文字式の代入をマスター!計算の手順と注意点を徹底解説&練習問題つき

中学数学

前回のページでは、文字式を用いる意味や考え方、日常生活における例を紹介していきました。

文字式の考え方をしっかりと理解していくのは大事である一方で、文字式を使いこなして、計算問題や文章問題を正確に解答していく力もこれからは重要になってきます。

そこで、計算問題や文章問題を解答する過程において大事な操作が「代入」という操作です。

学校の授業や教科書では、あまり深く触れられていない部分ですが、あえてこのページでは代入という過程に焦点を当てて、代入の意義やその手順、実際の計算まで丁寧に解説していきます。

文字式の計算で、なぜか毎回解答が合わないという学生さんはぜひこのページで代入について振り返ってみて、自分の計算ではどこが間違っているのかを確認してみてください。

 

文字式の代入とは何か?~式が意味を持つ瞬間~

では早速本題に入っていきます。

学生さんの多くは学校の授業で突然「代入」という操作が紹介されて、機械的に文字に数を入れて計算をしていると思いますが、代入の操作そのものの意味を考えたことはあるでしょうか?

「代入」は、数学の学習の中でも、中学1年で初めて出会う抽象的な式の世界と現実の数値を結びつける重要な考え方です。

たとえば「$x+3$」や「$2a-b$」のように文字を使った式が出てきたとき、「この式がいったい何を意味するのか」を具体的に知るには、文字に数字を代入してみることが一番早い方法です。

このように代入の操作の目的や意義を明確にすることで、機械的な操作というイメージから、数学的な計算過程へとイメージが変わっていくと思います。

なので、まずはそもそも代入とはどういう意味があるのものなのか解説していきます。

そもそも「代入」ってなに?

そもそも「代入」とは、文字式の中の文字をある具体的な数値に置き換える操作のことです。

たとえば、文字式$x+3$に対して$x=2$を代入すると、$2+3=5$となります。

このように、文字の代わりに数字を入れることで式を具体化し、数値としての結果を出すことができるのが「代入」です。

なぜ代入を学ぶの?

代入についての定義を確認したところで、代入を学習する意味や目的を説明していきます。

結論をお話すると、代入を学ぶことで、「文字式」が具体的な数量関係を表していることが理解できるようになります。

たとえば、

長方形の面積を文字で表すと「たて×よこ=$ab$」
これに「たて=5、よこ=3」を代入すれば、面積は「$ab=5×3=15$」と分かる

つまり、代入は現実世界の問題を文字で抽象化して解決するための操作として、とても大事な考え方なのです。

 

基本の代入手順をマスターしよう

ここまでで代入の意味やその学習の意義について説明してきました。

ここからは、実際に代入を行う手順を確認してみましょう。

ここでは「1文字だけの代入」と「複数文字の代入」に分けて説明します。

①1文字の代入

では早速の1文字の代入から例題を使ってみていきます。

例題1

次の文字式に数字を代入して計算してみましょう。

文字式:$x+4$ $x=3$のときの値は?

解説

$x$を3に置き換えます。
$3+4=7$

答え:7

例題2

文字式:$5x$ $x=6$のときの値は?

解説:

「$5x$」は「$5×x$」と同じです。
$5×6=30$

答え:30

②複数の文字があるときの代入

続いて複数の文字があるときの代入の計算を見ていきます。

例題3

文字式:$2a+3b$ $a=4$,$b=1$のときの値は?

解説

$a$に4、$b$に1を代入して計算します。
$2×4+3×1=8+3=11$

答え:11

例題4

文字式:$ab−b$ $a=5$,$b=2$のときの値は?

解説

$5×2−2=10−2=8$

答え:8

 

計算ミスを防ぐコツと注意点

上記では簡単な例題を用いて実際の代入の手順を確認していきました。

代入は一見単純なようですが、実は計算ミスを起こしやすいポイントがいくつかあります。

なので、ここでは計算ミスを防ぐコツと注意点をお話していきます。

以下のような点に注意しましょう。

①マイナスの代入に注意!

まずよくあるのが、マイナスの数の代入の時です。

マイナスの数を代入するときは、かならずカッコを使うと安心です。

例題5

文字式:$2x+1$ $x=−3$のときの値は?

解説

$2×(−3)+1=−6+1=−5$

答え:−5

②式の意味を読み取ってから代入しよう

次の例は、文字式の意味を把握しきる前に代入してミスをしてしまう例です。

たとえば、「$2x−3$」は「$2×x−3$」という意味です。

決して「$2−x×3$」ではありません。

乗法(かけ算)の省略記号に注意しましょう。

③分数・小数の代入もある

意外に間違いが多い例として、分数や小数の代入の時にミスが目立ちます。

例題6

文字式:$x÷2+1.5$ $x=4$のときの値は?

$4÷2+1.5=2+1.5=3.5$

答え:3.5

例題7

文字式:$x÷y$ $x=3$、$y=\frac{1}{2}$のときの値は?

$3÷\frac{1}{2}=3×2=6$

答え:6

④括弧(かっこ)がある式に注意!

また、括弧がある式に代入するときは、代入そのものというよりか、計算自体にミスが多いのでその点を注意しましょう。

例題8

文字式:$3(x−2)$ $x=5$のとき値は?

$3(5−2)=3×3=9$

答え:9

例題9

文字式:$(x+y)(x−y)$ $x=4$,$y=1$のときの値は?

$(4+1)(4−1)=5×3=15$

答え:15

 

実生活でも役立つ代入の考え方

ここまでは、数学の計算を解くときの注意点など、数学の世界で身につけていく知識や考え方を説明してきました。

ここからは、数学から飛び出して、日常生活でも代入の考え方を活かせることを紹介していきます。

代入の考え方は、実に多くの日常生活や将来の仕事で活用されています。

下記でその例を見ていきましょう。

買い物の合計金額を計算するとき

まずは買い物における例です。

たとえば「100円のりんごを$x$個、150円のバナナを$y$本買う」とすると、
合計金額の式:$100x+150y$

$x=3$、$y=2$のとき、
$100×3+150×2=300+300=600$円

このように、買い物の計算式にも「代入」は使えます。

プログラミングや理科の公式

次は少し勉強よりの例ですが、プログラミングや他の教科で活かされる例です。

まずプログラミングでは「変数に値を代入」するのが基本であり、他教科でいえば理科でも「速さ=距離÷時間」などの公式に値を代入して問題を解きます。

文字式+代入の考え方を理解することで、他教科や将来の学びの基礎にもつながるのです。

 

応用編:代入を使った複雑な式の計算

ここまでの解説で、基本的な代入計算ができるようになったら、少しレベルアップした式にも挑戦してみましょう。

複数の演算が組み合わさった式、式の中に分数やカッコが含まれるパターンなど複雑な式の計算をここでは行っていきます。

●分配法則が関係する式

複数の式がある計算の例として、分配法則が絡んでくる式の計算を行ってみましょう。

例題10

文字式:$2(x+3)$ $x=4$のときの値は?

$2(4+3)=2×7=14$

例題11

文字式:$3a−2(a+1) $a=2$のときの値は?

$3×2−2×(2+1)=6−2×3=6−6=0$

ポイント: 分配法則と括弧の処理を正確に行うこと。

●マイナスと括弧が絡む式

2つ目は間違いが多い計算でも例に挙げた、マイナスと括弧が含まれている式の計算を行っていきます。

例題12

文字式:$−(x−2)$ $x=5$のときの値は?

$−(5−2)=−3$

注意:「−(マイナス)」は、括弧の中の符号を反転させます。

例題13

文字式:$x−(2x−3)$ $x=1$のときの値は?

$1−(2×1−3)=1−(2−3)=1−(−1)=1+1=2$

ポイント: 括弧内をしっかり計算した上で符号の反転処理を忘れないこと。

●文字が同じでも意味が異なる式

3つ目は、同じ文字が含まれている、複数の式が組み合わさった計算の例です。

例題14

文字式:$xy+x+y$ $x=2$、$y=3$のときの値は?

$2×3+2+3=6+2+3=11$

同じ文字が何度も出てくる場合も、それぞれ正確に代入することが大切です。

 

文章題での「文字式の代入」の活用法

ここまでは計算問題を中心に代入時の注意点などを解説してきました。

ですが、文字式を使うのは、単に計算するだけではありません。

特に文章題では「条件を文字で表し、そこに数を代入して答えを求める」というパターンが非常に多く登場します。

なので、ここからは文章問題の例を使って代入計算を行っていきます。

商品の合計金額

まずは日常生活における例でも登場した買い物における例です。

問題文

りんご1個を$x$円、みかん1個を$y$円とすると、りんご3個、みかん2個の合計金額はいくらか。ただし、$x=100$、$y=80$とする。

解法

合計金額の式 → $3x+2y$
代入すると、$3×100+2×80=300+160=460$

答え:460円

図形の面積

次は図形の計量の例です。

問題文

長方形のたてを$a$cm、よこを$b$cmとしたときの面積は? ただし $a=7$、$b=6$とする。

解法

面積の式 → $a×b$
代入すると、$7×6=42$

答え:$42cm^2$

距離の計算

続いて、距離の計算の例です。

この例もよく文字式の文章題では出てくる問題形式です。

問題文

速さ$v$m/s、時間$t$秒のとき、移動した距離$d$を求めよ。ただし、$v=5$、$t=10$とする。

解法

距離の式 → $v×t$
代入すると、$5×10=50$

答え:50m

 

代入の考え方は他教科や職業でも活きる!

ここまでの解説は、数学の学習における解説が中心になっていました。

ですが、数学の学習内容は、机の上だけの話ではありません。

「代入」という考え方は、他の教科や将来の仕事の中でも、さまざまに応用されています。

その例も紹介していきます。

理科の公式でも代入が活躍

まずは理科における活用例です。

理科では、次のような式が登場します。

  • 力 = 質量 × 加速度($F=ma$)
  • 電力 = 電圧 × 電流($P=VI$)

どれも、文字式に値を代入することで、実際の数値が計算できます。

プログラミングでは「変数」と「代入」が基本

次の例は、日常生活における例でも紹介したプログラミングの例です。

プログラミングの世界では、変数(variable)に値を入れるという操作は基本中の基本です。

python
x = 5
y = x + 3 # yには8が代入される

この操作はまさに「文字式に代入」して計算する流れと同じです。

会計やビジネスでも代入は使われている

代入の考え方は実際のビジネスの世界でもしっかりと活用されています。

  • 売上 = 単価 × 数量
  • 利益 = 売上 − 費用

このようなビジネスの計算式も、文字に値を代入して結果を出すという構造になっています。

中学生の今からでも、十分活用できる考え方です。

 

学習のまとめ

ここまで文字に数を代入することについて勉強してきました。

改めてこのページで学習したことを振り返っておきます。

この単元で学んだこと

  • 文字式とは、数の代わりに文字で表した式
  • 代入とは、文字に数字を当てはめて式を具体的にする操作
  • 基本式から文章題、関数、理科・プログラミング・会計の世界まで応用可能
  • 符号」「カッコ」「計算の順序」などに注意することが大切

新しく学ぶこと自体は少なかったかもしれません。

ですが、丁寧に計算を行うことや、計算の順序を振り返ることで、代入して計算することの意義を改めて実感することができるはずです。

これからの数学の勉強では当たり前になる代入という操作ですが、この段階でしっかりと身につけるようにしましょう。

 

まとめ

このページでは文字に数を代入することについて解説していきました。

代入の意義や考え方、なぜ学ぶのか、代入時の注意点、将来の仕事での活用法など、様々な観点から代入について振り返ることができたのではないでしょうか?

このページを読んでいただけたのであれば理解していただけたかもしれませんが、文字式の代入は、ただの計算技術ではありません。

抽象的な式と具体的な条件をつなぐ「数学的思考力の基礎」であり、他教科や実生活との接点も豊富です。

  • ミスを防ぎながら正確に代入する練習を積む
  • 文章題や関数へとステップアップする準備をする
  • 学んだ内容を実生活でも活かせるよう意識する

これらを意識して、代入を「使える知識」に今後も勉強に励んでいきましょう。

 

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