正の数・負の数の乗法・除法は日常生活にどう使われているの?

コラム

前回のページでは、正負の数の加法減法が日常生活でどのように活かされているのかを紹介してきました。

実際に正負の数の加法減法は何となくこういった場面で使われているかもしれないとイメージがあった学生さんもいるかと思います。

ですが、正負の数の乗法や除法だとどうでしょうか?

特に負の数の乗法と除法やパッとイメージがつくことは少ないかもしれません。

なので、このページでは正の数負の数の乗法と除法が日常生活でどのように活用されているかを紹介していきます。

日常生活でどのように使われているかを知る前に、数学の勉強として正負の数の乗法と除法の知識を入れていきたいという人は、下記のページで正負の数の乗法と除法を解説しているので、そちらをご覧いただいてからこのページに戻ってくることをおすすめします。

正の数と負の数の乗法・除法:正負の数の計算の基礎を固める
「正の数と負の数の乗法・除法」は、数学の基礎を築く重要な概念です。数直線を使って視覚的に理解し、乗法では同じ符号が正、異なる符号が負になる規則があります。除法は乗法の逆演算であり、同じ規則が適用されます。本コラムでは、これらの概念を初心者にも分かりやすく解説していきます。

 

正の数と負の数は「増える・減る」を表す言葉

本題に入る前に、まず正の数と負の数のイメージから簡単に振り返っていきます。

正の数は「+(プラス)」で、負の数は「−(マイナス)」で表されます。

これらの数は、「増えること」「減ること」「上がること」「下がること」など、物事の変化を表すときにとても便利です。

たとえば、気温が5℃から−2℃になったら、それは「気温が7℃下がった」ということになります。

また、貯金が2万円から3万5千円になれば「+1万5千円」、逆に1万円になれば「−1万円」というふうに表すことができます。

このように、正の数と負の数は、日常の中で「どれくらい増えたか・減ったか」「上がったか・下がったか」を表すのにとても役立っているのです。

 

乗法と除法の意味を確認

次に乗法と除法のイメージを振り返っておきます。

それぞれ乗法がかけ算、除法が割り算だということはすでにイメージできている人は多いと思います。

では、この乗法と除法の数の変化についてイメージできている人はどれくらいでしょうか?

数の変化のイメージでお話すると、乗法や除法は、変化を何回分するか、または、もとの1回分の変化がどれくらいかを表します。

たとえば、$3×4$は「4を3回足す」、つまり$4+4+4=12$となりますね。

同じように、$−2×3$は「−2を3回足す」、つまり$−2−2−2=−6$と考えられます。

さらに、「正の数×負の数=負の数」や「負の数×負の数=正の数」というルールも覚えました。

これは、日常生活の中でもしっかりとした意味を持っています。

このあと、実際の場面を使って詳しく見ていきましょう。

 

正負の数の乗法と除法が使われている例

では、本題の正負の数の乗法や除法が日常生活で使われている例を紹介します。

①:気温の変化と負の数のかけ算

1つ目は気温の変化についての例です。

冬の朝、気温が1時間に−2℃ずつ下がっていくとします。

この状態が3時間続いたら、合計で何℃下がったでしょうか?

このような問題は、$−2×3=−6$で表すことができます。

つまり、3時間で−6℃、気温が6℃下がったということです。

反対に、寒かった朝から日が出て、1時間ごとに+3℃ずつ気温が上がっていけば、$3×3=9$で、3時間後には9℃上がったことになります。

このように、変化の量が一定のときには、「1時間分の変化×時間」で全体の変化を求めることができ、乗法が役立ちます。

②:お金の増減と符号のルール

2つ目はお金に関する例です。

お金の出入りも、正負の数で表すととてもわかりやすくなります。

たとえば、「毎月5,000円ずつ使っている」とすると、3か月後には$−5000×3=−15000$円で、合計1万5千円の出費ということになります。

では、「借金を返す」というのはどうなるでしょうか?

借金は「−(マイナス)」で表されるので、「−1万円の借金を3回返済した」ときは、$−10000×(−3)=30000$となり、負の数同士のかけ算でプラスになります。

これは、「マイナスを打ち消す」という考え方から、「−×−=+」というルールが生まれているのです。

このように、お金の管理にも乗法や符号のルールが大切に使われているのです。

③:スポーツの得点と符号の意味

3つ目はスポーツのシーンで使われている例になります。

スポーツでも正の数・負の数は役立っています。

たとえば、バレーボールや卓球のリーグ戦では、勝つと「+3点」、負けると「−1点」というふうに得点(勝ち点)が決められていることがあります。

あるチームが3連勝すれば$3×3=9$点、3連敗すれば$−1×3=−3$点となり、試合結果からすぐに合計点がわかります。

さらに、前の試合の失点が多ければ、その反省として「−5点の教訓を毎日思い出す」というふうに、自分の行動を変えるきっかけにも使えます。

このように、試合の記録や評価にも乗法・除法が活用されているのです。

④:時給・単価などの計算に使われる除法

4つ目は少しイメージが難しいですが、アルバイトなどの時給や時間単価の計算で使われる例です。

除法は、「1つあたりいくら?」「1回でどのくらい変わった?」というときに使われます。

たとえば、「3時間働いて合計4,500円もらった」とします。

このとき、1時間あたりの時給は$4500÷3=1500$円です。

では、逆に、3日間で9,000円使ったとすると、1日あたりの支出は$−9000÷3=−3000$円です。

このように、使った金額が負の数で表されると、除法の答えも負の数になります。

さらに、「600円の支出を3日に分けて行った」場合には$−600÷3=-200$円となり、1日あたり200円使ったことがわかります。

このように、除法もまた、正負の数の変化を日常生活に応じて整理するために大切な計算なのです。

 

まとめ

このページでは正負の数の乗法や除法が日常生活でどのように使われているかを紹介してきました。

正の数・負の数の乗法・除法は、一見むずかしく思えるかもしれませんが、私たちが毎日暮らす中で自然に使っているものです。

気温の変化やお金の出入り、スポーツの点数、アルバイトの時給など、さまざまな場面で「変化」や「割合」を表すために、正負の数とその計算は欠かせません。

計算のルールをしっかり理解することで、数字が何を意味しているのか、そしてその数字がどんな現実と結びついているのかがよくわかってきます。

これから数学を学ぶ上で、「この計算は何の役に立つのかな?」と思ったときには、ぜひ身の回りの出来事に当てはめて考えてみてください。

数学が、きっともっとおもしろく、身近なものに感じられるようになるはずです。

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