中学数学では、文字を使った「文字式」の学習が数学の中心として進んでいきました。
算数では数を使った計算が多かったので、文字の計算に慣れるまで時間がかかったという学生さんも少なくないと思いますが、中学2年になると更に文字を使った計算が増えてきます。
具体的には中学2年になると、「文字式」の学習がさらに発展して、「整式」という新しい言葉が登場します
「整式」と聞くと、どういうもの?と多少イメージが難しいと感じるかもしれませんが、実はこれまでに学んだ計算の知識がしっかりと役立つ分野です。
このページでは、整式を構成する「項」についての理解から始めて、整式の加法・減法について、順を追ってわかりやすく解説していきます。
整式とは?
まずは、「整式」について説明しましょう。
「整式」とは、数字(数)や文字を使って表された式のうち、足し算や引き算だけでつながっているものを言います。
かけ算やべき乗は使われていてもOKですが、文字が分母にあったり、文字の指数が負の数だったり、小数だったりする式は整式ではありません。
たとえば、次のような式は整式です。
- $3x+2$
- $-5xy+2x-7$
- $x^2+3x+1$
一方で、次のような式は整式ではありません。
- $\frac{1}{x}+2$(文字が分母にある)
- $x^{-2}+4$(文字の指数が負の数)
整式は、たくさんの文字や数字が入っているように見えるかもしれませんが、それぞれのかたまりに分けて見ると、とてもシンプルに理解できます。
整式に含まれる「項」とは?
整式を理解するうえでとても大切なのが、「項」です。
整式ではこの「項」の理解が非常に重要になります。
そこで、「項」を含んだ式を3種類まずは紹介していきます。
単項式
まず、「単項式」です。
単項式とは、数や文字がかけ算だけでつながっている式のことです。
上記のように考えるので、文字通り単項式は項が1つの式になります。
たとえば、
- $3x$
- $-2xy$
- $5$
- $x^2y$
これらはすべて単項式です。
多項式
次に、「多項式」です。
多項式とは、いくつかの単項式が足し算や引き算でつながってできた式です。
たとえば、
- $2x+3$
- $x^2-4x+7$
これらは、単項式が2つ以上あって、それらが+や−でつながっているので、多項式になります。
定数項
最後に定数項です。
定数項は、整式の中で、文字を含まない数だけの部分を言います。
たとえば、
- $3x+5$ なら「5」が定数項
- $x^2-4x+2$ なら「2」が定数項
定数項は、「$x$が何であっても変わらない」部分なので、計算するときには特に注意しておきましょう。
整式の加法
それでは、整式の加法について説明します。
整式の加法では、「同じ種類の項どうし」をまとめて計算します。
同じ種類の項を特に「同類項」といいます。
同類項とは?
改めて、同じ文字を同じかたちでふくんでいる項のことを「同類項」と呼びます。
たとえば、
- $2x$と$5x$
- $-3xy$と$7xy$
- $x^2$と$-x^2$
これらは、それぞれ同じ文字・同じ文字の数(次数)を持っているので、同類項になります。
逆に、次のような組み合わせは同類項ではありません。
- $x$と$x^2$
- $xy$と$x^2y$
- $2x$と$3y$
整式の加法の計算方法
では実際に計算してみましょう。
例題1
$3x+2x$ を計算しましょう。
→ 同類項なので、数字の部分(係数)を足します。
$3x+2x=(3+2)x=5x$
例題2
$x^2+2x+3+4x+5$
→ 同類項をまとめます。
$x^2+2x+4x+3+5=x^2+(2+4)x+(3+5)=x^2+6x+8$
このように、同じ種類の項どうしを見つけて、数字の部分だけを足すようにしましょう。
文字の部分は変えずにそのまま残します。
整式の減法
次に、整式の減法について説明します。
減法では、加法のときと同じように「同類項」を見つけて、数字の部分を引き算します。
符号に注意
減法のときにいちばん注意しないといけないのが「符号」です。
マイナスが式の前にあると、あとに続く項すべてに影響します。
例題1
$5x-3x$
→ 同類項なので、数字の部分を引きます。
$5x-3x=(5-3)x=2x$
例題2
$(3x+5)-(2x+4)$
→ かっこの前にマイナスがあるので、かっこの中のすべての符号を変えてから、足し算に直します。
$3x+5-2x-4=(3x-2x)+(5-4)=x+1$
このように、かっこをはずすときには、符号を間違えないように注意しましょう。
整式の計算は文字式のルール通りにする
整式の加法や減法は、いくつかのルールさえ覚えてしまえば、むずかしくありません。
ポイントは下記のとおりです。
- 整式は、単項式や多項式からできている。
- 「項」とは、それぞれの式のかたまりのこと。
- 同じ文字・同じ形の項は「同類項」と呼ばれる。
- 加法では、同類項の数字部分だけを足し算する。
- 減法では、符号に注意して引き算をする。
最初は慣れないかもしれませんが、練習問題をくり返し解いていくうちに、スムーズに計算できるようになります。
数学は、「わかった!」という小さな積み重ねが大きな自信につながっていきます。
まとめ
このページでは整式の加法・減法について解説していきました。
整式の加法・減法は、これからの数学の学習を進めていくうえでもとても大切な基本です。
この単元で出てくる考え方は、他の単元にもたくさん登場します。
「同類項をまとめる」力は、方程式や因数分解など、今後の学習にも役立ちます。
ぜひこの分野の学習で整式の基本をしっかり身につけておきましょう。そ
して、計算のルールを「知っている」だけでなく、「使いこなせる」ようになることを目指して、楽しく学んでいきましょう。
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