求めていきます。
解法は以下の通りです。
■両辺に6を足す
問題は方程式であり、方程式の性質を利用して解答を進めていきます。上記の問題の場合では、両辺(左辺と右辺の両方)に6を足します。両辺に同じ数を足すことができるのは、方程式の性質(左辺と右辺が等しい関係)は崩れないためです。
そして、左辺に6を足すことで、左辺は$x=$の形になります。そして右辺は算数の計算に帰着します。
実際の計算の流れは以下の通りです。
\[x-6=8\]
\[x-6+6=8+6\]
\[x=14\]
なので、$x$に当てはまる数は14となるわけです。
計算の仕組みが理解できれば、移項でもOK
上記の計算方法はしっかりと計算の仕組みを理解するために行いました。ですが、今後の計算問題で上記のように計算を進めていくのは少々時間がもったいないです。
そこで、数学には「移項」という考え方があります。
移項とは、左辺の数を、符号を反対(+は-、-は+)にして右辺に持ってくるという考え方です。(左記のようだと、左辺から右辺にしか持って来れないと考える人もいるかも知れませんが、説明の便宜上そのように書いているだけであり、右辺から左辺に移項することももちろん可能です。)
先程の問題を例に、どういうことか説明します。
先程の問題では、左辺に-6という項がありました。これを右辺に移項する場合、-を+にして、右辺の8の後ろに持ってきます。
すると、最終的には解が同じようになります。
\[x-6=8\]
\[x=8+6\]
\[x=14\]
移項ができる理由は、ここまでの説明をしっかりと理解していれば何となく分かる部分ですが、左辺では、定数の部分が正負反対の符号の同じ数の計算を行なっているため、必ず0になります。そのため、右辺だけの計算となり最終的には両辺で計算することと同じような手順になるのです。
移項という考え方についても、今後の数学の計算では頻繁に利用する考え方です。単純に移動をしているのではなく、求めたいものだけを残すために行なっている計算を簡略化したものという認識をしっかりと身につけた上で、移項という考え方も理解していってください。
まとめ
ここでは数学の最初の文字式計算である、一次方程式について解説していきました。この分野の学習では計算以外にもいろいろな言葉の理解も出てくるため、難しく感じる人もいるかも知れません。
ですが、心配せずに学習を進めていきましょう。十分に理解できていなくてもこの分野の計算問題はこれから先ずっと出会う分野です。
ある程度の理解でも数をこなしていくうちに理解も深まっている分野でもあります。
その分、始めの学習ではしっかりと理解をした上で、復習も行い知識の定着にはなるべく早めに取り組みましょう。
そして数学の計算問題に1日でも早く慣れるよう鍛錬していきましょう。
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