文字式の理解を深める〜式の値を正しく求める方法〜

中学数学

前回までで整式の計算、具体的には単項式と多項式の計算を学んできました。

唐突ですが、ここで整式の計算を学習した目的を考えてみましょう。

いろいろな考えが思いつくと思いますが、筆者は整式の計算を学習した目的を「整式をまとめること(コンパクトにすること)で、その後の計算処理を簡単にするため」だと思っています。

どういうことかというと、中学数学からは文字を使った計算が中心になっていますが、実際の計算では、数を文字に入れて(代入して)計算を進めていきます。

ですが、項がたくさんある式に1つ1つわざわざ文字に数を代入していっては、計算が多くなりミスが発生する原因になります。

そこで、整式を整理したうえで、最後に文字に数を代入することで、数の計算をできる限り減らしてミスをなくすのが目的になっていると考えます。

なので、今回このページで学習する式の値は、整式の計算処理が理解できている前提で進めていったほうが、理解が早いと筆者は考えます。

もし、整式の計算がまだあいまいな学生さんは、以下のページに振り返ってから式の値の学習に移っていきましょう。

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代入の復習

早速、式の値の計算について学習をしていきたいと思うのですが、まずは1年で学習した「代入」の復習から行っていきたいと思います。

たとえば、次のような式があったとします。

$2x+3$

この式の「$x$」に3を入れてみましょう。

つまり、$x=3$のとき、式の値を求めるということです。

代入すると、式はこのようになります。

$2×3+3=6+3=9$

つまり、$x=3$のとき、式 $2x+3$の値は「9」です。

代入がどういったものだったか思い出したところで、本題の式の値の学習内容に入っていきます。

 

式の値の処理について

中学2年生になると、1つの文字だけでなく複数の文字が出てくる式も扱うようになります。

たとえば、次のような式を見てみましょう。

$3x-2y$

この式に、$x=2$,$y=4$を代入して式の値を求めてみましょう。

代入の手順は以下の通りです。

  1. $x$のところに2を入れる
  2. $y$のところに4を入れる
  3. 正しい順序で計算する

(1と2の順番は逆でも構いません。)

すると、こうなります。

$3×2-2×4=6-8=-2$

よって、$x=2$,$y=4$のとき、式の値は「−2」です。

このように、それぞれの文字に正しい数を代入し、順序よく計算することが大切です。

 

練習問題

式の値の学習範囲では、新しく学ぶことは少ないです。

その分、しっかりと練習問題をこなして、ミスなく問題を解き進められるようにしていきましょう。

では、ここからは実際に問題を解いていきます。

問題1

次の式に、$x=3$を代入したときの式の値を求めなさい。

$5x-2$

解答

$x=3$を代入すると

$5×3-2=15-2=13$

問題2

次の式に、$x=2$,$y=5$を代入したときの式の値を求めなさい。

$2x+3y$

解答

$x=2$,$y=5$を代入

$2×2+3×5=4+15=19$

問題3

次の式に、$a=−1$,$b=4$を代入したときの式の値を求めなさい。

$ab- 2b$

解答

$a=−1$,$b=4$を代入すると

$(−1)×4−2×4=−4−8=−12$

問題4

次の式に、$x=0$のときの式の値を求めなさい。

$7x + 5$

解答

$x=0$を代入すると

$7×0+5=0+5=5$

このように、問題を解くときは、「代入」→「計算」の2ステップで進めていけば、しっかりと正解できます。

 

計算をスムーズにするコツ

最後に式の値の計算処理をスムーズにミスなく進めていく方法を紹介していきます。

式の値は単純な計算問題になりますが、シンプルだからこそミスなく得点源にしていく問題なので、紹介する方法やポイントは自分なりに取り入れていくことをお勧めします。

①:式に書きこむ

まず1つ目は、代入する数を、式の文字の上に小さく書きこんでおくことです。

これをすることで、代入する数や代入される文字を間違えることが一気に減らすことができます。

②:暗算より筆算

2つ目は、式の値の計算に限った話ではありませんが、自信がないときは、筆算やメモを使ってていねいに計算することです。

難しい問題になれば、代入する数も大きくなるので、計算ミスがどうしても起こりやすくなります。

なので、普段から丁寧に計算する癖をつけておくことをおすすめします。

③:計算は一度にしない

3つ目は1つ1つ確実に計算することです。

複雑な式ほど、計算量は増えていきます。

なので、1つずつ計算しましょう。

そうすることで、途中でチェックもしやすくなりますし、もしミスがあれば、早い段階で気づくこともできます。

 

まとめ

今回のページでは、式に数を代入して「式の値」を求める方法について学びました。

中学1年生で習った「代入」の考え方をふり返りながら、実際の計算方法、よくあるミス、そして練習問題に取り組むことで、基本をしっかりと確認できたと思います。

ここで学習したことは、あまり多くなかったと感じたかもしれませんが、そのように感じることが多かった学生さんほど、丁寧に計算していくという意識を高く持つことをおすすめします。

簡単な分野こそ、ちょっとしたミスで足元をすくわれることもあるので、何回もお話してきましたが、丁寧に計算することを意識して、この範囲の学習をしていくようにしましょう。

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