前回のページでは、単項式の乗法・除法の計算の解説と指数法則の復習を行っていきました。
中学2年ではここまでの知識が身につくと、ここからどんどん計算のハードルが高くなっていきます。
とはいっても安心してください。
一気にレベルが上がるわけではなく、段階的に少しずつ上がっていくので、ここからの学習内容を丁寧に理解しながら進めていくことができれば、特につまずくことなく学習を進めていくことができます。
早速このページでは、ここまで学習してきた指数法則と文字式の計算の知識を駆使して、多項式と単項式の計算を行っていきます。
新しい学習内容だと思うかもしれませんが、実際の計算処理は今までの知識を使って十分に進められるので、計算処理を理解しながらも、復習をするつもりで行っていきましょう。
まだ、指数法則や単項式の計算に慣れていない学生さんは、下記のページを振り返ってからこのページの学習を進めていきましょう。

分配法則の振り返り
本題に入る前に、中学1年のときに学んだ分配法則を簡単に振り返っていきます。
たとえば、下記の式の計算を行っていきます。
$2×(3+5)$
これはかっこの中を先に計算して、
$2×8=16$
と求めることができますね。
でも、分配法則を使えば、この式は次のようにも計算できます。
$ (2×3)+(2×5)=6+10=16$
このように、数をかけるときに、それぞれの項にかけてから足すことができます。
これが分配法則でした。
そして文字式でも同じように計算できました。
$a×(b+c)=ab+ac$
これが展開のもとになる考え方です。
では、これを整式の計算にどう使うのか、次で見ていきましょう。
単項式×多項式の計算
整式の展開でまず覚えるのが、「単項式と多項式の積」の形です。
単項式と多項式の積
早速、下記の例題を考えていきましょう。
例1:$2x×(x + 3)$
この式では、外にある単項式「$2x$」を、かっこの中の「$x$」と「3」にそれぞれかけていきます。
$2x×(x + 3)$
$=2x×x+2x×3$
$=2x^2+6x$
このように、かっこの中の項に1つずつかけることで、かっこをはずすことができます。
例2:$-3a×(2a-5)$
この例題では、単項式の符号がマイナスになっています。
この時は多項式の符号にも注意して計算を進めていきます。
$-3a×(2a-5)$
$=-3a×2a+(-3a)×(-5)$
$=-6a^2+15a$
文字が2つ以上の時の計算
続いて文字が複数ある整式の計算です。
文字式の計算では、複数の文字が出てくる計算も出てきます。
でも、計算のやり方は変わりません。
例1:$2xy×(x+y)$
$2xy×(x+y)$
$=2xy×x+2xy×y$
$=2x^2y+2xy^2$
例2:$-x×(3x-4y+1)$
$-x×(3x-4y+1)$
$=-x×3x+(-x)×(-4y)+(-x)×1$
$=-3x^2+4xy-x$
この問題は項が3つありました。
ですが、項が3つあっても、1つずつ丁寧にかけていけば大丈夫です。
あくまでポイントになるのは、同じ文字をかけたら指数でまとめるということ。
文字式の計算のルールを少し振り返っておきましょう。
- $x×x=x^2$
- $x×y=xy$(文字の順番はアルファベット順)
多項式÷単項式の計算
次に除法の計算方法を確認していきましょう。
ここでも、分配法則が使えます。
たとえば、次のような式を考えてみましょう。
$(6x^2+12x)÷3x$
この式は、「$6x^2÷3x$」と「$12x÷3x$」を別々に計算します。
$(6x^2+12x)÷3x$
$=6x^2÷3x+12x÷3x$
$=2x+4$
このように、多項式を単項式でわるときも、分配法則を逆に使って、それぞれの項をわっていくのがコツです。
積の計算のところでも確認しましたが、除法の計算の時の指数法則も軽く確認しておきましょう。
- $x^2÷x=x$(同じ文字なら、指数を引き算)
まとめ
このページでは、多項式と単項式の計算について、展開を伴う計算方法について解説してきました。
整式の展開の計算は、どちらも「分配法則」をもとに考えることができます。
- 展開(乗法):単項式×多項式→1つずつかける
- 展開(除法):多項式÷単項式→1つずつわる
このように、どちらも「項ごとに丁寧に計算する」ことが大切です。
また、文字をかける・わるときには、指数のルールにも気をつけましょう。
展開や除法の計算に慣れておくと、この先の中学3年の数学で出てくる因数分解や関数の学習にもつながります。
計算のコツをつかんで、しっかり得意分野にしておきましょう。
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