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整式の乗法と除法をマスターする ― 単項式の計算から指数法則まで

中学数学

中学数学では「整式の計算」が大きなテーマのひとつとして登場します。

整式の計算といっても内容は幅広く、加法・減法から始まり、次第に乗法・除法へと発展していきます。

前回の学習では、整式の加法と減法について学びました。

今回はその続きとして、整式の「乗法」と「除法」、特に単項式を中心に解説していきます。

単項式の掛け算や割り算のルールをきちんと理解していれば、後に学ぶ多項式の乗法や除法、さらには因数分解や方程式の展開といった応用的な学習にもつながります。

さらに、整式の計算では「指数の扱い」が重要な位置を占めています。

指数法則を知らずに単項式の計算をすると、答えを間違えたり途中でつまずいたりしやすくなります。

そこでこのページでは、単項式の乗法と除法の仕組みを丁寧に解説するとともに、指数法則についても復習を兼ねて整理していきます。

整式の加法減法について復習したい方は下記のページを確認してみましょう。

整式の計算(加法・減法)をわかりやすく解説!足し算・引き算の基本と応用
整式の加法・減法を基礎から丁寧に解説。足し算・引き算のやり方や同類項の見分け方、符号の扱い方など中学生がつまずきやすいポイントを詳しく説明します。さらに例題や練習問題を豊富に掲載し、整式の基本を確実に理解できる構成。方程式や因数分解など今後の学習にも直結する重要単元をしっかりマスターできるページです。

 

単項式とは何かを確認しよう

まず最初に、学習を進めるための基礎として「単項式」の定義を振り返っておきましょう。

単項式とは、数や文字が掛け算でつながっている式のことをいいます。

例えば次のような式が単項式です。

  • $3x$
  • $-2a^2b$
  • $\frac{1}{2}xy^3$

ここでのポイントは、足し算や引き算が含まれていないことです。

つまり、$3x+2y$のように「+」が入っている場合は単項式ではなく多項式に分類されます。

単項式は「数の部分(係数)」と「文字の部分(文字式)」の掛け算からできています。

計算するときはこの2つを分けて処理することが基本です。

 

単項式の乗法 ― 数と文字を分けて考える

上記で解説したことを踏まえて、早速単項式の乗法から見ていきましょう。

整式の乗法を理解するために、まずは単項式どうしの掛け算を練習しましょう。

基本ルールはとてもシンプルで、次の2つを守れば大丈夫です。

  1. 数どうしを掛け算する
  2. 同じ文字どうしは指数を足す

例題1

次の式を計算しなさい。

$3x × 2x^2$

この式の計算結果は下記のようになります。

$(3×2)・(x×x^2)=6x^3$

ここで大切なのは、文字部分の計算です。

$x×x^2$は$x^{1+2}=x^3$となり、指数の足し算が行われています。

例題2(複数の文字がある場合)

次の式の計算をしなさい。

$-4ab^2 × 3a^2b$

この式の計算結果は下記のようになります。

$(-4×3)・(a×a^2)・(b^2×b)=-12a^3b^3$

異なる文字が含まれている場合は、それぞれの文字ごとにまとめます。

$a$の部分は$a^{1+2}=a^3$、$b$の部分は$b^{2+1}=b^3$という処理です。

例題3(異なる文字の掛け算)

次の式の計算をしなさい。

$2x × 3y$

この式の計算結果は下記のようになります。

$2x × 3y=6xy$

この場合は$x$と$y$が別の文字なので、指数の足し算は使わず、ただ並べるだけです。

 

単項式の除法 ― 割り算のときは指数を引き算

続いて、単項式どうしの割り算について確認しましょう。

除法も基本は乗法と同じく、数と文字を分けて処理することが大切です。

ルールは次のとおりです。

  1. 数どうしを割り算する
  2. 同じ文字どうしは指数を引き算する

例題1

次の式の計算をしなさい。

$\frac{6x^5}{2x^2}$

この式の計算結果は下記のようになります。

$\frac{6}{2}・\frac{x^5}{x^2}=3x^3$

指数の部分は5-2=3となり、$x^3$が残ります。

例題2(複数の文字がある場合)

次の式の計算をしなさい。

$\frac{8a^3b^2}{4ab}$

この式の計算結果は下記のようになります。

$\frac{8}{4}・\frac{a^3}{a}・\frac{b^2}{b}=2a^2b$

この計算中では文字は、$a^3÷a=a^{3-1}=a^2$、$b^2÷b=b^{2-1}=b$という処理をしています。

例題3(割り切れない場合)

次の式の計算をしなさい。

$\frac{x^2}{3x^3}$

この式の計算結果は下記のようになります。

$\frac{1}{3}・\frac{x^2}{x^3}=\frac{1}{3x}$

このように係数が割り切れない場合は、分数のまま答えを残すことになります。

 

指数法則の重要性

ここで、ここまでの計算で何度も使った「指数の扱い」を整理しておきましょう。

指数法則は、整式の計算全体を通して基本中の基本となるルールです。

指数法則1 ― 掛け算では足し算

1つ目は、同じ文字の掛け算は、指数の足し算になります。

$x^m × x^n=x{m+n}$

例:$x^2 × x^3=x^{2+3}=x^5$

指数法則2 ― 割り算では引き算

2つ目は、同じ文字の割り算は、指数の引き算になります。

$\frac{x^m}{x^n}=x^{m-n}$(ただし$m \geqq n$のとき)

例:$x^5÷x^2=x{5-2}=x^3$

指数法則3 ― 異なる文字には適用できない

3つ目は、$x^2 × y^3=x^2y^3$のように、異なる文字のときはそのまま並べるだけです。

指数の加減算はできません。

 

よくある間違いと注意点

単項式の計算方法を確認してきたところで、よく見かけるミスについても紹介しておきます。

単項式の乗法・除法でつまずくポイントは、ほとんどが指数の処理にあります。

  • 指数を足すところを掛けてしまう
    例:$x^2 × x^3$を$x^6$としてしまう誤り。正しくは$x^5$です。
  • 異なる文字にも指数法則を使ってしまう
    例:$x^2y^3$を$(xy)^5$としてしまう誤り。正しくは$x^2y^3$のままです。
  • 割り算で分数を避けようとする
    例:$\frac{x^2}{3x^3}$を「割り切れないから間違い」と考えてしまう誤り。正しくは$\frac{1}{3x}$です。

これらを避けるためには、必ず「数と文字を分けて考える」という基本を忘れないことが大切です。

 

単項式の乗法・除法を含む発展問題

ここまでの単項式の計算と指数法則の基礎ルールを押さえたうえで、より複雑な問題に取り組んでみましょう。

発展例題1

次の式の計算をしなさい。

$(3x^2y)(-2xy^3)$

この式の計算結果は下記のようになります。

数の部分:$3×(-2)=-6$
文字の部分:$x^2 × x=x^3$, $y×y^3=y^4$

答え:$-6x^3y^4$

発展例題2

次の式の計算をしなさい。

$\frac{12a^4b^3}{-6a^2b}$

この式の計算結果は下記のようになります。

数の部分:$\frac{12}{-6}=-2$
文字の部分:$a^{4-2}=a^2$, $b^{3-1}=b^2$

答え:$-2a^2b^2$

 

練習問題(中級編)

理解を深めるために、自分で解いてみましょう。

  1. $(2x^2y)(-3xy^3)$を計算せよ。
  2. $\frac{15a^3b}{-5ab^2}$を計算せよ。
  3. $\frac{(3x^2y)^2}{9xy}$を計算せよ。

解答例

  1. $-6x^3y^4$
  2. $-3a^2/b$
  3. $x^3y$

 

学習のコツ

整式の計算は指数法則などの新しい法則ができてき勉強が大変になってきます。

最後に、効率よく学習する方法を3つ紹介します。

  • 指数法則をカードにして暗記する
  • 数と文字を必ず分けて処理する
  • 小さな問題を繰り返して習慣化する

特に指数法則は「覚えたつもり」で使い間違えることが多い分野です。

暗記と練習をバランスよく行いましょう。

 

まとめ

このページでは、単項式の乗法と除法、指数法則について解説していきました。

単項式の乗法・除法は、数と文字を使って式を整理するとても基本的な力です。

これがしっかりできるようになると、冒頭でも述べた通りその先に学ぶ整式の乗法と除法などの計算にも活かせたり、それ以外でも複雑な数式の計算の時にスムーズに解けるようになります。

「数と文字をわけて考える」「指数のルールを使いこなす」この2つを意識するだけで、計算が一気に楽になります。

ここで説明したことは、基本的な計算や知識ばかりなので、わからなかったところは、何度も解き直して、「どうしてそうなるのか」を理解できるようにしましょう。

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