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形で読みとるデータの特徴~度数分布表と度数折れ線~

中学数学

データの分析の分野では様々な用語やヒストグラムの特徴を学んできましたが、中学1年のデータ分析の範囲では最後にもう1つ「度数折れ線」というものを学んでいきます。

度数折れ線はヒストグラムを使って、以前学習した代表値(平均値、中央値、最頻値)を求めていくことができるとても便利なものになります。

データの分析の学習範囲は、数学においては珍しく覚えることが多く、少し苦労している学生さんもいるかもしれませんが、中学1年の範囲はここまでなので、最後にもうひと踏ん張りしていきましょう。

もし、このページで出てくる代表値(平均値、中央値、最頻値)やヒストグラムについて、まだ理解が十分でない場合は、下記のページに戻って、理解を深めたうえで、このページの学習内容に挑戦してみましょう。

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まずは度数分布表の作成をする

度数折れ線を作成するときは、大前提としてデータの度数を知らないと度数折れ線を書くことができません。

そのため、データの中から度数折れ線を考えていく方法は早いですが筆者はおすすめせず、遠回りに感じるかもしれませんが、まずは与えられたデータから度数分布表を作成していきましょう。

例として、とあるクラス(40人)の数学のテストの結果をまとめたものを設定します。

例:40人のテスト結果をまとめた度数分布表

点数の範囲(階級) 人数(度数)
20〜29点 2人
30〜39点 3人
40〜49点 5人
50〜59点 10人
60〜69点 9人
70〜79点 6人
80〜89点 3人
90〜99点 2人

今回は例としてあらかじめ設定しましたが、実際の問題を解くときは、自力で度数分布表を作成しなければならないことがあると思って、問題に向き合うようにしましょう。

 

度数折れ線ってなに? 〜データの形を線で表すグラフ〜

この度数分布表をもとに作るのが「度数折れ線」です。

これを「度数分布多角形」とも言います。

度数折れ線とは?

度数折れ線とは、階級ごとの人数(度数)を点にして、線で結んだグラフのことです。

「どの階級に人数が集中しているか」「全体の傾きはどうか」などを一目で見ることができます。

実際の作り方

では実際に度数折れ線の作成の方法を解説していきます。

大まかに4つのステップがあるので、作成の流れは身につけるようしていきましょう。

1.横軸を作成

まず始めに度数折れ線の横軸を設定します。

横軸には「階級の真ん中の値(=階級値)」をとります。

例:50〜59点の階級の階級値は$(50+59)÷2=54.5点$

2.縦軸を作成

続いて、縦軸を設定します。

縦軸には「度数(人数)」をとります。

3.各階級の度数を線で結ぶ

次に、それぞれの階級値と度数の組み合わせを点で表し、点と点を線で結びます。

4.グラフの両端を調整

最後にグラフの最初と最後には、度数0の階級(=空の階級)を追加しておくと、きれいな山の形になります。

この最後のステップをつい忘れがちになってしまうので、最後までしっかりとグラフを描くことに注意しましょう。

度数折れ線をかくための表(階級値と度数)

ここまでで、度数折れ線の書き方はイメージできたかと思います。

ですが、下記のことに気づいた学生さんはいますか?

「度数分布表から直接度数折れ線を作っていなくない・・?」

改めて確認すると、度数折れ線は、階級値に度数をプロットしてグラフ化しています。

そのため、度数折れ線を作成するときには、階級値をそれぞれ計算しなければいけません。

そこで、階級値とその階級に対応した度数をまとめた表を作成するようにしましょう。

今回の例では下記のような表が作成できます。

階級値(階級の中央) 人数(度数)
24.5(20〜29点) 2人
34.5(30〜39点) 3人
44.5(40〜49点) 5人
54.5(50〜59点) 10人
64.5(60〜69点) 9人
74.5(70〜79点) 6人
84.5(80〜89点) 3人
94.5(90〜99点) 2人

この表を作成しておくことで、度数分布表の情報だけで度数折れ線を作成してしまうというミスも減らせるので、手間ではありますが、実践してみましょう。

 

度数折れ線から分かること

ここまで度数折れ線の作成について解説してきましたが、このグラフからはいったい何が分かるのかをここから解説していきます。

全体の結論として、度数折れ線を見ると、数字のデータだけでは分かりにくかった「全体のようす」が見えてきます。

山の高さで「人数が多い階級」が分かる

まず特徴的なところとして、グラフがそれぞれ高さがあるという点です。

その特徴をどのように考えればいいかというと、

線が高くなっているところ=その点数の人がたくさんいるところ

と考えられます。

例のグラフなら、54.5点(50〜59点)がいちばん高い=この階級に人数が集中していることが分かります。

線の形で「分布のかたより」が分かる

続いて、折れ線の形に注目していきます。

度数折れ線の形は、データにどのようなかたよりがあるかを探っていくことに利用できます。

  • 左側が高く右に下がっている → 高得点の人が少ない(点数が低めにかたよっている)
  • 右側が高く左に下がっている → 低得点の人が少ない(点数が高めにかたよっている)
  • 中央が高く、左右が低い → 平均的な分布(真ん中に多くの人がいる)

データを比べるときにも便利

度数折れ線は複数のデータを比較するときにも有用です。

たとえば、2クラス分のテスト結果を同じグラフに重ねて度数折れ線をかけば、「どっちのクラスが平均的に高いか」「かたよりがあるか」がパッと見て分かります。

 

代表値はグラフの補助として活用しよう

このページでは代表値のくわしい計算は取り上げませんが、度数折れ線を見ると、平均値や中央値、最頻値のおおよその位置を予想することができます。

最頻値

最頻値(もっとも多い人数がいる階級の中央)は、グラフの「山のてっぺん」にあります。

中央値

中央値(真ん中の人の位置)は、人数の合計から中央の人を考えて、その階級の値を見ればだいたい分かります。

平均値

平均値は、グラフのバランスがとれているあたり(左右がちょうど同じくらい)を見て考えられます。

グラフから正確な値を出すことはできませんが、「だいたいこのあたりが中心かな」と読み取るヒントになります。

 

まとめ

今回は、「度数折れ線」について度数分布表と絡めて解説していきました。

表にまとめることで見えてこなかった「データの形」がグラフで一目で分かるようになりました。

また、改めてになりますが、度数折れ線はそのグラフから代表値(最頻値・中央値・平均値)のおおよその位置を読み取ることもできます。

データを読み解く力は、勉強だけでなく日常生活でも役立つものです。

グラフを読み、データの背景を考えられる力を少しずつ育てていきましょう。

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